【この記事の概要】
「文化を変え、市場を開拓!」経営者からパートアルバイトまでが共有する行動指針と判断基準
日本のドミノ・ピザは、独自の宅配用三輪バイク「ドミノジャイロ」を開発し、宅配文化を築きました。1980年代の日本は二輪バイクでの出前が主流でしたが、安全面や運転技術の課題から、ドミノ・ピザは安全性を重視し、三輪バイクを導入しました。この決断は、経営理念「SSPIP」に基づき、安全な運転、迅速な配達、高品質な商品提供、清潔なイメージ、従業員の誇りを実現するためのものでした。ドミノジャイロは、単なる配達手段を超え、ブランドイメージを確立し、宅配文化の象徴となったのです。
なぜ三輪デリバリーバイク「ドミノジャイロ」が誕生したのか
車でもバイクでもない三輪バイクが採用された理由
筆者が初めて宅配用三輪バイクを目にしたのは、日本一号店の恵比寿店でグランドオープンに向けピザ調理のトレーニングを受けていた日のことだった。
日本初の宅配用三輪バイク「ドミノジャイロ」が納品され、店頭に整然と並ぶその光景は、まさに圧巻。深く心を揺さぶられ、感動したことを今でも鮮明に覚えている。
この宅配用三輪バイクは、現在ではデリバリー文化の象徴として宅配バイクのスタンダードになっているが、1980年代の日本はまだ50ccの出前用バイクが主流の時代。その時代に、機能性と斬新なデザインを兼ね備えた宅配用三輪バイク「ドミノジャイロ」は、人々の目を引き、強い存在感を放っていた。
そもそも本家アメリカでは自動車でデリバリーを行っていたのに、日本ではなぜ四輪車を使わなかったのか。
日本国内の交通事情は、道路の慢性的な渋滞、駐車場の不足、狭い裏路地など、四輪車よりも小回りが利き、狭い場所でも駐車しやすい二輪車が適していた。しかしながら、二輪車はある程度の運転技術が必要で、転倒による怪我や事故などのリスクが高いことが問題に挙げられた。
そこで、日本のドミノ・ピザは、ピザの宅配用バイクをメーカーと共同開発した。
その結果、デリバリー用ボックスを備え、安定感があり、フロントから上部にかけて大型ルーフを搭載することで雨風の抵抗を軽減し、走行時の快適性を確保した、見た目もスタイリッシュな宅配用三輪バイク「ドミノジャイロ」が誕生したのだった。
「出前文化」から「デリバリー文化」に発展
安全をお金で買ったドミノ・ピザ
当時の日本は、ラーメン屋やそば屋が店内で提供している料理を電話で注文した顧客に配達する「出前文化」が中心で、Hondaの50ccバイク「スーパーカブ」に、ラーメンやうどんなどの汁がこぼれないように空気バネを付けた発明品の出前機(出前品運搬機)に商品を載せて出前をしていた。
スーパーカブはスクーターとは異なり、シフトペダルの操作でギアチェンジが必要だったり、出前機のバランスを取ったり、大型ルーフもないので雨風が直接当たるなど、運転には体全体でバランスを取り、高い運転技術も必要だった。そして、見た目も地味で、誰もが乗りたいと思うようなバイクとは言えなかった。
もし初期投資だけを抑えたいのであれば、高額な三輪バイクよりも二輪バイクを導入する選択肢もあったが、ドミノ・ピザは「安全」への投資をしたのだった。
その理由は、ドミノ・ピザの経営理念「SSPIP」に基づいている。
S(Safety):安全第一。安全なオペレーションと安全運転
S(Service):30分以内のデリバリー、親身なサービス
P(Product):高品質の商品、熱々のピザ、高い生産性
I(Image):清潔なイメージ、身だしなみ
P(Pride):ドミノマンとしての誇り、プロとしてのプライド
つまり、
■ドミノ・ピザの経営理念「SSPIP」を実現するためのバイクの条件
S(Safety):安定性があり、運転がしやすいバイク
S(Service):安心安全、そして、確実にデリバリーができるバイク
P(Product):高品質で熱々のピザをデリバリーできるバイク
I(Image):清潔なイメージのバイク
P(Pride):ドミノマンとしての誇り、誰もが乗りたいを思うバイク
結果、日本初の宅配用三輪バイク「ドミノジャイロ」が誕生したのだ。
今日でも宅配ピザのトップブランドに君臨し、その宅配用三輪バイクは、今では当たり前の宅配用バイクとして、また、デリバリーという文化とともに定着していった。
そして、ドミノ・ピザの経営理念「SSPIP」は、2万人の従業員を支える行動指針と判断基準の土台でもあり、ドミノ・ピザが競合優位性を高めたお客様との約束を厳守するために、現場を活気づけ、人を育て、生産性を上げ、組織を構築する強い現場力の礎にもなっている。
