【この記事の概要】
「売上げや利益は人の上に成り立つ」
「売上の増大とは、そこで働くスタッフのレベルの向上でありスマイルである」
私たちは売上の増大をこのように捉えて定義しています。店長には、質の高いスタッフを自らが確保し、育成して高いレベルでの店舗経営と商売マインドの実践が求められます。
どんなに優秀で豊富な知識よりも、自ら実践し、人を通じて結果が出せる店長に求められること
1.売上げや利益は人の上に成り立つ
「売上の増大とは、そこで働くスタッフのレベルの向上でありスマイルである」。私たちが売上増大をこのように捉えて定義している。また、店長には、質の高いスタッフを自らが確保し、育成して高いレベルでの店舗経営と商売マインドの実践が要求される。
とは言っても店長には、
「いったい何が求められているのか」
「何ができるようになれば店長になれるのか」
これらが明確になっておらず、満足なトレーニングもない中、店舗でレジ打ち、品出しや発注に追われ、ただただ疲れ果ててしまっている。創造的な仕事をして売上や利益を上げるなどとは「何をか言わんや」である。
このような状況で責任ばかりを店長に押し付けた結果、「店長になりたくない症候群」がバブル以降、巻き起こっている。
バブル時も人不足で満足な休みと取れない店長の後ろ姿を見て「あのように、責任ばかりあって、長時間労働で休みもなく、大変な仕事はしたくない」と後人に思わせてしまった。本来ならば、店長の後ろ姿を見て「あのような人になってみたい」と思ってうからこそ、人が集まり、育っていく。
しかしながら、現状は真逆で「負の連鎖」が続いてしまっているために人不足に拍車をかけてしまっている。
そこでここでは、店舗経営ができる店長に必要な売上と利益の獲得、お客様満足度の向上と人財育成のためのマネジメント知識とスキル、そして、昇格チェックの方法を紹介したい。
2.店舗経営者として店長を育成する教育のバランス
消費者ニーズの多様化、ライフスタイルの変化により、商品に頼った差別化が困難になった昨今、店舗経営では店長による差別化、真の意味での人間力経営が問われる時になった。
商品の発注、陳列、販売や接客を行うのは全て「ひと」なのである。例えどんな良い商品開発をしても、それを売る力が現場になければ売れるはずもない。売上げや利益は人の上に成り立つ。
商売の根本は人であり、経営は実務と実践である。留意頂きたいことは、数字や理論ばかりを追求しすぎると目先の数字コントロール、最悪粉飾などに陥り人間力無き経営となってしまう。
ここでは『売上げや利益は人の上に成り立つ』という原理原則に基づいた店長育成マニュアルを紹介しよう。経営学、マーケティング、会計、販売管理、人的資源管理など多くの知識を実務で活用できるよう体系化され、先人達によってブラッシュアップされてきたものを引き継ぎ、現在も進化を続けている内容である。
店舗経営ができる店長育成には、経営理念を共有し、ベクトルを合わせて同じ志のもとでバランスのとれた経営を実現するためには理念、知識、技術において偏りのない教育が必要になる。そこで図1の教育のバランスをご参照いただきたい。
図1 教育のバランス
まず、理念教育であるが、経営理念の共有があってこそ、組織への帰属意識が生まれ成長意欲が助成される。いわば木の根となるものである。
まず先にこの根を養い大地にしっかり根付かせることで、成長力に差がでてくる。つまり、社長の経営に対する想いを現場スタッフ伝え、ともに実践することで、リーダーとしての素直さ、勤勉さや積極性を引き出すのである。
3.理論武装の頭でっかちではなく自ら実践し、間接的マネジメントで結果を出せる人の育成
そこで、必要になるのが各知識の習得になる。その習得方法はトレーニングサイクルと呼んでおり、まず実務を習得させ、そのあとに知識を教える。実務がわからない人に知識を最初に教えても、描けることもできないし、理論武装した頭でっかちを育成することになるからだ。
実務の習得の後に「Why(なぜ)」「How(どうして)」を教える。この繰り返しによって、短期間で素人をプロに育成することができる。人に教えることができない人、人を育成ができない人は、たとえどんなに優秀であってリーダーにはなれない。それはパート・アルバイトでも、社員でも上に立つ人に必要な資質だ。
そして、店長には、高いレベルのスタッフを何人確保、育成したかが要求され、その人たちを通じて高いレベルで店舗運営が実践できるかが要求される。
店舗経営は、間接的マネジメントであり、部下の育成には資質や強みを引き出し、結果、業績を達成する。売上の増大とは、「そこで働くスタッフのレベルの向上でありスマイルである」と先述した通だで。
この店長マニュアルを進めるにあたって、最初に「店長は安心して休日がとれますか」と質問をしたい。皆さんは「はい」「いいえ」、どちらの回答であろうか?自身をもって答えいただきたい。
この質問の真意は、あなたの右腕となる人が育っているか?を聞いている。
なぜ、そんな質問をするのか、疑問を抱くであろう。実は、今日では当たり前になった週休二日制は、昭和後期、労働基準法改正前の店舗経営では当たり前のことではなかった。
法改正の後でも、休みの日に店から連絡が入ったりしていないであろうか。せっかくの休日くらい安心して休んで欲しいし、相応の給与など、魅力的は仕事であってほしい。
ここで理解いただきたいことは、実は週休二日や待遇などは自らの力で勝ち取るものであったこと。その機会を会社が与えてくれたいたのだどのようにして週休2日を導入されたのかを知っていただきたい。
ではその2つの課題とは
① 右腕が育っていて自分が休みの日でも運営水準が同じこと
② 週休2日の損益分岐点を算出し、目標売上と利益を達成すること
この2つの課題がクリアできた店から順次、週休2日を導入していった。ここで考えて欲しいことは、皆さんはこの2つの課題をクリアして週休二日を取得しているであろうか。
休みや給与の源泉は何かを、それをよく考えて欲しい。店舗このように今では当たり前のことも、当たり前ではなかった。
自己実現に向け、皆が目標に向けアグレッシブにチャレンジしていたからこそ、得られた待遇でもある。売上や利益という源泉がなれば、雇用の維持すら困難になることを。
そして、「例え、マニュアルのコピーができたとしても、人のコピーはできない」ことを肝に銘じて、会社がやってくれるのを待つのではなく、自分自身の人生は自分で決めて歩んむべく、主体的に挑んでほしい。
自分のクオリティ・オブ・ライフやワークライフバランスの充実のために、今の自分には何が必要で、何をなすべきかを。この機会に考え、行動してほしい。