
【飲食店・小売店別】厨房機器・什器固定と避難経路の確保
大地震が発生した際、店舗内にある設備や備品は一瞬にして危険物へと変わり得ます。飲食店や小売店、倉庫型店舗といった業態ごとの特性に応じたリスクを把握し、物理的な安全環境を整えることが店舗防災の第一歩となります。
飲食店の厨房・客席における安全対策
飲食店では、火気・油・刃物・大量の食器類を扱うため、二次災害(火災・ガス漏れ・負傷)の防止に注力することが大切です。
- 厨房機器の転倒・飛び出し防止:大型業務用冷蔵庫、製氷機、フライヤーなどはL字金具や耐震ベルトを用いて壁・床に確実に固定します。
- 収納棚への耐震ラッチ設置:地震の揺れによる扉の開放を防ぎ、食器やグラスの飛散を抑えるため、収納棚には耐震ラッチを取り付けます。
- 油跳ね・熱水飛散防止の習慣化:フライヤー使用時以外は専用の蓋(フタ)を被せることをルール化し、高温の油や熱水が揺れで飛散するリスクを抑えます。
小売店・倉庫型店舗における安全対策
不特定多数の来店客が店内を回遊する小売店では、陳列棚の倒壊や商品の落下による怪我を防ぐ対策が不可欠です。
2026年7月の熊本地震において「コストコ熊本御船倉庫店」で発生した事例では、高層ラックから大量の商品が通路へ激しく落下・散乱し、買い物客が巻き込まれそうになる緊迫した状況が発生して臨時休業を余儀なくされました。
- 陳列棚(什器)の連結と床・壁面固定:高さのある什器は壁面への固定に加えて、背中合わせの棚同士を上部で固定金具を用いて連結し、ドミノ倒しを防ぎます。
- 倉庫型店舗(ウェアハウス・ストア)の落下防止対策:パレットや段ボールのまま高層ラックに保管する店舗では、ラック上部の繋ぎ留め補強、落下防止バーやネットの装着、過積載防止ルールを厳格化します。
- 商品陳列の重心管理:重い商品やガラス瓶などの割れ物は下段に配置し、什器全体の重心を下げる工夫を行います。
全業態共通:避難経路の絶対保持
客席や売場から非常口に至る通路には、食材の段ボール、混雑時用のスタッキングチェア(重ねて置く予備の客用椅子)、POP看板などを置かない運用を徹底してください。また、停電時に備えて、足元灯や非常用誘導灯が正常に点灯するか定期点検を行うことも重要です。