(最新版)ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 2.「高付加価値」を生む業種業態の確立

店舗経営 ビジネスモデル 「高付加価値」を生む業種業態の確立 マクドナルド ハンバーガー屋 クイックサービスレストラン
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【この記事の概要】
 あなたの店は、「何屋」で「どのように販売、提供する」店でしょうか?
 業種業態の確立によって、店の外にいる消費者に商品や販売、提供方法を簡潔明瞭に訴求し、店の存在を知ってもらい、商品の購入から満足いただたお客様がどの位いますか。また、高付加を生み、競合差別化を実現できていますか。そして、業種業態は、時代とともに進化していますので、経営環境や消費者ニーズに合ったブラッシュアップが求められます。そうしないと、お客様の期待を裏切ることになり、最悪、経営危機を招くことにもなります。

この記事の目次

「高付加価値」を生む業種業態の確立

あなたの店は、「何屋」で「どのように販売、提供する」店なのでしょうか?

 高付加価値を生む店舗経営のビジネスモデル設計においてとても重要なことが漏れていることがあります。

それは、「何屋?」で「どのように販売、提供するのか?」という、とてもシンプルなことです。

「そんなことは当たり前のことで、うちの店はちゃんとできている」と店舗経営の内部にいる経営者や経営幹部は言います。

それは、内部で実務に触れているので至極まっとうなことです。

しかしながら、現実的には、それが外部の消費者に伝わって、お客様になっていただき、業績に反映されているかが、とても重要なのです。

つまり、店の内部にいて、毎日のように商品に触れ、販売、提供しているあなたにとっては日常的で当たり前のことでも、それが外部の消費者にとっては非日常的なことで、まったく知らないことなのです。

そして、それを外部の消費者に発信できる店舗、看板、のぼり旗、チラシやクーポン券などのハード面とそれらを動かすオペレーションやマーケティングなどのソフト面が確立されたビジネスモデルになっていないと、商品は売れません。

ここで言う、”それ”とは何を指すのでしょうか。

「高付加を生む」業種業態の正しい定義

業種業態とは何か?その実態と店舗経営への活かし方

 店を開業する際に店や商品などの「コンセプト」を作り、商品開発に重点を置いて、「何屋?」で「どのように販売、提供するのか?」ということまで明確化されていないことがあります。

この「何屋?」で「どのように販売、提供するのか?」の一般的な解釈は、業種業態を意味します。

また、一般的に、この業種業態の定義が曖昧で、その重要性もあまり知られていないため実務に活かされず、結果に繋がらないこともありがちなことです。

そこで、ここでは飲食業の業種業態を参考に解説をします。

飲食業の業種業態の分類

総務省統計によると次の通りです。

・業種:飲食業

・業態:食堂、レストラン(専門料理店を除く)、専門料理店、日本料理店、料亭、中華料理店、ラーメン店、焼肉店、その他の専門料理店、そば・うどん店、すし店、酒場・ビヤホール、バー・キャバレー・ナイトクラブ、喫茶店、その他の飲食店、ハンバーガー店、お好み焼・焼きそば・たこ焼店、他に分類されない飲食店

と業態は詳細にわたり分類されていますが、業種業態の定義づけが明確になっていません。

そのため、業種業態の重要性やどのように店舗経営に活かして良いかが、分かりません。

ここで言う”活かす”とは、「業種業態の確立」を意味します。

業種業態の定義と確立

 店舗経営、ピープル・ビジネスの原点である業種業態について、次のように定義しています。

・業種とは、Type of Business(ビジネスの種類)のことで、「何屋なのか」「どんな商品を売るのか」「主力商品は何か」を意味します。

・業態とは、Type of Operation(オペレーションの種類)のことで、「商品の売り方」「サービスの提供方法」「どのような方法で売るのか」を意味します。

店舗経営、ピープル・ビジネスの概念は米国から日本に上陸していることと業種業態をシンプルにとらえるために、英訳から定義をしています。

この業種業態を店舗経営に活かす方法のことを「業種業態の確立」と呼んでいます。

業種業態の確立とは、店の外にいる消費者に商品や販売、提供方法を簡潔明瞭に訴求し、店の存在を知ってもらい、商品の購入によってお客様になっていただくことを意味します。

(事例研究)グローバルチェーンの業種業態

業種業態で高付加を生み、競合差別化を実現

 主なグローバルチェーンに見る業種業態は以下の通りです。

ドミノピザ

業種:ピザ店(現在は、ピザ以外商品も有り)
業態:デリバリーとテイクアウト(現在は、イートインも有り)

セブンイレブン

業種:生活必需品を中心とした小売店
業態:豊富な品揃えや多様なサービスと長時間、年中無休営業を提供するコンビニエンスストア

マクドナルド

業種:ハンバーガー店
業態:クイックサービスレストラン(ファストフードではありません)

ブックオフ

業種:中古本を中心とした最寄り品などのリユース店(創業時は新古本店)
業態:店内販売とオンライン販売

QBハウス

業種:カット専門店
業態:クイックサービス(10分でリーズナブルな価格で身だしなみが整えられる)

◆街中にある小売店の場合

業種:小売業
業態:専門店からの業態転換
・薬屋 → ドラッグストア(医薬品に日用品、食品や化粧品などを販売)
・「肉屋+魚屋+八百屋+雑貨屋の各専門店」→ スーパーマーケット(食料品を中心に日用品や家庭用品などを販売)

この事例からもおわかりいただけますように、業種業態は、店名や商品、看板や店舗の作り、のぼり旗、チラシやクーポン券などに一貫して活かしたブランディングで消費者が認知しやすく、商品構成や販売方法で高付加を生み、競合差別化を実現しています。

この業種業態を含め、店舗経営のビジネスモデル設計で明確にすることが生き残りの条件とも言えるのです。

誰もが陥りやすい店舗経営の盲点

業種業態は、時代とともに進化

 このように、主なチェーンは長年にわたる「業種業態の確立」から業種業態は時代とともに進化しています。

 その過程において、重要なことがあります。それは、業績不振になると的外れな新商品を投入してみたり、サービスを始めたりと、本末転倒な経営によって店は振り回されてお客様の期待を裏切り、最悪、経営危機を招くことです。

このような事態は「不明確な業種業態」。つまり、「業種業態の確立」がないことから生じ、誰もが陥りやすい店舗経営の盲点と言えます。

例えば、クイックサービスでリーズナブル価格が売りのステーキ専門店では、過度な出店による自社競合で業績が悪化、起死回生の一手ですき焼き、オイスターやサラダバーなどの新商品を続々と投入しました。

さらに、サービス面では、そのチェーンの売りで固定客からの支持されていたポイント制度も変更して、固定客からは改悪とまで言われ失望されました。

その結果、固定客はどんどん減ってしまい、既存店は撤退に追い込まれて、経営危機を招いてしまったのです。

「業種業態の確立」で業績悪化を防ぐ

 業績が悪化すると、このように新商品の投入をすることで、店は萬屋(よろずや:なんでも屋のこと)になってしまい、何屋なのかが分からなくなってしまいます。

そうなると、既存商品の品質やサービスの価値までも失われることになって、これまでの固定客すらも失うことになってしまい、さらに、業績低迷を招く負のスパイラルに陥ります。

このようなことにならないためにも、「業種業態の確立」はとても重要なのです。

そのためにもまずは、あなたの店の業種業態を明確にすることからはじめることが必要です。

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