繁盛立地の紐解き 4.競合と自社競合、自ブランド競合について知っておこう

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【この記事の概要】
 「あなたの店舗にとって最大のライバル、競合はどのお店ですか?」
 競合は経営に大きな影響を与えます。マクドナルドでも同様です。マクドナルドから競合が消えた日。その後、新たに生まれた大きな競合。近隣の店舗同士で顧客を奪い合う「カニバリゼーション(共食い)」をしない出店戦略の基本。

『店舗開発部 vs 出店調査部』競合店がひしめく駅前一等立地への出店可否をめぐる攻防を見た藤田田社長の英断

 マクドナルドの開発会議で、出店判断でもめることがよくありました。この日は都内の小さな駅前の出店候補地が問題となっていました。その周辺にマクドナルドに先行してファストフードが5店も出店していたからでした。

「それら競合他社からの影響は無視できず、出店は慎重に検討すべきと思われます」。これが当時の出店調査部の最終コメントでしたし、予測売上も低いものでした。

困った顔する店舗開発の面々。彼らにしてみれば、この駅前に候補物件を出せただけでも嬉しいことでした。しかし、競合他社が多く出ていることは事実。これらの影響を考えれば、“出店保留”を下されても反論すべきすべがありません。

その時、マクドナルド創業社長、藤田田(フジタデン)が驚くべき一言を発したのです。

「競合なんてない。いいか、マクドナルドに競合なんてない。誰だ、そんなことを言っているのは。よし、ゴーだ。」

この会議は全社に衝撃を与えました。

「マクドナルドには競合は存在しない」という共通意識がこの時に生まれました。

確かに、それまではマクドナルドは競合他社からの影響を受けていたのです。初めてオープンした1970年代から、次から次へとハンバーガーショップが日本に上陸しています。

バーガーキング、ウェンディーズ、ウィンピーバーガー、オレンジジュリアス、ホワイトキャッスルなど。さらに、ロッテリア、森永ラブ、モスバーガーなども参入しています。さらには、KFCやドーナツ店なども相俟って、ファストフード業界はいきなり大激戦となっています。

まだ、「マクドナルドって何?」という国民が多数存在した頃ですから、近い立地で「競合」を起こさないわけがない。

しかし、マクドナルドは当初から「QSCの向上」というテクノロジーと合理的システムに基づいた理念を強力に推し進めていましたから、1980年代後半には“QSCに対する大きな信頼を人々から得る”ことができました。

そして、気が付いたら「マクドナルド」という強い信頼ブランドが完成していました。

QSCに対する大きな信頼を人々から得る*(参照先)ピープル・ビジネス理論 6章 店舗集客『ストアレベルマーケティング・マニュアル』 7.お客様との約束 「看板に偽りなし」

こうなると、どうなるか?

確かに、「競合は存在しない」ことになるのです。

正確に表現するとこうです。

競合店が近くにあっても、競合店が先に出店していても、マクドナルドの売上には何の影響もない。客数が減るわけでも客単価が減ることもない。

冒頭の社長発言があったのは、1984年に外食産業で国内初の売上1000億円という金字塔を打ち立てた4年後、1988年の春のことでした。

この時以来、マクドナルドには競合がなくなったのです。

ところが、これと同時に大きな「競合」が生まれてしまいました。

それは、・・・・

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