2024年サービス業界の現状:倒産が過去最多も

理美容業界の成長は横ばいも、美容室の倒産は過去最多
2024年のサービス業界では、コロナ禍後の不安定な外部環境が薄れ始めたにもかかわらず、サービス業全体の倒産件数が増加しました。
理美容業界はコロナ禍からの回復期間を経ても、全体として成長が横ばいの傾向ですが、4割の企業が赤字となっており、美容室の倒産は過去最多を記録しています。
その理由は、人件費、材料費、水道光熱費などのコスト上昇に加え、顧客の消費行動が変化しているためです。
物価高騰で家計が節約志向になる中、「カットは好調でもパーマなど高額メニューが不調」という声が多く聞かれ、支出額でもカットに比べてパーマ利用の減少が見られます。
具体的には、来店回数を1か月から2か月に1度にする、オプションサービスを減らす、女性のヘアスタイルが短髪へとシフトするなど、パーマなどの高単価で高付加価値サービスの注文が減少しています。このため来店頻度も客単価も減少し、売上が大きく下がりました。
その中で、阪南理美容の『理容プラージュ』と『美容プラージュ』、そしてキュービーネットのヘアカット専門店『QBハウス』は好調です。
『理容プラージュ』と『美容プラージュ』は北海道から沖縄まで全国で展開し、顧客層は子どもからシニアまで幅広く対応しています。大人カット1,760円、カラーや白髪染め3,850円で、共に顔剃りまたはブロー付きです。『QBハウス』はヘアカット1,350円で国内外に展開しています。
これらのチェーンの特徴は、カット専門店であること、カット時間が10分程度と短いこと、リーズナブルな価格設定、自動受付機や券売機などで省力化を図り、待ち時間も少ない点です。

リラクゼーション業界は拡大も、脱毛サロンやエステサロンの倒産が増加
リラクゼーション業界は需要が拡大傾向にあり、新たなニーズを掘り起こすビジネスが脚光を浴びています。
しかし、脱毛サロンやエステサロンでは倒産件数が増加しており、競争激化とコスト増が重くのしかかっています。顧客の安全や信頼を確保するための設備投資やスタッフ研修は欠かせず、追加コストも軽視できません。
エステサロンの月間平均売上は約150万円で、スタッフ1人で1日の施術が3〜4人程度の場合、1人当たりの売上は20,000円以上です。脱毛サロンの平均的な月間売上は、スタッフ1名で40~60万円程度と言われています。
経費の多くは人件費が占めるため、小規模サロンではオーナーだけで運営するケースもあります。価格上昇や集客の停滞が続くと資金繰りが厳しくなり、撤退に至るケースが増えています。