人材育成マニュアル 1.人材育成の基本と考え方「人材育成とは?」

店長が新人に手本を示す。人材育成マニュアル 1.人材育成の基本と考え方。人材育成とは、「会社の基準」と「本人のレベル」の差を埋めること。店舗経営における人材育成の大前提は、自分は会社から何を求められていて、現状はどのレベルで、何が足りないのか、何ができるようになればいいのかを分かるようにすること。これが分からないことには、本人は改善や努力のしようがありませんし、どんなに会社が教育をしても人は育ちません。

【この記事の概要】
 店舗経営を左右する人材育成とは、「会社の基準」と「本人のレベル」の差を埋めることです。
 人材育成の大前提は、自分は会社から何を求められていて、現状はどのレベルで、何が足りないのか、何ができるようになればいいのかを分かるようにすることです。これが分からないことには、本人は改善や努力のしようがありませんし、どんなに会社が教育をしても人は育ちません。そこで、今回は人材育成の基本について解説します。

この記事の目次

人材育成の基本と考え方「人材育成とは?」

店舗経営における人材育成の目標設定と昇進昇格の基準

 店舗経営を左右する人材育成とは、「会社の基準」と「本人のレベル」の差を埋めることです。

店舗経営、ピープルビジネスにおける人材育成とは、会社が求める基準と従業員の仕事のレベルに差がある場合、会社の求める基準まで引き上げる教育訓練法の一つで、「できなかったことをできるようにする」「気付かなかったことに気付けるようにする」といったシンプルなことの繰り返しを意味します。

自分は会社から何を求められていて、現状はどのレベルで、何が足りないのか、何ができるようになればいいのかを分かるようにすることが必要です。

まず、これが分からないことには、本人は改善や努力のしようがありませんし、どんなに会社が教育をしても人は育ちません。

よって、まずは会社の求める基準をキャリアパスプランや職務記述書に明記し、トレーニングプログラムや人事評価で本人の現状レベルを把握します。

そこで、明らかになった「会社の基準」と「本人のレベル」の差が人材育成の目標になり、会社の基準に到達したら昇進昇格することができます。

店舗経営、ピープルビジネスではこの差を埋める方法を総称して人材育成と呼んでいます。そして、会社の基準が明記された店舗経営マニュアルと各層別の人材育成プログラムで人を育成します。

人材教育、人材育成と人材開発の違い

 人材育成の現場で混同されがちな人材教育、人材育成と人材開発の違いについて解説します。

人材教育、人材育成と人材開発は、いずれも組織における人材の成長を促すための活動ですが、それぞれに異なる意味合いと目的があります。

■「人材教育」「人材育成」と「人材開発」の違い

・人材教育: 特定の知識やスキルを教え込むことに重点を置く
・人材育成:従業員の能力を総合的に成長させることに重点を置く
・人材開発:個人の能力開発を通じて組織全体の変革を目指す

さらに詳細を説明します。

1. 人材教育
目的: 知識やスキルを「教え」「訓練する」ことに重点
対象: 特定の業務に必要な知識やスキルを習得させることが目的
方法: 研修、セミナー、OJTなど、比較的受動的な学習が多い
特徴: 短期的な成果を期待し、具体的な業務遂行能力の向上を目指す

2. 人材育成
目的: 従業員の能力を「育て」「成長させる」ことに重点
対象: 個々の従業員の潜在能力を引き出し、組織全体のパフォーマンス向上を目指す
方法: 目標設定、評価、フィードバック、キャリアパスプランの設計など、より包括的なアプローチ
特徴: 中長期的な視点を持ち、従業員の主体的な成長を促す

3. 人材開発
目的: 個人の能力開発を通じて、組織全体の「変革」や「発展」を目指す
対象: 組織全体の将来を見据え、個々の従業員の能力を最大限に引き出す
方法: 自己啓発、メンター制度、キャリア開発支援など、個人の主体性を重視した多様なアプローチ
特徴: 長期的な視点を持ち、組織と個人の双方の成長を追求する

このような「人材育成」「人材教育」「人材開発」の違いを理解することで、組織の目標や従業員のニーズに合わせて、適切な人材育成・開発戦略を立てることが重要です。近年では、従業員の主体性を重視する「人材開発」の考え方が重要視される傾向にあります。

これらは厳密に区別されるものではなく、重なり合う部分も多くあり、組織の規模や文化、人材戦略によって、どの活動に重点を置くかは異なります。

人材育成の必要性と重要性の認識

 企業が発展し続けるためには、人材育成も継続することです。

人材育成と聞くと、新人育成や昇進昇格のための育成を思い浮かべることがありますが、店舗経営、ピープルビジネスでは継続した人材育成によって、本人も会社も常に成長が実感できることが求められます。

それは、店舗では、商品の製造や陳列、接客や売上管理などまで多様な業務があり、従業員一人ひとりの能力が成果に直結するからです。

できなかったことができるようになる。気付かなかったことに気付けるようになるなど、従業員は常に成長をしています。この成長の結果が顧客満足度、組織全体の売上や利益となって表れます。

企業が必要とする能力を計画的に高めることで、継続的に成果を出すための基盤が築かれます。実施のタイミングや指導方法を最適化しておくと、高い定着率と生産性向上を狙った経営戦略が実行しやすくなります。

■「目的」と「狙い」の違い:どちらも「目指す状態」を示す言葉です。ただし目的は長期的に目指すゴールを意味します。一方で、狙いは「短期的で具体的なゴール」を意味し、目標とする時期・具体度が異なります。

店舗経営目標達成に向けた社員やパートアルバイトの能力向上

 目標を達成するためには、社員やパートアルバイトが仕事の意義を理解し、能力を向上させる必要があります。

具体的には、業務に必要なスキルを段階的に教育し、OJTを活用することで実務経験と知識を効率よく結びつけられます。

日々の行動を上司やリーダーが部下の仕事ぶりを確認しフォローアップの実施によって、仕事への意識改革を促すと相乗効果が生まれます。

こうした取り組みを積み重ねると、店舗経営の目標達成が加速し、社員やパートアルバイトのモチベーションも維持しやすくなり、能力向上や仕事意識改革がしやすくなります。

あわせて読みたい
社員のための課長業・部長業・役員業 12.課長の育て方 現場トップの課長が「職務記述書」の作成と活... 本連載【目次】 前の記事次の記事  【この記事の概要】 組織が安定的に成長するためには「現場トップの課長を無尽蔵に育成できる組織」を作る必要があります。 そのた...
シェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次