ピープル・ビジネス理論 8章 人事評価 2.人を辞めさせてしまう評価

人 評価

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【この記事の概要】
 評価とはできないことの改善を促す?
「ここができていない」「これがダメ」と「ダメ出し」や「否定」をして改善を促した結果、どんどん人が辞めてしまった。いや辞めさせてしまっていた

バブル経済の出店攻勢に人の育成スピードが追いつかず、離職増から人事評価によって定着促進を図る

出店が加速され人財育成が追いつかなくなり、重要な戦力の確保と育成。そして育成した人が辞めないための定着促進が必要となった

前回の記事では人事評価制度の落とし穴である「評価項目」や「評価方法」を変えてもうまく機能しないことを説明した

今回はさらに、バブル経済で顕著になった人事評価制度の機能不全の状況と要因を説明したい。

日本では1980年代後半から1990年初期にかけて、バブル経済で好景気に沸いていた時代に各チェーンがシェア拡大をすべく、こぞって出店攻勢をかけていった。出店が加速され人財育成のスピードが追いつかなくなった頃だ。

正社員や重要な戦力であるパート・アルバイトらスッタフの確保と育成。そして育成した人が辞めないための定着促進が求められ、人の採用*、トレーニングにおける評価や人事評価の重要性が認識されマニュアル化や仕組化が推し進められた。

人の採用*についての詳細は以下にて。

・人の採用*とは(参照先:ピープル・ビジネス理論 3章 人財開発論『リクルートアクション・マニュアル』)

「トレーニングをして評価をすれば人が育つ」と教わったにもかかわらず、どんどん人が辞めてしまう

正社員の定期的な人事評価と考課査定は一年間に夏、冬と決算賞与と定期昇給時の3~4回実施されていたが、それだけでは不十分だった。

不公平な評価にならずに定着を促進させるためには、トレーニング時、度々生じる諸問題の解決時や月次の予算管理などの日常的な評価の実施とその評価の積み重ねを定期評価に活かすことが求められたからだ。

年3~4回の評価時に取りまとめて評価をフィードバックしても、数ヶ月前のことを覚えていないし、ましてやその間、放置状態のほうが人の育成や経営に大きな影響を及ぼしてしまう。

人の育成は「できない人をできるようにすることと」。評価は「それを伝え改善を促すこと」と教えてられていた。

そのため評価では「ここができていない」「これがダメ」といった「ダメ出し」や「否定」をして、「できていないこと」を指摘し、できるようにするために改善を促した結果、どんどん人が辞めてしまった。いや辞めさせてしまっていた、、、

このように、部下を変えることで仕事ぶりを改善させれば業績も上がる。部下を管理して変えるのが店長の仕事。部下が変わらなければ「その部下は必要ない」と教えられていたのだが、本質は違ったのだ。

評価をしてもパフォーマンスは改善されず、逆に人間関係がギクシャクして、職場の雰囲気は悪くなり、育てたかったはずのスッタフは辞めてしまう(実は辞めさせてしまっている)ため、離職率は上がる一方で、また採用から始めることから繰り返すものの一向に人が定着がしない悪循環に陥ることが多かった。

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