【生産性向上】「雑巾がけの美談」が店を潰す?根本原因を断つ視点変革の6ステップ|佐藤勝人の実践的リーダーシップ論 21

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現場の主体性を引き出すリーダーシップを熱弁する佐藤勝人。柳井正氏の「全員経営」に通ずる、スタッフへの尊重と自走する組織作りの要諦を解説。指示待ち人間をゼロにし、現場に活力を生む情熱的な指導シーン。
「リーダーの役割は指示命令ではない。スタッフを尊重し、自ら気づき動くための『仕組み』と『情熱』を現場に注入することだ」(出典:サトーカメラ / 著者:佐藤勝人)

2. 「雑巾がけの美談」を疑え!生産性を停滞させる日本的欺瞞

 私はよく、根本原因の解決という話をするときに「油拭きの例」を出します。

店の床が天井から垂れてくる油で汚れる。それを毎日、一生懸命に雑巾で拭いているスタッフがいる。そうすると、周囲は「あの人は立派だ」「毎日欠かさず掃除をしていて感心だ」と、その行為を美談にし始めます。

しかし、経営者・リーダーの視点は、そうでなくてはなりません。 「ちょっと待ってよ。なんで毎日拭くの?」という問いです。

生産性を上げようというこのご時勢に、

  • なぜ毎日拭かなければならないのか? そもそも油が垂れてくる原因は何だ?
  • 天井裏で配管に穴が空いたか破断したかして、そこから油が漏れているのではないか?
  • その穴を塞ぐなりパイプを交換するなりすれば根本解決が図れるのではないか――?

美化することで問題を先送りにしていないか

「毎日コツコツ頑張る」ことを美化しすぎるあまり、原因である「配管の修理(設備投資)」から目を背けていないでしょうか。

  • 表面的な対処: 毎日1時間かけて床を拭く(人件費の浪費、スタッフの負担増)
  • 根本的な解決: 予算を確保し、配管を修理・交換する(一時的なコスト、将来の利益確保)

経営者は馬鹿じゃないから、この程度のことは分かっているはずです。でも、言わない。手を付けない。なぜなら、それにはお金がかかるからです。

私が嫌だなあと思うのは、そうやって漫然と問題を先送りすること以上に、「毎日雑巾で拭くことを美化する」という、いかにも日本らしい誤魔化しです。単に生産性が停滞しているだけの話なのに、誤魔化して美談にしようとするその欺瞞から目を逸らしてはいけません。

3. リーダーシップの転換:指示命令を「半分」へ減らす

 かつてのサトーカメラでも、私は日常的にトップダウンの指示命令で組織を動かしていました。しかし、情報開示の時代に変わり、価値観が多様化した現在、強制による行動変容は容易なことではありません。

「自ら気づく」環境を整える

 リーダーが1から10まで指示を出している限り、部下は「思考停止」に陥り、指示待ち人間になってしまいます。

「めんどくさいから私も指示命令したくなるよ。強制したくなるよ。――けど、自ら気付いて変わってくれなきゃ、サイクルが回っても意味がないわけでね」

  • 今まで出していた指示を、まずは「半分」に減らしてみましょう。
  • 10回叱っていたのを3回に抑えてみる。

その代わりにリーダーが注力すべきなのは、根本原因を把握して解決することです。

問題を先送りにせず、根本原因は何で、いつまでにどうアプローチして解決するかを計画に組み込む。それなしで目先の対処だけで済ましてきたから、日本の店舗運営の生産性が上がらず、「失われた30年」と言われる状況を招いてしまったのです。

佐藤 勝人

この記事を書いた人

佐藤 勝人

日本販売促進研究所 商業経営コンサルタント・サトーカメラ株式会社 代表取締役副社長 栃木県出身。1988年家業のカメラ店の業態を変え社員ゼロからスタート。ダイヤモンド・チェーンストアからは「最強ローカルチェーン」、日経トップリーダーは「顧客一体化経営の模範店」、日経ビジネスでは「最強サトーカメラ」と評価を受ける。

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