ピープル・ビジネス理論 0章 概論 1.ピープル・ビジネスとは

ピープル・ビジネス理論 概論
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「なぜ、彼らは積極的に一生懸命に働くのか」「なぜ、彼らは生き生きとして、スマイルがあるのか」 何が彼らをそこまで虜にさせるのか

この記事の目次

ピープル・ビジネスとは

グローバルチェーンで働く人たちは、「なぜ、活き活きとしていてスマイルがあるのか」、「なぜ、あそこまでホスピタリティを発揮させることができるのか」、「なぜ、自ら積極的に一生懸命に働くのか」

ピープル・ビジネスの象徴でグローバルチェーンのマクドナルド、ディズニーランドやスターバックスコーヒーで働く人たちは、

「なぜ、活き活きとしていているのか」
「なぜ、スマイルがあるのか」
「なぜ、あそこまでホスピタリティを発揮することができるのか」
「なぜ、自ら積極的に一生懸命に働くのか」

このように、なぜ思想や文化の異なる世界各国へ進出しているグローバルチェーンでは、商品の品質に加え、サービスやホスピタリティなどを高水準で提供しています。それは大手チェーンでマニュアルがあるから実現できているのでしょうか。他の競合他社と一体何が違うのでしょうか。

競合他社との共通点は同じ商品を取り扱っていて売るのも、買うのも同じ人間です。一方、異なる点は販売や提供方法、地域とそこに住んでいる人種や文化が異なるだけで、売り手も買い手もその地域に住んでいる人なのです。これらグローバル企業の特徴は、その地域に住んでいる人を売り手と買い手で繋ぐことに特化しているビジネスなのです。

働く人たちも多様性に富んでおり、ヤンキー、学生、難民、ニート、主婦やシニアなどまでさまざまです。また、P/A(パート・アルバイト)、派遣、嘱託や正社員の雇用形態に関係なく、その人らが平等に生まれ持った能力を最大に引き出した結果、あそこまでのスマイル、ホスピタリティや高いパフォーマンスが実現しています。

どんなに素晴らしい商品があっても、それを製造販売し、購入する人がいなければ成り立たちません。商品のコピーはできても、人のコピーはできないのです。ビジネスを支えるのは人であり、その人の本質追究をしてからこそ、世界各国でビジネスが成り立っているのです。

スマイルとホスピタリティの源

グローバルチェーンではスマイルやホスピタリティ溢れる人財が豊富にいます。それは大手チェーンだからなのでしょうか。マニュアルがあるからでしょうか。高賃金(時給)や高待遇が必要なのでしょうか。その本質とはなんでしょうか。

実はその本質とはとてもシンプルなのです。それは人間誰もが持っている存在欲求と承認欲求という欲求を満たすことなのです。「自分の存在を認めてくれる」「仕事ぶりを認めてくれる」といった「認める」ことで存在欲求を満たし、「時間を守ったこと」「一生懸命に掃除をしたこと」「お客様からありがとうと感謝される」こと。つまり「評価」されることから承認欲求が満されるのです。

このように相手を「認め」「評価」する。たったこれだけの単純なことでしかも費用はゼロ円です。人の本来の欲求を知って満たすことを徹底的に実践しているからこそ、スマイルとホスピタリティが心底発揮されるのです。マクドナルドで有名なメニュー「スマイル0円」も納得がいくのではないでしょうか。

パート・アルバイトでも仕事の虜にさせるコト

ピープル・ビジネス理論 パート アルバイト

このように、

● 人は「認める」という存在欲求を必要としている。

● 人は「評価する」という承認欲求を必要としている。

という存在欲求と承認欲求が満たされてこそ真のスマイルとホスピタリティが生まれます。

ここでエピソードを一つ紹介しましょう。ブックオフ1号店にパート・アルバイトで入社し、東証一部の社長(会長)まで昇りつめた橋本真由美さんのエピソードです。

橋本さんは短大卒業後、民間企業に就職、結婚して子宝に恵まれました。後にご子娘の進学を機会にブックオフ1号店の店頭に貼ってあった”求人の貼り紙*”を見て応募し、パート・アルバイトとして入社しました。

