人間関係とリーダーシップ
リーダーシップとは
最初にリーダーシップの語源と語意から説明すると、英語では「Leadership」と書き、「Leader(統率者)」と「Ship(船)」から構成されています。
その意味は、刻々と変化する気象や波の状態から船を目指すべき港に向けて安全な航海をするため、乗組員が各々の役割を発揮できるようにする統率者(船長)の言動のことです。
店舗経営(ピープル・ビジネス)では、店を「船(Ship)」、従業員を「乗組員(Crew)」、船の統率者を「マネージャー(Manager)」と呼び、店という船の舵を取って、目標に向かって安全にコントロールすることを「リーダーシップ(Leadership)」と呼んでいます。
具体的には、ピープル・ビジネスでのリーダーシップとは「あなたと言う一人の人間が、他の人たちをリードして、売上、利益、顧客満足と人財育成で最高の成果を上げられるようにする能力のこと」と定義しています。
リーダーシップが発揮されている店の特徴は、各々のスッタフが自身の役割を知って主体的に行動しているのでスムーズなオペレーションが実現し、奏でるオペレーションハーモニーは快適であり、それがスッタフや顧客に伝わるものです。その状態をコンダクトしコントロールするのがリーダーの役割なのです。
◆オペレーションハーモニー:Operation Harmony[英]お客様や接客の声、レジの操作音、機器や空調の音、調理の音やオペレーションコントローラーやスッタフの声など店で発生する様々な音が調和し、オペレーションハーモニーが奏でられている店。それはまるでオーケストラが美しい旋律を奏でるように、各スタッフがそれぞれの役割を理解し、主体的に動くことで生まれる、淀みのないスムーズな運営の状態のこと。逆にクレームやトラブルが発生していると雑音になってしまう。
◆コンダクトとは:conduct[英]:指揮や指導することの意
◆コントロールとは:control[英]:統制する、調整、制御するの意。

ピープル・ビジネスにおけるリーダーシップの発揮とは
1.間接的マネジメント
人間関係の3要素*であるモチベーション、コミュニケーションとカウンセリングを通じ、部下を通じ会社や自分が求めている成果を上げる。

2.部下への支援
部下の強みやモチベーションの源を知り、それが発揮され実現できるように、部下の潜在能力を引き出すために全力でサポートする。
3.未来志向
過去は変えられないが、未来は変えられる。「未来を見つめ、未来の目」で現在の在り方を見直し改善する。
部下へ指示や管理をしたり、自分でできないことを部下にやらせたり、押し付けたりすることでもありません。例え、自分自身ができないことを部下に求めても反感や不信感を買うだけで、結果には繋がりませんし、人間関係の悪化をまねいてしまいます。
管理職のリーダーシップ4大条件
1. 気力、体力、精神力
能力よりもどんな状況でも打ち勝てる精神力と体力。ゴールまでやり遂げる、成し遂げると言う気力を先頭に立って発揮することです。一見、ドライで科学的なピープル・ビジネスにも実は最も重要で必要なことなのです、、、
2.業績を出す能力
有益な人間であれ。どんなに有能で頭脳明晰であっても、実行し成果を出せなければ無能に等しい。
3.人を大切にするリーダーシップ
・自分のこと同じ様に、部下も大切にし、部下の成長促進のために率先して助言を与える。
・相手のアイデアを主観的意見の主張や否定をするのではなく、客観的かつ具体的な代替案、改善案を提示し、相手に考えさせて意思決定させる。
4. 真摯な姿勢(正直・率直・素直・謙虚)
真摯とは正直・率直・素直と定義し、絶対に嘘や不正の無い正直な人間。
部下に対し公明正大な態度で接し、「Lead by Example.(自らが手本を示しリードする)」で行動する姿勢と態度で他者を否定をすることなく積極的な行動で示す。
率直さと同僚、上司や先輩のアドバイスを素直に聞き入れる態度。そして、他者批判をせず、自ら学ぶ姿勢、即ち成長意欲があり「謙虚」な人。
管理職のリーダーシップのゴール
管理者であるあなたのゴールとは部下に指示を与え続けたり、職位的力(ポジションパワー)で部下を動かしたり、部下の仕事ぶりを管理することでしょうか。
人を動かす管理職には何が必要なのかを知っていますか?
人の心の動きとは、知性、理性…、他に何があるのでしょうか?
一番人の心を動かすこととは?
人の心に訴えることとは?
これらが何かわかりますか?
仕事でも人間関係でも相手に完璧を求めることは、自分自身にも完璧を求めていることになり、相手にプレッシャーをかけるだけではなく自分の首を絞めてしまいます。
相手に100%完璧を求めることは非現実的なことですし、人は失敗から学習して成長していくため、精度を100%に近づけること。そして、達成できるようになったら次の目標を設定して、チャレンジを繰り返すことが求められます。
そのためには「将は、将の将たる将の器」で行動し、「人を動かすには、人の心を動かすしかない( 名著『人を動かす』 デール・カーネギー著より)」が必要になります。
管理職は人間学の研究が不可欠で、人の心は何によって揺さぶられ、動機づけされるのかを店舗経営を通じ探究し続けることがピープル・ビジネスの本質でもあり、ゴールでもあるのです。