(最新版)社員のための課長業・部長業・役員業 9.課長業の10箇条[前編]実務の責任者である課長の意義と在り方

店舗経営のスーバーバイザー(SV)は課長職 会社の価値とは課長力で決まります 実務責任者の課長が部下の指導で示すリーダーシップ 部下を動かし、部下を通じて達成する
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【この記事の概要】
 課長の役割と条件① 数字に責任を持った実務の責任者で部下育成を通じて数字を達成できること
 店舗経営で課長はスーバーバイザー(SV)と同職位です。課長の職責は、売上や利益などの数字に責任を持つ立場にある実務の責任者で、自分に割り当てられた実務の範囲で主な責任は、
 ➊ 品質管理責任(プロセスマネジメント責任)
 ➋ 売上の達成精度は予実差異±3%で達成する責任
 ➌ 部下を一人前に育てる責任
の三つです。
そして、この課長が責任を全うするための基盤「部下を動かし、部下を通じて達成すること」について説明します。

この記事の目次

1. 課長は実務の責任者

課長の三大責任とは、自分に割り当てられた実務の範囲で品質管理責任、予算達成責任と部下の育成責任 を一人前の人材に育てること

 課長は実務の責任者ですので、まずは実務における品質を決める責任者になります。会社の業務品質レベルを定めた場合に、そのレベルを確実にするのは課長の実力次第と言えます。

さらに、課長は各業務分野における会社の品質を決める役割を持ちますので、自らプライドを持ち、自分こそがルールだ、という意気込みで、仕事に関わって頂きたいと思います。その前提条件は、品質管理基準を明確にし、具体的に説明ができることです。

また、品質管理で必要になるトラブルシューティングによって本質的原因の究明ができるプロセスマネジメントまでを含みます。

二つ目の責任は、店舗経営の生き残りのために必要な売上を予実差異±3%の精度で達成です。

SVの担当店舗数は約5店舗で、担当店舗の売上予算の達成精度が低いと、直接的に資金繰り悪影響を及ぼし中小企業では大きなダメージとなるからです。

そして、三つ目の責任が、部下の育成でして、これも非常に重要です。

部下の育成に必要になることは、部下の仕事ぶりを観察して、

・現在レベルと基準とのギャップ
・ギャップを埋めるために部下に”何を、どの程度”求めるのか

を明確に説明できることです。

そこで品質基準、その品質を実現するための手順とプロセスマネジメントが必要になるわけです。それは、人が育成できない多くの原因は、曖昧な基準と不明確な手順にあるからです。

会社で価値があるものは実務ですので、実務でいかにして一人前の人間を育てられるかは、課長の双肩に掛かっています。

つまり、店舗経営における課長職には品質保証における責任、売上達成における責任を全うするためにあなたの部下である社員一人ひとりを全員一人前のレベルまで育てるという責任、この3つが課長に求められる責任になります。

2.会社と課長の間で到達点についてのコンセンサスをとる

一定の誤差範囲「出来栄え基準」ですべての課長がその水準を踏襲できること

 以前ISOでは「出来栄え基準」という概念が存在しましたが、できればそれを定義して一定の誤差範囲ですべての課長がその水準を踏襲できる事が求められます。

世間に対して、商品の品質レベルを決めた後に、実際にそれを責任持って作るのが、課長の仕事ですから、そのレベルについて、会社と課長の間で、握っておかなければいけません。

ISOの「出来栄え基準」という概念は、このレベルの品質を保証する、ということが、分かるもののことです。

例えば、ものを作る場合には「我社の出来栄えはこういうものです」といった製品サンプルを、一般事務であれば帳票類の記入手順と完成品基準、接客サービスであれば接客の見本動画などを作るべきです。

そのために、このような意識で、このような行動を行い、このような品質のものを作らなければいけない、といったことが、ISOで定められていますが、それに近いものを創意工夫しながら、それぞれの会社で作ることが必要です。

3. 課長はまず自分自身で“品質保証”ができること

「自分なら、どうすればできるか体現できるか」が分かるようになるまで、自分で手を動かして体得する

 課長でも、たたき上げの方の場合は問題ないのですが、中途入社した方の場合、実務自体は自分ではやっていないため、自分ができるレベルに達するには、実際に仕事を経験した上で、それを取得することが大事になってきますし、これは非常に難しいことでもあります。

できない場合は期限を決めて実際に体験しながらできるようにさせてください。たたき上げでない場合は必ず必要になります。

課長と部長の違いについて言いますと、課長の場合は、自分で手を動かして対応できるのが課長です。部長の場合は、自分では出来なくても、どうすれば良いかが分かっているので、できる人を使うことで対応して体得します。

つまり、部長レベルに達すると、自分がどうすればできるかが体現することができるのです。

他社から来た課長でも、ある分野において、「こうすれば、こうなる」という体験を持ち、品質保証が確実にできるレベルで業務を体験できている人であれば、その横展開で「この場合は、こうすれば良いだろう」ということが分かるものです。

その場合には、部長に求められる能力である、「新しく担当した業務において、こうすれば良いだろう」ということについて、自分の中で想定できるでしょう。

但し、それだけでオッケー、とはならなくて、自分ができるレベルまで持ち上げていくこと、これが必要になります。

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