(参照)「求人の貼り紙*」:ピープル・ビジネス理論 3章 人財開発論『リクルートアクション・マニュアル』 3.募集活動 ステップ3:お客様からの採用

ブックオフ入社前は「○○ちゃんのお母さん」としか呼ばれることがなかったですが、ブックオフ入社後は「橋本さん」と呼ばれたことで「一人の人間として認められ嬉しかった」と語り、さらに仕事をしていると仲間やお客様から「ありがとう」と感謝される。家で家事をしていても、「皆当たり前のことと思って、誰も感謝してくれない」とも語っています。

このように認められ、感謝され、評価されたことで橋本さんはパート・アルバイトでありながら仕事に没頭していったのです。それを不満に感じていたご主人は「ブックオフと家庭のどちらが大切なんだ」と橋本さんを問い詰めたことがあったほどです。

まだ1店舗のブックオフは大掛かりな仕組みやノウハウがない中でも、いちスタッフからブックオフファンにしていったのです。それは他のスタッフからお客様へも波及した結果、大きな効果となり多店舗の礎を築いたのです。このようにパート・アルバイトであっても仕事を虜にさせることとは、マニュアルではなく労働環境や人間関係が基盤をなっているのです。

主体性を育む人財開発の本質

ピープル・ビジネス理論 人材開発

よくスタッフに「スマイルを出せ」と指示する管理職がいますが、そのような状況でれば目は笑っておらず、引き攣った顔で作り笑顔になってしまいます。その姿はお客様にも伝染し、お客様にとって雰囲気や居心地の悪い店になってしまいます。スマイルとは自然とでるものであって、作り笑顔を指示するものではないのです。

しかし、前述の存在欲求と承認欲求を認めることを知らないと指示すればできると勘違いをしてしまうのです。さらにそれぞれの欲求を満たすためには安心安全な労働環境も必要で、その労働環境があってこそ次の欲求が生まれるのです。人はミスや失敗による学習から経験し成長するので、失敗ができる環境から仕事ぶりは成長とともに安定していきます。これを前提とした対応が必要です。

とは言っても規則、マニュアルや指導でがんじがらめにしたり、後から失敗をとがめたりすることでもありません。そのような状況では人は自己防衛本能からミスや失敗を恐れ、避ける特性があるので逆効果になります。

大切なことはミスをしても確実にカバーしてもらえる安心感、仕事をやればやっただけ評価をして充実感を与える労働環境なのです。この環境から自分の背後にいる社員や店長に絶対の信頼感を持つことができて、人間関係が構築され、成長意欲も湧いて主体的に仕事に取り組んでくれるようになるのです。これが人を虜にさせる人財開発の本質なのです。

人財開発の本質探求

「人を大切にする経営」
「人で失敗し、人で成功する経営」
「売上と幸せの源泉は現場にあり」
「人としてのあり方。人として正しいことの実践」
「人で差別化し、人で勝つ経営」

を実現するためには、管理職自らが問題解決に挑み改善する姿勢が重要です。問題や部下の短所に目が行きがちになったり、ルーティングワークから日々同じことの繰り返しで惰性になったりしがちで、問題点の指摘や改善を求めがちですが、逆の視点の機会点(長所)に着目し、伸ばすことから問題も改善されやすく、人間関係も維持向上されて部下も上司もさらに成長します。

言葉では理解できても「人の機会を見て、それを認めて評価」をすることは、忍耐も必要で極めて難しいことでもあります。なかなかできることでもありません。であるからこそ諦めずに挑んで、その繰り返しでコツを掴みます。そうすればあなたの店舗でもスマイル0円の提供が可能になるはずです。

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