2.店長に必要な10のマネジメント知識
店舗経営ができる店長に必要な知識とは何が求められるのか?
店という狭い空間で多種多様な個性の集まりをコントロールできるだけの視野とその観察からさまざまシグナルに気付くことができる知識が必要になる。
さらに、知識が不足していると曖昧な意思決定や初動などの遅れなどから、大事に発展してしまうこともあり得る。そこで、店長に必要なマネジメント知識を説明したい。
下記「店長に必要な10マネジメント知識」をご覧いただくと、一見、一般的でありきたりな内容に感じるかも知れない。しかし、このマニュアルの最大の強みで他と異なるのは、現場力を最大限引き出しながら人間力を育成するように開発されている点だ。
具体的には、業務をこなすだけでなく、業務を通じて自身の潜在能力を引き出している。それは、同じマネジメントを行っても、自身の受け止め方によって大きく左右される。
マニュアルですべて教えてくれるわけではない。現場の課題や問題という壁にぶつかったら、マニュアルを調べ、最適な対応を考え、自分で対処する。この繰り返しによってマネジメント知識が体得できる。
そもそも、店舗経営(ピープル・ビジネス)には多くの人が関与しており、100名いれば100通りの感情や考え方がある。
その人が集まる店舗は、刻々と状況が変わる生きもののため、すべてマニュアル化は難しいし、たとえマニュアル化できても運用が困難である。さらに、現場状況の把握も人によって捉え方もさまざまで、事実と会社の基準による対応が、その場その場で求められる。
なお、文中に「管理」という言葉が多くでてくるが、その意は規則で縛り、小手先で人を動かすことではない。活気に満ちあふれた店舗の雰囲気をつくるために店長は経営者の器である人間力を向上させるための手法と認識してほしい。
知識習得の目的は、業務を通じ店長自らが、店を取り巻く環境から、正確かつ的確な意思決定ができる人間力の養成にある。
まず、店という船の舵取り方法を習得すると捉えてほしい。大切なことは100%完璧な人間など存在しないということ。しかしながら、それを目標に自身の努力は可能で、その平等に与えられたチャンスをつかみ取るかどうかは「すべて、あなた次第」なのです。
(1)事務処理
事務処理とは、帳票の作成や管理が目的ではなく、事務処理を通じて数字から異常値に気づき、現場検証から本質究明と改善……
(2)現金管理
「現金事故」は利益損失に直結し、大切な人をも失い、売上や企業イメージに大きな影響を及ぼす。不正の誘惑や衝動を与えない「安心安全な店舗環境」から適切な利益確保を……
(3)損益管理 その1 知識編
自店舗の固定費額と変動費率、損益分岐点の把握。目標利益と必要売上の算出。これらを店舗運営で、最大の売上と利益は1時間単位で確保し、秒単位でコントロール。損益の問題究明はタイムリーに現場検証し……
(3)損益管理 その2 事例研究編
「森を見て、木を見て、その根を見よ」。クリーニング工場の赤字解消と再建。下がり続ける売上、上がり続ける人件費が経営を圧迫している損益計算書の異常値を現場検証し、本質的原因を見つけ……
(4)施設管理
固定費を押し上げ、利益を圧迫する施設や設備の年間保守料を見直し、不要な営繕費や修理費などの不要なコストの削減。ブランドイメージを守り売上と利益を確保する店長が実践する施設管理……
(5)労務管理
労働環境の整備、必要人員算出と確保、育成と定着からその難しさを経験させて、必要な対応や労働法規を習得。また、給与計算から基本給や残業代、法定福利や租税公課などの人件費の構造を理解し、適切な人件費コントロール……
(6)トレーニング
トレーニングとは、スタッフの現在のレベルから会社の期待しているレベルまで引き上げること。人手不足でも、ピークタイムでも、トラブル発生時でも人の育成はできる。ピンチこそ絶好のトレーニング……
(7)店舗販売促進
販促促進は本部本社と店舗で目的と役割が異なります。双方が機能して結果につながるのです。店舗では、店舗特性を活かした販売促進を店長責任のもと実施して、お客様を店まで連れて来て……
(8)商品管理
感情の無い「ありのままのモノ」から五感を通じ正確な事実確認と適切な対応から、在庫、欠品や品質管理にとどまらないリスク対策によって売上を増大に……
(9)クレーム管理
「お客様は神様?」 毅然とした正しい対応と動じない精神力 小手先のテクニックではなく、迅速かつ適切な「事態を悪化させない対応」と「再発防止」で……
(10)安全管理
「店と人を守る」そして「売上と利益を守る」店長の安全管理。「災は忘れた頃にやってくる」のではなく「忘れたからやってくる」のです。重大事故になる前の身近なトラブルや事故などの適切な対処と予防……