ピープル・ビジネス理論 8章 人事評価 5.一般的な人事評価とピープル・ビジネスにおける人事評価の違い

ピープル・ビジネス理論 人事評価 一般的な人事評価とピープル・ビジネスの人事評価の違い 他人との比較ではなく目標との比較

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【この記事の概要】
 「ピープル・ビジネスにおける人事評価とは、一般的な人事評価と何が違うのか?」
 他人との比較ではなく目標との比較。結果に加え、達成プロセスを重視し、目先の状況よりも人のポテンシャルを見て、引き出し、結果に繋げる。日々の業務の中で、人を認め、評価すればするほど有益な人財が育ち、定着していく。

一般的な人事評価とピープル・ビジネスにおける人事評価の違い

ピープル・ビジネスは、他人との比較ではなく目標との比較。そして、結果に加え、達成プロセスを重要視する

 一般的な評価方法は、相対評価と絶対評価から総合的に評価することが多い。

相対評価とは、他の社員と比較や順位付けによって評価を決める方法のことで、評価のしやすさや評価のバラつきを抑えるメリットがあるが、評価対象者数が少ない店舗経営では適切な評価ができず、所属によって評価が変わったり、他の社員との比較からえこひいきなどの感情を生む原因となって、人間関係に悪影響を及ぼすなどのデメリットがある。

絶対評価とは、目標達成度合いや成果などで評価する方法のことで、評価者が被評価者への合理的な説明から納得を得られるメリットがあり、協調性、積極性、主体性やリーダーシップなどの主観が入りやすく数値化が難しい場合、判断基準が曖昧になりがちで、評価者の主観で評価にバラつきが生じるとされている。

では、ピープル・ビジネスでの評価はどのようにするのか。

店長らに店の経営を任せるピープル・ビジネスは、他人との比較ではなく目標との比較。そして、結果と達成プロセスが重視する。そして、主観が入りやすく数値化が難しいとされる協調性、積極性、主体性やリーダーシップなどは、波及効果として数値化できる結果を評価する。

つまり、店舗の商圏特性から潜在購買力や店で働く人たちの潜在能力を最大限引き出すことが重要で、これらの特性や能力はそれぞれの店で異なるため、他の社員、他の地域と比較をしても結果に繋がらず、逆に不満足要因となってしまう。

他人との比較癖がついてしまうと、自分を良く見せようとして足を引っ張ったり、他者批判などをしたり、人の手柄を横取りしたりするような組織風土になり、売上や利益の獲得どころか、有益な人財の流出を招いてしまう。

そして、例え、良い結果を出したとしても、それが正しいプロセスで出された結果なのかを見極めることも重要であり、このプロセスを見ずに結果だけを見て評価をしていると、たまたま天候が良く運がよかったり、競合店撤退の恩恵などから高い評価が得られれば、正しい努力をしなくなってしまうのも人のさがとの認識が必要だ。

さらに、目標を高く設定させたり、ノルマや結果至上主義に頼ると粉飾や偽装などの不正を生むことになり、大切な人を失ってしまうことになってしまう。

経営資源である人や商圏などの「潜在能力」や「将来の可能性」であるポテンシャルを見て、引き出し、結果に繋げることを見て、評価をし、さらなる可能を見出すことの繰り返しが、ピープル・ビジネスの根底にある。

これらは、半世紀以上、繰り返された失敗と苦悩から生み出された一つの結論と言える。

業績評価、能力評価と情意評価における一般的な評価との違い

①業績評価とは

(一般的な人事評価)

 遂行した仕事の量と質の評価ことで、目標がどの程度達成でき、どんな成果を出したのかに着眼した達成率と達成値などの評価。

(ピープル・ビジネスにおける人事評価)

 ピープル・ビジネスにおいて業績評価とは、目標の達成精度と達成プロセスを評価する。

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