繁盛立地入門 10.店舗開発とは、店舗を“閉”店させること。この極意が分かれば一流。

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【この記事の概要】
 経営悪化や撤退を招きかねない『店舗開発』の大きな勘違いと一流チェーン店は一等立地に出店できる本当のワケ
 店舗開発をする人は、その物件とその立地について、「自分が気に入るか」どうかでなく、「将来お客様になってくれるかもしれない人たちが気に入ってくれる」ことなのです。そして、一等立地への出店は一流チェーンのことと、諦めていませんか。一流チェーン店はなぜ一等立地に出店できるのか、お分かりですか?

 さて、前回までに、立地で重要な3概念、TG(ティージー)と動線、視界性評価についてお話ししてきましたが、じゅうぶん理解できましたでしょうか。

今回は、少し視点を変えて、「店舗開発」についてお話します。

一寸先は闇「天国と地獄」経営悪化や撤退の危機を招きかねない店舗開発の実態

店舗開発の大きな” 落とし穴“

 店舗開発とは、文字通り、店舗を開発していくこと、すなわち、数多くの候補物件のなかから1つを見つけ出し、店舗としてオープンさせることです。

店舗開発と似た行為に、自分の住まいを見つけて借りる(買う)というのがあります。転勤が多い人ならこの行為はイメージしやすいでしょう。そうでないひとでも、「自分の部屋を借りる」というのは想像しやすいはずです。

さすがに、この「物件を借りる」行為は、インターネットだけで済ますという人はまずいない。必ず現地に出向いて、物件とその周辺を調べますね。そうです、実査をします。

環境はどうか、駅から近いか、騒音はないか、日当たりは良いか、買い物に便利か、間取りは気に入るか、など調べることでしょう。

同じようなことは、店舗開発でも行います。それが立地調査です。

しかし、自分の住まい探しと店舗開発では、1つだけ「大事な違い」がある。これがわからないために、店舗開発で大きな失敗をしてしまう人がいます。これが、店舗開発の大きな” 落とし穴“になります。
その「大事な違い」とは何でしょうか?

それは、「立地や物件の良否を決める人」と「物件を契約する者」が違うという点です。

「???」と思うかもしれませんね。

説明します。

経営悪化や撤退を招きかねない『店舗開発』の大きな勘違い

 自分の住まい探しでは、自分さえその立地を気に入りさえすれば良いのですね。

他人がどう思うと自分が気に入ってしまえば良い。なにしろ、それが良くても悪くても、「自分が住む」のですから、自分の問題です。だから、「自分が気に入った立地:物件」イコール「自分が契約する物件」というわけです。

ところが、店舗開発はそうではありません。

自分が気に入っているだけではだめなのです。

横道に逸れますが…

チェーン企業の中で、長くこの店舗開発業務をやっていると、往々にして、この「自分が気に入っている」ことが最優先になってしまう。そういう人がけっこういるんです。

これはたいへんな勘違いですね。

「気に入ったから良い物件」、「気に入らないから良くない物件」

この調子で開発を続けていると確実に、その人の店舗開発では、不振店、失敗店が増えていくことになります。そして、それに気づいたときはもう手遅れ。こんな事態に至る。怖いですね~

店舗開発の核心「わしはあんたの意見を聞いているんやないで。事実だけ話さんかい」(マクドナルド巨大帝国を築いた故藤田田社長)

さて本題に話を戻しましょう。

自分で気に入っているだけではだめ。

では、誰が気に入れば良いか?

もしかして、上司の人? それとも社長や経営幹部?

これも間違い。まったくだめです。

確かに、決裁権限は、自分ではなくて、上司や経営幹部、社長にあります。

だから、サラリーマンとしての店舗開発マンにとって、上司や経営幹部、社長に「気に入ってもらう」ことは、稟議書を通すためには絶対条件かもしれません。

でも、そんなことしていたら、ほぼ確実にそのチェーン店は衰退します。

実際、そういう人がチェーン企業をダメにする。上司に気に入ってもらおうとして、通行量を水増ししたり、隠れた瑕疵(物件の問題点)を隠したりして、虚偽を混ぜる。

こういう態度になっている人を、故藤田田社長(日本マクドナルド株式会社の創業社長)は会議中に大きな声でいつも叱咤してました。「わしはあんたの意見を聞いているんやないで。事実だけ話さんかい」

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