2024年 店舗経営総括「景気回復の兆し」飲食、小売、サービス業の好調と不振、安定経営に向けた指針

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2024年 不正事例:事例から学ぶ利益を守る方法

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不正は利益損失だけでなく、企業イメージや貴重な人材を失うことにも繋がる

 多くの不正は、レジ打ちや在庫管理など、小さなズレから始まります。これは組織体制の甘さにつけ込まれるケースが目立ちます。

コンプライアンス体制を強化し、チェック機能や定期的な内部監査を実施する方法は効果的です。 不正が起きると、従業員のモチベーション低下や顧客離れにも繋がるため、早期発見と厳正な対応が不可欠になります。

日々の業務を適切に監視・チェックし、経営トップや経営者代行であるスーパーバイザー(SV)が積極的に関与することで、リスクを最小限に抑えられます。

大手チェーン直営店での不正行為発生とその影響

 大手チェーンの直営店で不正が発覚すると、社会的な報道の影響も大きく、ブランド全体が打撃を受けます。フランチャイズを含む多店舗展開では管理範囲が広いため、不正リスクを完全に抑えるのは容易ではありません。

2024年には、リユース大手チェーンの「ブックオフ」と「ハードオフ」で、相次いで店舗経営における巨額の内部不正が発生しました。また、「三菱UFJ銀行」では行員が支店の貸金庫から十数億円相当の金品を盗み取っていた窃盗事件が発生し、銀行ビジネスの根幹を揺るがす大きな不正が多発しました。

このような不正は、店舗監査やチェックの徹底で予防できる場合もありますが、形骸化していると不正を見抜けず、大きな被害となって表面化しています。

SVによる現場監査によって早期発見を図れば、被害を最小限に抑え、再発防止策を講じやすくなります。また、監視カメラ、防犯タグ、フルセルフレジやセミセルフレジなどのハード面、そしてデジタルデータ管理システムなどの導入で、組織全体でコンプライアンスを徹底する姿勢が鍵となります。

主な不正事例と不正の手口

 不正の手口には、帳簿の改ざんや在庫の横領、レジ操作の虚偽入力など、多様な形態があります。

小規模店舗では担当者が同じ業務を兼任しがちで、透明性が低いと問題の発見が遅れるリスクが高いです。

大手チェーンでも、店舗スタッフや管理者の意識不足で、定期的なチェックが形骸化している場合があります。売上を偽装する行為は、数字上の経営状態を歪め、将来的な戦略判断を誤らせる恐れも大きいです。

SVによる現場の管理監督や監査の徹底が、企業価値を守るうえで重要になります。

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総括:2024年 景気回復の兆しと安定経営の指針

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小売・飲食・サービス業が独自の方法で変化に対応し、好調と不振の二極化がより明確に

 2024年は、日本経済がデフレから抜け出し、インフレの兆しが見られた年でした。2024年の日本経済の主なポイントは以下の通りです。

  • 春闘による賃上げ率が5%を超え、バブル期以来33年ぶりの高い水準を記録
  • 消費者物価指数(CPI)の上昇率が3年連続で2%を超過
  • 日経平均株価が史上最高値42,000円台を更新
  • 地価上昇率は前年比2.3%上昇し、3年連続で上昇

といった好機がありました。

しかしながら、これらが中小企業に恩恵をもたらすまでにはある程度の時間がかかり、いまだ将来への不安から支出を抑えていることで、需要の弱さが依然として続いていることは現場で実感されることではないでしょうか。

例えば、ダイナミックプライシングを導入したチェーンや低価格アイテムを拡大したセブン-イレブンなど、柔軟な価格戦略で市場のニーズを捉えた企業は売上を維持できました。 一方、旧来の経営手法に固執する店舗は変化の波に乗れず、消費者の価値観の変化に対応しきれず苦戦するケースも多く見られました。

また、広告やSNSでの迅速な情報発信や、多角的な販路整備も重要性を増しています。こうした動向を踏まえると、安定経営への一つの指針は、日々のトレンドを把握し経営に活かす仕組みづくりが要になります。

つまり、売上の変動に左右されない土台を築き、外部環境の変化に合わせて柔軟に対応できることで、店舗経営、ひいては企業活動全体の成長に貢献することが可能になります。

  • ダイナミックプライシングとは: 商品やサービスの価格を需要や供給状況に応じて変動させる仕組みで、価格戦略の一手段のこと。

今後の店舗経営のあり方

 これからの店舗経営では、顧客との接点を多角的に拡充しながら、価格やサービスを再点検する姿勢が欠かせません。

テクノロジーの活用で業務を効率化しつつ、消費者の生の声からニーズを拾うアナログなアプローチも有効です。大手チェーンによる競争が激化する中、小規模店舗は独自性を追求し、ローカルニーズへの対応を徹底することで差別化を図ることができます。

中小企業の強みである小回りの利く経営を活かすためには、まずお客様や消費者の求めるニーズ、競合他社の強みや弱みなどの状況をよく把握し、今後の経済や市場の変化に応じて柔軟に舵を切ることが求められます。

まとめ:飲食・小売・サービス業の店舗経営の安定化のために

 2024年の飲食店では過去最多水準の倒産が懸念され、小売やサービス業でも環境変化への適切な対応が採算を左右します。

テイクアウトやデリバリーなど販路の拡大、デジタルツールを使った効率化、地域密着施策による差別化などが、経営の回復や維持に効果的です。

コロナ禍後で世界情勢が不安定な中、市場に合った柔軟な経営が求められます。自社の強みを再確認し、ターゲットに合った戦略の実施が求められます。

具体的には、ターゲットが学生、ビジネスマン、主婦などの場合は、SNSや店舗アプリで顧客とのつながりを強化するデジタル戦略が有効です。シニア層であれば、紙のチラシやクーポン、ポイントカードなどアナログ戦略も効果的でしょう。

あなたの店を知ってもらい、来店してもらう新規顧客獲得のためには継続したマーケティング活動が必要です。さらに、顧客満足による固定客化を徹底すれば、店舗が置かれる状況をプラス方向へ好転させるチャンスが生まれます。

この記事が、今後の店舗経営に向けた経営課題と対策を見出す機会になれば幸いです。

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