1.背景監査「裏通り」の必要性
業務は人が行いますので、ミスや悪意の行動、その他宗教的勧誘や反社とのつながりによる問題など人の在り方で決まります。監査には、具体的な内容と監査員の実感も問われます。
そのため、各店舗がどのような人で構成され、運用されて、どのような実務環境を作り出しているかを監査する必要があります。
その際の視点は以下の3つです。
2.店舗実務監査の視点
その1 店長の素行を見る
店長が店舗環境を決めるということから店長の人となりや能力そして行動特性を知りリスクの程度を把握することの重要性を把握することです。
店舗の責任者が店長ですのでルールを守るのも破るのも店長の権限でどうとでもなります。
ただし、本部で内部統制(牽制組織)を十分に整備・運用できており、店長がもし悪いことをした場合にトレーサビリテイー(追跡可能性)がしっかりしいて、かつ店長にも内部統制は破れない(悪いことをしたら必ず見つけられる仕組みが整備されている)と教育され徹底している場合は、監査マニュアルに従ったチェックをすれば足りますので、監査員は会社の内部統制の堅固さを事前情報で仕入れて店長の素行をチェックする必要があります。
その2 店舗や会社の弱点を見る
「真実は細部に宿る」と言われます。組織の実態は最も弱いところに集約されますので、重要性が低くて日の当たらない業務を担当している人や部署へのインタビューで店舗の問題点を探ることが重要です。
昔『家政婦は見た!』というドラマがありましたが、家政婦のように弱い立場にある人はいじめられやすいので、ご主人様の悪弊をもろに受けるため最も弱点を把握しています。実際、私はコンサルテイングをする際にバックオフィスの女性に会社の問題点を聞いておりました。
そうすると会社の問題がそこに現れますので、面白いように問題点が分かりましたし、監査法人での人事評価では秘書にボスの評価を聞いていました。すると顧客への態度、上司への態度、部下への態度などが面白いようにわかり、本人が隠している実態を把握することが出来ました。
*『家政婦は見た!』:1980年代にテレビ朝日系の「土曜ワイド劇場」で放送されたテレビドラマシリーズ
その3 問題を起こしそうな人の特定
休みがちであったり、素行が悪い人や逆に評判が良すぎる人が問題を起こしていないかを店長や弱い人(先ほどの第二であげた人)へのヒアリングを通して、問題を起こしそうな人を特定してその人の業務を重点的に調べることで問題を探しやすくします。