【防災マニュアル】データ保全から屋内退避まで!激甚災害から顧客と店を守る危機管理法|店舗防災のすすめ 2026年8月編

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自治体が作成・公開する防災ハザードマップと地域の地図のイメージ。想定最大規模表記の罠を見抜き、店舗周辺の裏山や傾斜地、低地などの危険箇所を自らの足で歩いて点検する現場リスク把握法。
ハザードマップの想定にとらわれず、自店舗の裏山や傾斜地、低地などの地形リスクを現場の足で歩いて点検することが重要です。(出典:写真AC / 著者:えび天とかしわ天)

ハザードマップの落とし穴を見抜く!店舗周辺の現場リスク把握法

 梅雨明け以降の長雨や局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)は、河川の氾濫だけでなく、「崖崩れ」や「土石流」といった土砂災害の危険を著しく高めます。2014年8月に発生した広島市での大規模土砂災害など、過去の水害・土砂災害から得られた教訓は以下の3点に集約されます。

【土砂・水害リスク対策の3大原則】

1.自店の立地条件のリスク確認(裏山・斜面・低地等)
2.気象警報・避難情報の注視(気象庁・自治体情報のキャッチ)
3.避難ルートの現場確認(自らの足で周辺状況を把握)

「崖崩れ」や「土石流」といった土砂災害の危険性

 店舗周辺の土砂災害リスクを把握する際は、気象庁が定義する発生危険区域の基準を正しく理解しておく必要があります。特に「崖崩れ」は斜面角度30度以上・高さ5m以上、「土石流」は扇頂部から下流の勾配2度以上が警戒の目安となります。以下の図解を参考に、自店舗の立地環境と照らし合わせて点検を実施しましょう。

【崖崩れ・土石流の発生危険区域】

▲気象庁「崖崩れ・土石流の発生危険区域」資料:自店舗の裏山が斜面30度以上、あるいは勾配2度以上の渓流に面していないか、現場の足で危険度の勾配と距離を直視して点検することが重要です。(出典:気象庁資料 / 著者:気象庁)

行政が作成・公開しているハザードマップは非常に有用なツールですが、利用にあたっては知っておくべき背景と注意点が存在します

ハザードマップの歴史的背景と「表記の落とし穴」

 かつて阪神・淡路大震災以降に自治体がハザードマップの公開を進めた際、一部の地域や開発業者等から「土地の価格が下がる」「物件が売れなくなる」といった反対意見が上がり、公開が遅れた経緯がありました。

一方、近年公開されている洪水ハザードマップは、想定最大規模である「1,000年に1度の確率(年発生確率0.1%)」の降雨を前提として描かれているものが増えています。そのため、マップ全体が危険色で塗られてしまい、逆に「明日起こるかもしれない現実的な危険度レベル」がかえって見えにくくなっている側面があります

ハザードマップはあくまで「出発点」に過ぎません。経営者や店長は、マップ上のデータだけに依存するのではなく、実際の店舗周辺を歩き、自分の目で傾斜地、側溝の詰まり、低いアンダーパス、避難ルート上の危険箇所を自ら確認しておくことが大切です

吉田明生

この記事を書いた人

吉田明生

防災・危機管理コンサルタント 一般社団法人 災害防止研究所 代表理事 元陸上自衛隊第11旅団長、元ゆうちょ銀行社長特命担当顧問 陸上自衛隊にて方面総監部の幕僚長などを歴任、富士学校や幹部学校で教育・研究に携わる。後にゆうちょ銀行社長特命担当顧問として東日本大震災後のBCP見直し、危機管理や組織管理等に従事。 2018年、般社団法人災害防止研究所代表理事に就任。毎年9月に東京ビッグサイトで防災グッズ大賞展を主催。 ※苗字の「吉」は「土」に「口」が正式の表記。

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