さて、すでに立地で第1に重要なことTG(ティージー)と、第2に重要なこと動線を説明しました。
今回はその次、第3に重要な立地要因である「視界性評価」についてお話します。
視界性評価とは「お店は見えなければ、存在しないことと同じ」を意味する
最高の立地で、儲かるどころかあなたを絶望の淵に落とすかもしれない最大の盲点
この視界性評価は、「お店は見えなければ、存在しないことと同じ」というほど重要な概念です。店が存在しなければ、それこそ、売上は立たないのですから。
ところが、「見える・見えない」について、多くの人はあまり深く考えないで使っています。
なぜなら、「お店が見えるか、見えないかは、看板の問題でしょ。立地の問題じゃないでしょ」と考えているようだからです。
こう考える人は、どんな立地でもきちっとしたデザインの看板をプロに注文して設置しさえすれば、誰だって看板が見える、店が見えると思い込んでいます。
この思い込みは、あなたの店を不振店にします。あなたの投資を無にします。そして、最悪、あなたに多額の借金を負わせるかもしれません。
何と言っても、「TGのすぐ近く」で、かつ「動線上にある」という2大立地要因を満たしている最高の立地で、儲かるどころかあなたを絶望の淵に落とすかもしれない最大の盲点なのです。
だから、ここで正しい考え方を知っておきましょう。
お店が見えることは重要だが、もっと重要なことは「どこから見えるか」
歩行者からの視界性評価をする場合、その歩行者の自然な目線で評価します。また、駅や商業施設からの視界性評価も重要です。それらの出入口に立ってやはり自然な目線で評価します。
そして重要なことは「どこから見えるか」という視点です。しかしながら、その視点に欠けて評価していることが多くあります。例えば、駅からお店が見えることとは、「ホーム」から見えることことよりも「駅の出入口」から見えるかが重要なのです。商業施設についても同様ですので注意が必要です。
では、車の場合はどうか。もちろん、実際に運転しながら評価しても良いのですが、それでは、たまたまトラックの後ろについてしまって何も見えなくなってしまったりしてなかなか評価が定まらないことがおきます。そこで、この場合は、看板から100m離れた位置で、中腰になりドライバーの視点で、できれば、実際の車線に出て評価をすると良いのです。ただし、事故をおこさないようくれぐれも気をつけて行ってください。
俗に言う「視認性」ではなく「視界性」と言うワケ
ここまで読みすすめて、「視界性」ではなく「視認性」ではないかと違和感を感じた読者もおられると思います。誤字ではありません。なぜ私(筆者)は「視界性」と言うのでしょうか?
それはよく「店や看板が見えるか、見えないか」ということについて、多くの人は「視認性」と呼んでいるようです。しかしながら、私は「視認性」では、店の本当の見え方はわからないと考えています。
ある物体が遠くにあるのを、目を細めてよーく見ようとして、見えるような状態を「視認できる」とふつう言います。でも、看板や店を「よ~く見ようとして見る」人なんているでしょうか?
そんな人は滅多にいませんよ。だいたい、さ~っと何となく見えるものを見るだけです。
そうやって、さ~っと見る、視界をながめるときに、自然に見えるようら良く見えることになるのです。
だから、「視界性」と呼ぶべきなのです。
また、難しく言えば、「視認性」というのは、「視覚で捕らえて、『それが何であるか』を認識すること」です。認識するというのは、「考える」とか「判断する」、「決断する」などの高度な頭脳の機能につながっていくための最初の識別とほぼ同じようなことを指します。
そんな難しい頭脳の作用まで含んで、「見える」とか「見えない」とか言うのだったら、「見える」ことの定義をするのも一苦労です。
だから、あいまいに「視認性が良い」と主観的に言うばかりで、どうして「良い」のか「良くない」のかがたいへんあいまいになってしまいます。これでは、まったく理論的ではありませんね。
これに対して、「視界性」とは単に、人間の目が「対象(看板や店)を「知覚するかどうか」という簡単なことを指していて、人間の高次な頭脳活動まで考える必要はありません。
そして、「視界性」は、しっかり定義することができるのです。
「視界性が良い」とはどのような場合なのか。その定義とは
「視界性評価」は、以下の6つの条件が揃っているときに、「視界性が良い」と定義します。「視界性評価」の構成項目と評価基準は以下の通りです。