【地震・停電から店を守る】商店の初動対応と従業員の安全『信頼の経営戦略』店舗防災のすすめ2025年2月編

東日本大震災後の帰宅困難者で溢れる夜の街。店舗経営において従業員の安全確保と帰宅支援、安否確認体制の構築がいかに重要であるかを示す、災害時の初動対応とリスクマネジメントの教訓となる現場写真。

【経営者必読💡】発災直後、店長・オーナーが成すべき「初動対応」と従業員を守る信頼の仕組み

 2026年、激甚化する自然災害に対し、店舗経営者には「事業継続」と「命の守り手」としての重い決断が迫られています。

筆者がゆうちょ銀行本社や自衛隊の現場で培った危機管理の要諦を基に、公助が届かない「空白の3日間」を生き抜くタイムラインや、従業員が迷わず参集できる信頼関係の築き方など、理念と実務を繋ぐ核心を徹底解説します。

参集率を高める「家族優先方針」:自衛隊に学ぶ組織と個人の信頼関係
公助を待てない現実:救急は2日目、給食は3日目から始まるという事実
ゆうちょ銀行の事例に学ぶ:個人情報と安否確認の葛藤を突破する経営判断
初動を仕組み化する:避難経路・連絡網・安否確認の「3大最優先事項」

店舗防災は、単なる備蓄の確認ではありません。従業員とその家族を大切にする理念が、いざという時の店舗復旧を加速させる「ピープル・ビジネス」の本質に迫ります。

この記事の目次

災害時、店舗経営者が直面する「5つの不安」と深刻な葛藤

 大規模な災害が発生した際、店舗オーナーや店長が抱く不安は、建物の損壊といった物理的な被害だけではありません。特に地域密着型の商店ほど、経営者は以下のような「5つの不安」に直面し、身を削るような葛藤を抱えることになります。

  1. 営業の可否: 物理的に店を開けられるのか、開けても安全なのかという不安
  2. 深刻な人手不足: 従業員も被災者であり、無理な出勤を求めることができない現実
  3. 限られたリソース: 大企業のように多額の予算や時間を防災に割けない小規模経営の限界
  4. 供給網(サプライチェーン)の断絶: 仕入れが止まり、売るものがなくなることへの恐怖
  5. 「地域の灯」としての使命感: 地域の期待に応えたい想いと、自身の家族や従業員の命を守ることの板挟み

「商店は地域の灯である」という期待に応えたい一方で、「自分たち自身の生活と安全を守らなければならない」という切実な悩み。この葛藤を解消し、有事の際に迷いなく一歩を踏み出すためにこそ、事業継続計画(BCP)が必要なのです。

BCPは、単に「書類」を作ることではありません。事業を継続するための「準備構想」を具体化したものであり、その準備プロセスそのものに大きな意義があります。「準備の伴わない計画」は、いざという時に役に立たない「絵に描いた餅」になってしまうからです。

従業員の参集を支えるのは「組織と個人の信頼関係」

 災害時、従業員に対して「店が大変だからすぐに来てくれ」と求めるのは、現代の経営において極めてリスクが高く、また効果も薄い行為です。

店舗経営において、従業員の参集(集まり)を決定づけるのは、平時にどれだけ「組織と個人の信頼関係」を構築できているかです。

「家族の安全確保」を最優先する自衛隊の知恵

 陸上自衛隊の東北方面総監部では、東日本大震災の前年に対処計画を見直した際、ある重要な一文を計画の表面に記載しました。それは「隊員は家族の安全を確保したのち出勤」という方針です。

実は、当時の多くの隊員が津波予想地域に住んでいたという背景がありました。「隊員は必ず任務を最優先する」という組織への信頼があるからこそ、逆に組織側が「まず個人の安全と家族の安否を優先せよ」という配慮を示したのです。

この目に見えない信頼関係こそが、結果として組織の団結力を最大化させました。

職場での信頼関係が事業継続の基本(ゆうちょ銀行の事例)

 私がゆうちょ銀行本社に勤務していた当時、危機対策課が災害時の出勤可否(家族状況含む)を把握しようとした際、個人情報の保護を理由に反対する声が上がりました。しかし、当時の社長が「社員と家族の安全を最優先に配慮する」という明確な方針を打ち出したことで、風向きが変わりました。

「会社は、家族を含めて最大限ケアする」という姿勢が伝われば、従業員は自発的に家庭の状況を申告し、有事の際も「落ち着いたら店を助けに行こう」という前向きな協力体制が生まれます。

職場内でのグループ通信などを通じた普段からのコミュニケーションこそが、最強のBCPとなるのです。

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