【店舗監査で業績悪化を防ぐ】人手不足時代に勝つガバナンスと経営の要諦|店舗監査マニュアル 1.なぜ店舗監査が必要なのか?

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工場や倉庫の現場でスーツ姿の経営者が帳票を確認し、作業スタッフと直接対話する店舗監査の様子。柳井正氏の実践した「現場・現物・現実」の三現主義に基づき、現場の規律とQSCの徹底状況を厳格にチェックする経営ガバナンス。
現場の乱れは業績悪化の先行指標。数値の裏にある『真実』を現場の規律から読み解く。(出典:PIXTA・著者:IYO)

国内チェーンにおける店舗マネジメントシステムの成否を分けた要因

優先導入された主要システム

「トータル・マネジメント・システム」の導入・構築内容はチェーン店ごとに異なりました。特に、P/Aや正社員の賃金制度と人材開発システム「キャリアパスプラン」、人件費の変動費化「ワークスケジュール」、店舗損益管理「P/Lコントロールシステム」などが優先的に導入され、少数の正社員と多数のP/Aによる店舗経営が一般化しました。

SV経営管理の落とし穴

 各店舗の経営管理はSVが担うようになったものの、このSVの経営管理のあり方が企業の成否を分ける結果となりました。多くの企業が中央集権型経営を採用しつつも、顧客満足度測定、人材開発、労務管理、販売促進、損益管理といった運用を店長やSVに権限委譲しました。しかし、ここに大きな落とし穴があったのです。

実際の権限委譲は名ばかりで、予算執行や人事評価、店舗会計・業務監査などには本社本部の稟議承認が必要なケースが多く、SVからの報告を受けた本社が承認や決裁を行う内部統制に留まっていました。この結果、対応の遅延、上司への説明や説得を目的とした業務の増加、納得できない人事評価などが横行し、現場の士気や顧客満足度が大きく低下し、人的問題を誘発させていったのです。

機能不全が招いた負の連鎖

 人的問題による退職者が増える一方で、採用をするものの早期退職から人手不足に陥って、オペレーションは崩壊し、不安定な店舗運営がクレームを誘発。SVや店長はいつの間にか問題クレーム処理や問題処理係となり、本来の業務ができなくなって、事態をさらに悪化させました。

主な要因は、経営権限(評価権、人事権、予算執行権)の委譲が不十分だったことです。店舗は「任せ放し」の状態で、業績悪化時には場当たり的な販促やコストカットで一時的にしのぐ対応が繰り返されました。これらは短期的には効果があるように見えても、長期的には大きな損失につながります。

このような場当たり的な対応を繰り返す要因の一つに店舗監査が機能していなかったことが挙げられます。店舗監査が機能しないと、売上低迷、モラル低下、問題の誘発、離職者数の増加、内部・外部不正の横行を招き、利益も現金も失われます。

結果として現場は荒廃し、業績は悪化、リストラによる縮小均衡に陥り、経営危機を招いてきました。つまり、企業にとって最も恐ろしいことは、内側から壊れていくことだったのです。

小山 孝雄

この記事を書いた人

小山 孝雄

ピープル・ビジネス・コンサルタンツ株式会社代表取締役 店舗経営コンサルタント ピープル・ビジネス理論著者 東京都出身。1990年東海大学卒業。 ピープル・ビジネス・コンサルタンツ株式会社代表。 多業種業態のチェーン店支援の後、三世代、約50年間受け継がれた成功と失敗の事例集やノウハウを体系化。個人店、売上0からチェーン展開を可能にする「ピープル・ビジネス理論」をまとめあげた現場第一主義の実務家兼店舗経営コンサルタント

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