
「がんばりの美談」を疑え!生産性を停滞させる「問題先送り」の病理
油拭きの雑巾がけを称賛する「欺瞞(ぎまん)」に気付くべき理由
店舗経営において、スタッフが自発的に「美談」のようなトラブル解決をしたとき、私たちはつい「よく頑張ってくれた!素晴らしい!」と称賛してしまいがちです。
たとえば、「天井から垂れてくる油で床が毎日汚れるのを、あるスタッフが毎日自発的に雑巾がけして綺麗にしてくれている」というエピソードがあったとします。一見すると、非常に熱心なスタッフの感動的な美談に見えるでしょう。
しかし、経営者や店長としての本質的な視点から言えば、「ちょっと待って、そもそもなんで毎日雑巾がけをしなければいけないのか?」と疑ってみることも必要です。
毎日油を拭く行動は、素晴らしいがんばりです。しかし、その裏にある「天井から油が漏れている」という根本的な問題を放置したまま美談として称賛することは、一種の欺瞞に他なりません。美談によって不完全なシステムが隠蔽され、スタッフの精神的・肉体的な負担が見えなくなってしまうのです。
店舗経営者が真に取り組むべき「根本原因の解決(Root Cause Analysis)」
本当に優れた店舗経営とは、派手なドラマや美談が起きない経営です。誰がやっても、普通に、トラブルなく、高いクオリティで業務が回る「静かな店舗」こそが目指すべきゴールではないでしょうか。
目の前のトラブルにその都度対処する「絆創膏を貼るような対応」を止め、問題の「根本原因」を特定し、解決へと動くことが必要です。
- なぜ床が汚れるのか?:天井から油が垂れてくるから
- なぜ油が垂れてくるのか?:天井裏の配管が老朽化して漏れているから
- なぜ漏れたままなのか?:配管工事をすると費用がかかるため、問題先送りにしてきたから
このようになぜを繰り返し、根本原因が「スタッフの不注意」ではなく「古い配管設備そのもの」にあると特定したら、そこに対して計画的なアプローチをする必要があります。
もちろん、予算の兼合いで今すぐ工事ができない場合もあるでしょう。その場合でも、「いつまでに予算を確保し、どう工事を完了させるか」をロードマップに落とし込んでおくことが大切です。
それなしで目先の対処だけで済ましていると、現場はいつまでも疲弊し、結果として生産性の停滞を招いてしまいます。