ピープル・ビジネス理論4章 人間関係 3.部下の「自主性や主体性」を引き出す 「権限委譲と信頼関係」

部下に仕事を任せ握手をする上司 人間関係 リーダーシップ 権限委譲

【この記事の概要】
  人間関係の究極的目的は「信頼関係」を構築すること
人間関係を構築する唯一の方法は、自分の仕事を部下に任せる。つまり、権限委譲をすること。部下はあなたの後ろ姿を見て、追いかけて成長していく。その過程から信頼関係は自然に構築される。

権限委譲と信頼関係

信頼関係を生み、人間関係を構築させるために必要なこと

 前記事で触れた通り、人間関係は難しく、マニュアルなどにも詳細の説明がなかったり、人によって言うことが違うことも多々ある。そのため、何を、どのようにすればいいのかが分からず悩む人も多いだろう。

それもそのはずで、人は100人いれば100通りの感情があり、その人たちが店に集まることで店舗状況は刻々と変化する。そのためまた、店舗状況はこれら感情にも左右されやすくなっている。だからこそ、その人たちのコントロール方法の標準化やマニュアル化をしようとすることは現実的ではない。

そもそも人間関係の基本は、相手の状態に合わせてコミュニケーションの取り方を変化させ、相手に合った柔軟なコミュニケーションを図ることである。

具体的には、相手の状態や店の状況から適切な判断と対応ができるよう、人間関係に関する最低限の知識をもつことが大切だ。そして日々、試行錯誤を繰り返すことによって、人間関係も構築されていく。結果的に、この適切な対応の繰り返しがリーダーシップに繋がるのだ。

この原則を理解すると、コミュニケーションの三原則は次のようになる。

① 感情的に話さない
② 具体的な行動について話す
③ 相手の話をよく聞く

この三原則を徹底して実践すれば、人間関係の構築は本来ならばさほど難しいことではない。

しかし実際は、相手の感情に惑わされずに自身をコントロールし、平常心を保った対応を体得できるようになるにはかなりの時間と忍耐を要する。この自身のコントロールと忍耐はとても難しいこと。

信頼関係と人間関係を構築するためには、老子の教え「上善は水のごとし*」のごとく、相手に合わせて自身をコントロールし、一貫した考えのもと柔軟な対応を実践し、相手をリードすることが必要になる。

そして、店舗経営(ピープル・ビジネス)における究極的な信頼関係と人間関係を構築する方法は、自分の仕事を部下に任せることだ。つまり、権限委譲をすることがとても重要なのだ。

◆上善は水のごとし*とは:「老子」の八章に見られる有名な言葉。本文をたどると、「上善は水のごとし、水はよく万物を利して争わず、衆人の恵む所に処る。」とある。つまり「最高の善は水のようなものでなければならない。水は万物を助け、育てて自己を主張せず、だれもが嫌うような低い方へと流れて、そこにおさまる」と述べている。

権限委譲の本質

アルバイトのスタッフにキビキビした対応と絶やさぬスマイル。あそこまでホスピタリティを発揮させている企業はあまり存在しないのではないだろうか

 「世界的チェーンのパート・アルバイト(P/A)のキビキビした対応と絶やさぬスマイル。アルバイトのスタッフにあそこまでホスピタリティを発揮」させている企業はあまり存在しないのではないだろうか。

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