ピープル・ビジネスにおける人間関係と退職の問題
「やっとの思いで育てたのに、、、」育った頃や慣れた頃に辞めてしまう
人間関係とは対人関係のことで、店舗経営(ピープル・ビジネス)そのものと言っても過言ではない。社会や地域のコミュニティの中で生活している私たちにとって対人関係は不可欠なもの。
これまで学校教育で友達との関係や先生からの指導で学習しをたり、社会人になってからは、さまざまな人間模様から人間関係に悩んだりした経験などもあるのではなかろうか。
実際に企業や店舗内で人間関係の重要性が求められることが多く、マニュアルでは簡潔に説明されていたり、研修などによって、他者との交流方法を教わって、それを現場で実践してもうまくいかない。
その原因の一つに、現場と理論の乖離がある。マニュアルに書かれていることや研修で教わったことと実際の現場の違いにあり、現実は、もっと『ドロドロした人間関係』で、理論や小手先のテクニックでは通用しないことの方が多い。
上司から「人間関係を良くするように」と指導され、部下からは現場の都合を突き上げられる立場で中間管理職の店長は、辛い立場で誰もが通る道でもある。毎年のように取り沙汰される『店長(中間管理職)になりたくない症候群』は、昭和から始まったことで未だに繰り返されているに過ぎない。
その背景には、昭和から続く採用難や定着難による人手不足があり、これらは入社前と入社後での職場、仕事や人間関係のギャップによるところが大きく、そのフォロー体制や人間関係の技術が弱いことに起因している。
具体的には、部下との人間関係や人事評価は上司のパーソナリティに依存されていることが多く、会社側は人間関係を築くために必要な知識と技術を教え体得させていないことが多く、部下を職位的力(ポジショニングパワー)でなんとか動かそうとしたり、評価したりすることから生じる人間関係の不満によって育った頃や慣れた頃に辞められてしまうことが多い。
人間関係論として開発、体系化された背景
バブル崩壊後の合理化による店長業務削減による現場力低下
このように、育った頃や慣れた頃退職の増加に伴って、フランチャイズやチェーンストアが国内外で急速に店舗展開を進めるあたって、店という小さい箱の経営者である店長の育成と主戦力であるパートアルバイト(P/A)の定着促進も急務となっていた。
そもそも人間関係論などといった体系化され、まとめられたマニュアルなどはなく、コミュニケーションやモチベーションなどの内容や必要性を断片的に説明しただけの内容だった。