【ユニクロ柳井正に学ぶ店舗経営の本質】なぜ9回失敗しても10回挑戦できたのか?|商業経営の原理原則 13.

ユニクロを3兆円企業へ導いた柳井正会長。店舗経営の成功に欠かせない「正しさ」と「失敗を恐れぬ挑戦」を体現する経営者として、多くの店長やオーナーに羅針盤となる原理原則を示しています。

 「頭のいいと言われる人間に限って、計画や勉強ばかり熱心で、結局何も実行しない。人生でいちばん悔いが残るのは、挑戦しなかったことだ」
と柳井正。『売上0から3兆円企業へ!』 を実現したのは、たった一枚の手書きの企画書に記したコンセプトから始まった。当時35歳の柳井青年の淡々とした言葉に込められた真理。

この記事の目次

なぜユニクロ柳井正は9回失敗しても10回挑戦したのか

世界有数のアパレル製造小売業への成長の軌跡と本部移転

 2000年渋谷区道玄坂、2003年大田区蒲田、2006年千代田区九段北、2010年港区六本木、そして2017年江東区有明。世界有数のアパレル製造小売業ファーストリテイリングは成長の節々で本部を東京の各地で移転してきたが、変わらないものが二つある。

一つは本社を創業の地である山口県に置き続けることであり、もう一つは柳井正会長兼CEOの執務室に掲げられた「店は客のためにあり 店員とともに栄える」と書かれた額だ。じつは、この一文は本来「店主とともに滅びる」と続いている。

正しさへのこだわりこそ原動力

情報製造小売業——。

 2017年3月16日、ファーストリテイリングは2月から稼働した有明の新社屋Uniqlo City Tokyoで「有明プロジェクト」の取り組みを発表した。柳井正代表取締役会長兼CEOは、自社の事業をこれまでの製造小売業から「情報製造小売業(=Digital Consumer Retail Company)に変える」と宣言。従業員の働き方から産業構造まで、全社的にあらゆる改革を進めていくことを明言した。

具体的には「服を作る人と着る人の境をなくす」「一人ひとりに寄り添う」「次の世代に繋がるサステナブルな社会を作る」という3点の実現を目指す。これまでは全世界で10万人超の従業員が縦割りの構造で働いていたが、部門ごとにワンチームで連動し、かつダイレクトに世界中とつながっていく働き方に変えていく。

商品製造面では、作ったものを売るという従来のやり方から、情報プラットフォームをベースにAIなどテクノロジーを活用し、顧客の要望をリアルタイムに近い形で商品化に反映するなどサプライチェーンのスピード化を図る。

それまで掲げてきた「Made For All」というコンセプトを、一人ひとりにジャストフィットする「Made For You」に変えるなど、事業のあらゆる面で「革命を起こす」と柳井会長はいう。

その根源には、柳井会長の「正しさへのこだわり」がある。同社の企業理念の価値観にも記された「正しさ」とは、多くの企業が当然としてきた自社のエゴの追求ではなく、一般市民に等しく通用する正しい考え方で経営するということだ。一片のごまかしもなく、長期的視点で顧客の生活の向上を目指すことだという。

ユニクロ「有明プロジェクト」熱意の表れ

ユニクロを3兆円企業へ導いた柳井正会長。店舗経営の成功に欠かせない「正しさ」と「失敗を恐れぬ挑戦」を体現する経営者として、多くの店長やオーナーに羅針盤となる原理原則を示しています。
「頭のいいと言われる人間に限って、計画や勉強ばかり熱心で、結局何も実行しない。人生でいちばん悔いが残るのは、挑戦しなかったことだ」と柳井正。

 拙著『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』に寄せた解説で、柳井会長はこう記している。

「今まで『本当に良い服とは何か』を考え続け、それをつくりだし、世界中の人たちに喜んでほしくて、いろいろな面で『正しさ』というものにこだわりながら商売をしてきました。

どんな商売でも、何の努力もせずに楽に儲けられるものなどありません。とりわけ小売業は、店を開けていれば自動的に売れるような簡単なものではない。お客様に繰り返し店に来ていただけるように、完成された会社・ブランド・店・商品・社員に一歩でも二歩でも近づけるように地道な努力を継続することが必要です。だからこそその営みの根本には正しさが必要なのです」

柳井会長の執務室の額に書かれなかった「店主とともに滅びる」の真意とは、店主が正しさをないがしろにしたとき、企業はあっけなく滅びることを指摘したものだということがおわかりだろう。昨今の企業による不祥事が、それを如実に証明している。

「昭和の石田梅岩」「日本商業の父」と言われ、多くの商業者に「師」と慕われた経営指導者、倉本長治の思想は、「店は客のためにあり 店員とともに栄える」に、この一文を加えて完成する。柳井会長は「もちろん、自らの戒めとして常に心にとどめている」という。その表れの一つが「有明プロジェクト」なのである。

※専門家がお話を伺い、課題解決をサポートします。

1 2 3
シェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次