労務管理入門「人で失敗し、人で成功する実務」 (第9回)採用者のフォローアップ「離職を予防する」

労務管理

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「心理的安全性」向上による人財安定化のススメ。マネジメントは21世紀「業務」から「人」へ。高度化した情報化社会の現代は「人」が中心と移り変わり、その基軸「心理的安全性」の高め方

店舗経営で一番重要なのは「人」であり、前回まで取り上げた様々な工夫をこらして店舗で活躍する「人」を採用できました。しかしながら、採用はゴールではありません。採用者にこれから店舗で活躍してもらうために、今回は採用者のフォローアップを取り上げます。

今回の内容

1.採用者のフォローアップが何故大切なのか?
2.フォローアップで一番重要なこと
3.心理的安全性とは
4.心理的安全性の高め方
5.第9回のまとめ

1.採用者のフォローアップが何故大切なのか?

採用には多くのお金と時間などが費やされます。採用したにも関わらず、入社後短期間で退職することになれば、その方の採用に費やしたお金と時間、そして労力が無駄になってしまいます。

新型コロナが5類に移行した現在では、サービス業の有効求人倍率*は非常に高い水準で推移しています。

現時点で最新の令和5年6月30日に厚労省が公表した有効求人倍率は、全業種でも高止まりしたまま横ばい状態が続いておりますが、宿泊業・飲食サービス業に限定すると前年同月比+13.5と全業種の中で最高水準が続いています。注1)

有効求人倍率の高止まりは、採用競争の激化につながり、また既存社員の転職マインドにも働きかける効果もあります。そのため、成長志向で有益な人財を獲得するチャンスでもあります。求人募集の詳細はリクルートアクション・マニュアル*を参照してください。

(詳細)「リクルートアクション・マニュアル*」参照先:ピープル・ビジネス理論 3章 人財開発論『リクルートアクション・マニュアル』

また有効求人倍率に関わりなく、新たに採用した方の戦力化はどの店舗でも最重要項目の一つであることは異論が無いと思います。そこに加えてコロナ禍からの経済回復傾向から有効求人倍率の高止まり=採用難から、採用者の定着につながるフォローアップの重要性はますます重要になっているといっても過言ではありません。

注1)厚労省令和5年6月30日公表「一般職業紹介状況(令和5年5月分)について」より

◆有効求人倍率*とは:求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値で、「就職のしやすさ」の目安になる経済指標のひとつ。例えば、求職者100人に対して求人が200件あるとき、有効求人倍率は2.0倍となる。このように求人倍率が1を上回れば人手が足りず、多くの企業が積極的に求人をしているため労働者側に有利な「売り手市場」となり、1を下回れば、企業があまり求人しないときに企業側に有利な「買い手市場」となる。有効求人倍率は、景気とほぼ一致して変動するため、景気の動向を知るための指標にもなります。

2.フォローアップで一番重要なこと

今、我が国では、人手不足、採用難、人件費アップ(最低賃金アップ)など「人」の面で苦労している企業が増えてきています。

本連載では、ここまで採用から入社までを取り上げました。採用計画の重要性から、労働条件通知や国の保険手続きの重要性を解説してきました。

しかしながら、ここまで解説してきた採用計画や労働条件通知や国の保険手続きは採用者のフォローアップには直接関係しません。その理由は、これらは「衛生要因」であり「動機付け要因」と異なり、仕事に対する意欲を直接に高めるものではないからです。注2)

採用者のフォローアップは国の保険手続きのような法律的な事務とは別に、いかに素早く人間関係を構築できるようにするのか?に始まり、そのスタッフの定着は人間関係の安定的な構築が鍵になります。

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