ピープル・ビジネス理論 0章 概論 6.泥臭い商売の原点と店舗経営の大原則「1円と信用の重み」

商売の原点 1円と信用の重み 一円、五円、十円などの各硬貨 小銭
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【この記事の概要】
 「1円足りなければ、コンビニでジュースを買うことも、電車やバスに乗ることもできないのです」
 ピープル・ビジネスは別名ペニービジネスとも呼ばれ、「1円をかき集める泥臭い商売」と呼んでいます。大切なことは、お金の使い方と獲得方法の難しさを学ぶことにあります。経営者はなぜ床に落ちているネジや原材料を見て「お金が落ちている」というのでしょうか。そして、ピープル・ビジネスにおける店舗経営の大原則は、“感情の無いお金”や“商品などの物”を大切に扱うことができて、初めて”感情のある人間”も大切にすることができるのです。

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泥臭い商売の原点「1円と信用の重み」と店舗経営の大原則

1円足りなければ、コンビニでジュースを買うことも、電車やバスに乗ることもできないのです

 ピープル・ビジネスは別名ペニービジネスとも呼ばれ、「1円をかき集める泥臭い商売」と呼んでいます。

米国も日本も、同様に1円の大切さと重みを知って、1円の売上と利益を獲得することの難しさや大変さを店舗経営の実務で経験します。

1円、足りなければ、コンビニや自動販売機でジュースを買うことも、電車やバスにも乗ることもできないのです。1970年代、筆者が子どもの頃、お小遣いをもらって駄菓子屋さんにお菓子を買いにいって、お金が足りず欲しいものが買えなかったほろ苦い経験をしました。このような経験は皆さんも一度はあるのではないでしょうか。

1980年代頃までは、個人商店も多く、時にはお店の人がおまけしてくれたりなど。このような経験から人の優しさ、思いやりや温かい心に触れたりして1円の大切さを学んできたものです。

時代は変わり、個人商店からチェーン店が中心となり、電子商取引が中心の現在では1円でも足りなければ、おまけもしてもらえませんので物を買うことができないのです。

大切なことは、お金の使い方と獲得方法の難しさを学ぶことにあるのです。

経営者はなぜ床に落ちているネジや原材料を見て「お金が落ちている」というのでしょうか

 経営者は、工場の床にネジ、厨房の床の食材などの原材料が落ちているのを見て、事務所のミスコピーの書類が捨てられているなどのロスはお金に映り、「お金が落ちている」と表現しますが、なぜそのような表現をするのでしょうか。

その本質は、会社のお金であっても自分の懐から支払っている意識があるので、それぞれの原価や仕入れ金額もよく覚えています。さらに、ロス金額をカバーするには、いくらの粗利益が必要で、そのためにいくつ商品を売ることが必要なのかを把握していて、その大変さが分かるからなのです。

具体的には、日本マクドナルドの創業者で外食産業発の売上1000億円を達成した藤田田さんは、創業時から本部本社で鉛筆一本やコピー用紙一枚の取り扱いまで厳しく教え、取り扱いを徹底していました。三代目社長の原田泳幸さんは「1円の大切さを知り、5,000億円のスケール感を持つ」と方針を明確にしています。同じ会社で経営者は違えど、その原点は同じです。

また一般的な事例では、創業時に、銀行などの融資、物件申し込みや機器リースの審査で、初めて自身の信用力や与信力を知って驚かされることもあります。与信審査に通らなければ、開業すらできません。

このような苦い経験から 懸命にに働いて売上と利益を上げて、融資などの限度額が上がることでその評価を認識された方もおられるのではないでしょうか。

会社員時代は、会社が守ってくれていましたが、創業し社長になると誰も守ってくれず、すべては自分の責任になるのですから。これらは正に商売の原点である「1円と信用の重み」なのです。

そして、社会的信用を得るころができたとしても、大切な人がどんどん退職してしまったり、人間関係などの人の問題で頭を悩ませることもあります。

ピープル・ビジネスにおける店舗経営の大原則は、“感情の無いお金”や“商品などの物”を大切に扱うことができて、初めて”感情のある人間”も大切にすることができるのです。そして、現場の先頭に立って、従業員を導き一心不乱に働いて、己を磨くこと。これが「人や1円を大切にする経営」「商売マインドの実践」を意味します。

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