
私の「座右の銘」はこれ以外ない
この一文を唯一の「座右の銘」として、自身の経営の中心に据え続ける経営者がいる。
地方商店街の紳士服店の二代目として生まれ、1984年に「ユニクロ」を立ち上げた柳井正・ファーストリテイリング会長兼CEOその人だ。服を変え、常識を変え、世界を変えていくために、世界有数のカジュアルファッションチェーンをつくった商人である。
今期の連結業績は売上収益2兆6800億円を見込む同社は、今後の10年で10兆円を目指と宣言。これまでの小売業史に例のない、まったく新しい「情報製造小売業」になることをめざしている。
その激動の経営者人生を支え、奮い立たせてきたのが、9月15日発刊の拙著のタイトルに掲げた『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる』の一文である。本書では、柳井さんがみずからの執務室に掲げ、たった一つの原理原則として守り続ける理由を語ってくれた。ここでは、そのさわりを紹介しよう。
「私がもっとも影響を受け、もっとも好きなこの言葉と出合ったのは、ユニクロを開業するより前のこと。この教えを唱えた倉本長治さんが主筆を務められた雑誌『商業界』を読みふけり、純度の高い結晶のような言葉をそこで見つけたのです。
以来私は、執務室の壁に『店は客のためにあり 店員とともに栄える』という額を掲げ、『店主とともに滅びる』という教えも自らへの戒めとして常に心にとどめ続けています。これまで、この言葉に何度も励まされ、導かれてきました。この淡々とした一文の中にこそ、商いの真理があります。
本書に記される一つひとつの言葉も、まるで聖書のようであり、詩のようであり、まさに言葉の結晶というべきものです。それら倉本さんの遺した言葉をできるだけ多くの人に読んでもらいたい。それがこうして解説を書く理由です」
より良き未来を築く羅針盤
「昭和の石田梅岩」「日本商業の父」と言われた経営指導者、倉本長治の残した言葉と教え、その実践者らのエピソードと柳井さんの解説を加えた商売の羅針盤で原理原則を凝縮した結晶。
本書『店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる』では、「言葉の結晶」と柳井さんが言う名言名句100篇を厳選。倉本長治の唱えた行動指針「商売十訓」を章立てとし、その一訓ごとに関連する10篇の教えを紹介している。
店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる 倉本長治の商人学
笹井 清範 (著), 柳井 正 (解説)
第一章 損得より先きに善悪を考えよう
第二章 創意を尊びつつ良い事は真似ろ
第三章 お客に有利な商いを毎日続けよ
第四章 愛と真実で適正利潤を確保せよ
第五章 欠損は社会の為にも不善と悟れ
第六章 お互いに知恵と力を合せて働け
第七章 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
第八章 公正で公平な社会的活動を行え
第九章 文化のために経営を合理化せよ
第十章 正しく生きる商人に誇りを持て
執筆には、倉本が興した出版社・商人育成機関の「商業界」で長年にわたって商人の話に耳を傾け、現場・現物・現実に向き合い続けた筆者が取り組んだ。25年超4000社以上の取材を通じて出会い、学んできた商人たちのエピソードや教えを紹介しつつ、100篇の名言が意味するところと、事業や仕事への活かし方を解説している。
道徳観の欠落した商行為がたびたびメディアを賑わせる昨今。本書は混迷の時代に欠かせない羅針盤であり、すべての経営者が従業員とともに共有すべき “原理原則”を凝縮した。
最後に、倉本が遺した言葉の一つを紹介します。
商売は今日のものではない。
永遠のもの、未来のものと考えていい。
それでこそ、本当の商人なのである。
人は今日よりもより良き未来に生きねばいけない。
めまぐるしく変わる社会や経済の中にあって、今日よりもより良き未来を生きていくために、本書がわずかでもお役に立てれば幸いである。
※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。
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