【この記事の概要】
実務的な人間関係とリーダーシップ
店舗経営、ピープル・ビジネスにおける人間関係とはモチベーション、コミュニケーションとカウンセリングの三要素で構成されています。これらの知識と技術を機能させた結果が人間関係で、バランスのよい実践で発揮させるのがリーダーシップと定義しています。一見、複雑難解な人間関係を紐解いて、店舗経営の実務まで落とし込んで行動ベースで見ることで、とてもシンプルに把握することができます。そして、人間関係も店舗経営と同様で、人間関係を取り巻く状況は刻々と変わりますし、感情で左右されやすいので、行動ベースで捉え、対応することがとても重要になります。
人間関係とリーダーシップ
「問題=人」「売上=人」。すべての源は「人」
ピープル・ビジネスでは顧客も従業員も店舗関係者もすべて「人」が関わっており、すべての源は「人」であり「問題=人」、「売上=人」と定義しています。
実際、店舗経営課題のほとんどは「人」によって生じ、「人」によって解決可能なことが多く、これらが改善されないと問題に発展し、売上や利益の減少、人手不足や労働環境の悪化として表面化します。
その結果、人財は多業種に流出してしまい、より一層、店舗経営を厳しくしている一要因で、これが長年にわたり続いたため業種別待遇格差が生じてしまいました。
一向に安定しない人や人間関係に中小企業経営者はほとほと疲れ切ってしまって、中小企業を疲弊させてしまっています。
そもそも、店舗経営、ピープル・ビジネスで働く人たちは、”多種多様な人たちが”ベクトルを合わせて共に働く”という特性からその名の通り「人間商売」「人間産業」とも呼ばれ、人間関係はとても重要な位置付けにあります。
その人間関係を学ぶ機会は、学校などで経営学や心理学で説かれた人間関係論に触れる機会はあっても、実務で活かす方法を教わる機会や体系的に学んで体得する機会はあまりありませんでした。
また、人間関係はケースバイケースですので臨機応変に対応することが求められます。しかしながら、個人のパーソナリティ頼みであることが多く、都度、上司から精神論や根性論を教わり経験することが唯一、人間関係を学ぶ機会でもあったとも言えます。
このように、人間関係の考え方や人間関係の構築方法が具体化、体系化も曖昧であったり、その解釈が人によってまちまちだったため、なかなか上手くいかないことも多くありました。
そのため、人間関係は複雑で難解とも思われて、苦手意識から敬遠されてきたことから、人間関係の問題は後を絶たず店長や経営者を悩ませてきたのです。
知識武装や理論武装などによる小手先のテクニックによる人間関係は通用しないことが多く、逆に人間関係を悪化させてしまいかねません。
そのため、事実を見て、行動ベースで捉え、業務や仕事の一環として対応することがとても重要になります。
人間関係を紐解き、店舗実務まで落とし込むことでシンプルになる
店舗経営は、一日一日、一瞬一瞬が勝負であり、円滑な店舗運営によって売上と利益を積み重ねるビジネスですので、必要な時に必要なアクションでその時を乗り越えることが必要なため、理論や知識よりも、行動が優先されます。
実は、人間関係も店舗経営と同様で、人間関係を取り巻く状況は刻々と変わりますし、感情で左右されやすいので、行動ベースで捉え、対応することがとても重要になります。
実は、店舗運営、ピープル・ビジネスにおける人間関係は店舗経営と同様で、取り巻く状況は刻々と変わりますし、感情で左右されやすいため、事実と感情を分けた対応が求められるのです。
このような背景から人間関係を紐解いて、店舗経営の日常的な業務である接客サービス、部下への指示や情報伝達、会議などでの発言や進行、パートアルバイトの採用面接やトレーニング、部下の人事評価と内容のフィードバック、従業員の遅刻欠勤や不正、お客様からのクレームや問題発生時の対応などの店舗経営の実務と人間関係を連動させて、行動ベースで見ることで、とてもシンプルに把握することができます。
人間関係の構成要素とリーダーシップの定義
店舗運営、ピープル・ビジネスにおける人間学と人間関係 「人で悩み。人で成長する」と定義しています。そして、人間関係とリーダーシップについては、店舗運営の実務と連動させることで以下に要約されます。
下図の通り、店舗経営、ピープル・ビジネスにおける人間関係とはモチベーション、コミュニケーションとカウンセリングの三要素で構成され「人間関係の三要素」と呼んでいます。これらの知識と技術を機能させた結果が人間関係で、これらをバランスよく実践することで発揮させるのがリーダーシップと定義しています。
人間関係とは、
■モチベーションとは、自発的に行動し、成長したいと感じさせる雰囲気や環境を作ること
■コミュニケーションとは、正しい指示と情報伝達のこと
■カウンセリングとは、問題解決と成長促進の機会のこと
の三要素で構成されます。
このように人間関係とリーダーシップは要約ができます。
人間関係やリーダーシップのよくある解釈とあるべき対応
人間関係やリーダーシップの一般的な解釈でよくあるケースは、
- アゲアゲ、イケイケのテンション高めでモチベーションを上げようとしたり、相手をやる気にさせるためにモチベーションを与える。
- 仕事とは無関係のいろいろな話し、いわゆる私語でのコミュニケーション、飲みニュケーションやレクリエーションでの親睦でコミュニケーションを図る。
- 個人の悩みの相談に乗ったり、人間関係の問題のヒアリングなどで対応しても、人間関係の改善や解決を試みる。
- 「俺について来い型」で精神論や根性論を中心とした体育会的リーダーシップで主体性を求める。
これらの対応は一時的なもので、根本的な人間関係の改善や構築は困難で、人間関係の問題も、店舗経営の問題も同様と言えます。
このような対応の下では、従業員は繰り返される問題に失望し、退職してしまいます。
上記の4項目は物事の本質が異なるので、対応方法も異なり、解決まで時間がかかります。このちょっとした解釈の違いから、結果に繋がらないことで、さらに現状を悪化させてしまっています。
店舗経営や人間関係の問題を解決する時間は、表面化するまでの時間と比例していますので、表面化するまで時間がかかった問題は、相応の時間がかかるのです。
このように人間関係について、感情に惑わされないように対応を切り分けて、あくまで行動をベースにした正しい解釈から、正しい行動をとることが重要であると認識することが必要です。
そして、人間関係はマニュアルや理屈では体得できませんので、人間関係が構築できる機会を店舗経営に組み込むことが重要で、人間関係を経験をさせて、自らが学ぶ機会を仕組化することです。これを「店舗運営」と呼んでいます。詳細は「ピープル・ビジネス理論 第5章 店舗運営」で触れたいと思います。