【この記事の概要】
「全国制覇と生き残りの条件」 富や人々がまだまだ集中を続ける「東京」こそ頼みの綱!
全国展開しているチェーン企業はもちろん、地方で活躍している小規模チェーン店は、必ず東京制覇を目指します。古くは、マクドナルドやすかいらーくなどのファストフード、ファミレスがそうでした。今でも、ほとんどの新興チェーンは東京制覇を狙っています。そこで、マーケット規模と質の両面が最も重要となります。東京への出店が集中することで「好立地争奪戦」が賃料相場を押し上げ、採算割れに至るリスクもあるのです。東京への出店が必要な合理的な理由と得られる効果について、解説します。
昭和から平成にかけての立地判定、売上予測や出店戦略は「感と経験」だった(1)
現場最前線で「科学的高精度システム化の実務」をしてきたからこそ分かること
立地の科学「全国制覇と生き残りの条件」
全国展開しているチェーン企業はもちろん、地方で活躍している小規模チェーン店は、必ず東京都(以下、単に「東京」と呼びます)制覇を目指します。古くは、マクドナルドやすかいらーくなどのファストフード、ファミレスがそうでした。今でも、ほとんどの新興チェーンは東京制覇を狙っています。
理由は明確です。日本の可住地面積のわずか1.1%ほどの土地に、人口にして9倍の9.9%1255万人(住民基本台帳2009年3月)が住み、さらに小売業では12.8%の17.3兆円(2007年商業統計)が集中しているからです(図1)。
東京は商業の天王山
人口の内訳を見ると、20~24歳の年齢層では11.0%が、25~29歳では12.6%が東京に集中しています。いずれも流行やファッションに敏感で、活動的かつ消費支出も盛んな年齢層です。さらに、所得別世帯数では、年収1500万円を超える世帯の実に20.7%が東京に居を構えています。
それゆえ、東京のマーケットは、その規模と質の両面において最も重要です。
他の地域で、損益分岐点ぎりぎりの店を出していくより、このマーケットの大きい東京で大繁盛店を1店舗出すほうが収益の面でも、認知を広げ、評判を上げ、ブランドを高めていく上でも大きな効果を期待することができます。
地方で数十店出しているチェーンより、東京で3店舗成功させている店のほうがその将来性は高く評価されます。
郊外へ逃げ出すチェーン店と戻ってくるチェーン店
しかし、そうやって、多くの企業、起業家が東京に集中し、出店していくからこそ、東京は飲食業に限らず多くの商売にとって大激戦区となっていることも事実です。
駅前に空き物件が出るとたちまち多くの企業、起業家の争奪戦になります。それが賃料相場を押し上げ、最後にはどんな商売の店にとってもほとんど採算割れ。そのような水準に至ってしまう場合さえあります。
ですから、「東京の駅前は、物件が取れない。取れても賃料が高すぎて利益が出ない」と経営者が嘆くのは無理もないことです。
そして、そう思った経営者はどうしようとするか。
低い家賃を目指して「郊外」に活路を見出そうとします。
しかし、東京の郊外もそう賃料相場は安くありません。