「業態革新」の重要性
これまで店舗経営(ピープル・ビジネス)では「商品」ではなく「売り方」での差別化、つまり「業態革新」の重要性を以下で解説してきました。
- ピープル・ビジネス理論 0章 概論 6 家業生業から近代経営へ 1円と信用の重み
- ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 1 「商品」ではなく「売り方」での差別化
- ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 2「高付加価値」を生む業種業態の確立とビジネスモデル
「今では当たり前」として根付いている文化も、創業当時は「当たり前ではなかった」のです。失敗と試行錯誤の繰り返しとあくなき挑戦の結果で「大手チェーンだからできた」のではないことなのです。
そもそも、
・コンビニエンスストア
・リユース
・デリバリー
などの業態はありませんでした。
時代とともに変化する消費者ニーズとともに業態は進化してきました。
「業態革新」の事例
セブンイレブン:酒屋店などの小売商店からコンビニエンスストアに
日本国内展開は酒屋店などの小売商店を中心に、
- 長時間営業
- 年中無休
- 豊富な品揃え
- フレンドリーサービス
- 明るく清潔感のある店内外
としてコンビニエンスストアが始まり、現在では地域のインフラ的存在としてATM、公共料金の支払い、チケット購入や住民票の発行などまで様々なサービスが加わって発展を続けています。
ブックオフ:古本屋を新古本書店、総合リユースに
古い、かび臭い、暗くて入りにくかった古本屋から新刊書店のような店づくり。キャッチフレーズは「本を買います」から「本をお売りください」に変更しました。
そして、やまびこ式の挨拶、目利きと経験が必要だった買取り、古本を磨き上げる商品化、商品回転率アップなどをパートアルバイトでできるように、3S*化などで進化させました。
創業当時、紙やすりを使った手作業で古本を磨き上げていたため作業時間も労力も掛かり、スッタフの手の皮が剥けてしまうなど大変な作業が機械化され、書籍バーコード導入による単品管理や本以外の買い回り品や専門品を取扱う総合リユースに発展しました。
◆「3S*」とは:チェーン化やマニュアル化に必要な下記要素頭文字を取ったもの
・単純化(Simplification)
・標準化(Standardization)
・専門化(Specialization)
ドミノ・ピザ:出前からデリバリーへ
うどん、そば、ラーメンやすし屋の出前は日本の文化として、店が忙しい昼食時や休日に注文してから商品が届くまでに相応な時間が掛かる。店の都合に顧客が合わせて注文する文化として昭和時代に発展して定着しました。
その時代に「焼き立て、とろけるチーズの熱々ピザ」を「注文からお届けまで30分の約束*」「30分を過ぎたら700円引き(米国では50セント)」のキャッチコピーで顧客と「時間と品質の約束」を訴求し国内で展開を開始しました。
その当時、「30分の出前?まさか無理でしょ」と疑って、面白半分に700円引きを狙って注文して、逆の意味で期待を裏切られ、ドミノファンが増えていきました。
このようにお客様に配達の時間と品質の約束をして、商品の写真入りメニューチラシが定期的にポスティングや折込で配布されるデリバリー文化が今日の私たちの生活に根付いています。
◆「30分の約束*」:30分の約束を守るために配達を急いで重大な交通事故発生による社会問題から日本でも700円引きを廃止し、経営理念の一つである安全を最優先しましたが迅速なデリバリーには変わりはありません。
ドミノ・ピザの経営理念「S.S.P.I.P.」
- S(Safety):安全なオペレーションと安全運転
- S(Service):30分内のデリバリー、親身なサービス
- P(Product):高品質の商品、熱々のピザ
- I(Image):清潔なイメージ、身だしなみ
- P(Pride):ドミノマンとしての誇り、プライド
商品での差別化ではなく、売り方による差別化の進化
このように商品での差別化ではなく、売り方の差別化を時代とともに進化をさせています。
生活必需品、最寄品などの身近な商品の販売、提供方法の「業態革新」の徹底や店舗イメージなどの改善の結果、生まれた業態。すべてはお客様との約束実現のため、失敗や試行錯誤の繰り返しから業態を探究した結果と言えます。
グローバルチェーンに見る業態革新
ビジネスモデルで驚異の競合差別化・儲かる集客を実現
競合と同じ事を、同じレベルで、同じように実施しても、勝ち目はありません。勝つために、現状を見直し、打破するために、何が必要かを考え、他とは敢えて違うことを実施することが店舗経営、ピープル・ビジネスにおける競合差別化戦略です。
その具体例を以下に紹介します。