【この記事の概要】
人材育成では、脳科学に基づいたインプット3、アウトプット7の割合でのトレーニングと適切なタイミングでのフォローアップが効果的です。
大学の研究から、インプットよりもアウトプットが記憶の定着に有効であることが明らかになっています。また、エビングハウスの忘却曲線から適切なタイミングでの復習が記憶の保持に有効です。具体的なトレーニング方法は、OJT、OFF-JT、セルフトレーニング、共育、フォローアップ、1on1、定期的なミーティングなどがあります。これらの方法をトレーニングニーズにより使い分けることで、従業員の能力を最大限に引き出し、店舗の成長に繋げる人材育成を可能にします。
効果的な人材育成:アウトプット重視のトレーニング
詰め込み型や一方的教育から能力や可能性を引き出す教育へ
店舗経営において、1980年代以降、詰め込み型から脳科学に基づいたコーチングや1on1など、能力を引き出し成長を促すアウトプット重視のトレーニングが主流となりました。
アメリカのパデュー大学の研究では、インプットよりアウトプットが記憶の定着に有効であることが示されています。
また、コロンビア大学の心理学者アーサー・ゲイツ博士の実験では、インプットとアウトプットの割合を3対7にしたグループが、最も高い学習成果を上げたことが明らかになっています。
更に、エビングハウスの忘却曲線による、適切なタイミングでの復習が記憶の保持に有効です。
これらに基づいたトレーニングの実施によって、効果的に人材を育成をすることができます。
多様なトレーニングの種類と方法
従業員の育成は、トレーニングを組み合わせると効果的
店舗経営における効果的なトレーニングは多岐にわたります。業務の習得やスキルアップ、生産性向上、モチベーション向上、マネジメント知識やマーケティングスキルの習得によって、従業員満足度や顧客満足度の向上、売上や利益の増大に繋がる重要な要素です。
これらの習得には、効果的なトレーニングを使い分けことが必要になります。代表的なトレーニングの種類は以下の通りです。
■トレーニングの種類
1. OJT(On-the-Job Training): 実務を通じた直接教育
2. OFF-JT(Off-the-Job Training): 座学や研修による体系的な知識習得
3. セルフトレーニング(Self Training): 自己学習による能力開発
4. 共育(Grow up together): 従業員同士の相互学習
5. フォローアップ(Follow up): 教育訓練や研修後の業務サポート
6. 1on1(ワンオンワン): 上司と部下の個別対話
7. 定期的なミーティング: 情報共有と課題解決
人材育成の変遷と現代的アプローチ
従来のOJTやOFF-JTだけでは、従業員の潜在能力を引き出し、主体性を育むことは不十分です。店舗経営、ピープルビジネスでは、1980年代以降、脳科学や心理学を応用したトレーニング手法が体系化されました。
当初の一方的な詰め込み型教育から、コーチングや1on1など、個人の能力開発と成長を促進する手法へと移行しています。
多様なトレーニング手法の解説
現代では、多様なトレーニング手法が導入されています。これらの特徴、具体的な方法、ポイントを解説します。
これらのトレーニングを組み合わせることで、従業員の能力を最大限に引き出し、店舗の成長に繋げることができます。
1. OJT(On-the-Job Training)
OJT(On-the-Job Training)とは、店舗で行う実務を中心とした直接教育のことで、職場内研修、職場内教育と呼んでいます。
具体的には、職場の上司や先輩が、部下や後輩に対して、実際の仕事を通じて指導し、知識、技術などを身に付けさせる教育方法のことです。
実際の業務を通して、実践的なスキルや知識を習得させ、即戦力となる人材を育成する。
業務の流れを体感できるので習得しやすく、実践的なスキルが身につく。また、疑問点をすぐに質問できるため即戦力化を図りやすい。
経験豊富な先輩がトレーナーとなり、業務の手順と基準を教え、段階的に業務を任せ、定期的にフィードバックを行う。
・トレーナーが業務を実演し、説明する。
・最初は簡単な業務から始め、徐々に難易度を上げる。
・業務の成果を評価し、改善点を伝える。
これらの実施方法を店舗経営、ピープルビジネスではトレーニングの4ステップと呼び、段階を踏んでOJTを実施しています。
■トレーニングの4ステップ
ステップ1 準備(Prepare):マニュアルや教える方法などの準備
ステップ2 提示(Present):手本を示す
ステップ3 実行(Try out):やってもらう
ステップ4 評価(Follow up):確認、認める。良い点を褒め、改善点を伝える
(注意点)
口頭説明だけでステップ3から始めるのではなく、必ずステップ1から順に進め、ステップ4で締めくくるようにしましょう。これにより、トレーニング効果を最大限に高めることができます。
2. OFF-JT(Off-the-Job Training)
OFF-JT(Off-The-Job Training)とは、日常の業務から離れて行う教育訓練のことで、職場外研修、職場外教育と呼んでいます。
具体的には、OJT(On-The-Job Training)が実際の業務を通じてスキルを習得するのに対し、OFF-JTは座学や研修、セミナーなどを通じて体系的な知識やスキルを習得することを目的としています。
業務から離れて、体系的な知識や考え方とスキルの習得。
集中して学習できて、体系的な知識や考え方、新しいスキルや知識を習得できる。
外部の研修機関や専門家を活用し、ワークショップやグループワークを取り入れ、研修内容を業務に活かす。
社内や外部の研修やセミナーに参加したり、eラーニングの活用やテキストや教材を用いて学習する。
3. セルフトレーニング(Self Training)
セルフトレーニング(Self Training)とは自己訓練とも呼ばれ、一般的な自己啓発の解釈とは異なり、他者からの指導や監督に頼らず、自分自身の意思と責任において、知識やスキル、能力などを向上させるための活動全般を指します。
具体的には、OJTやOFF-JTで教わったことやミスや失敗をしたときに試行錯誤から自分自身で学びを繰り返しで自己成長をすることです。
個々の能力や興味に合わせた成長機会を提供し、従業員が自ら学び、改善する意欲を高め、成長を促進する。
時間や場所を選ばずに自分のペースで学習でき、主体的に学習する姿勢が身につく。
課題意識を持つように、あと何を習得することが必要かを伝えたり、トレーナーからトレーニーに質問をしたり、分からないことやできないことは、まず先にマニュアルや資料を自分で確認し、それでも分からない場合、トレーナーに質問をするように指導する。
トレーナーのフォローのもとで習得目標を明確にした上で習得計画を立て、日々の業務を振り返り、成果や課題を明確にする。また、社内外の資格取得を目指したり、研修会を開催し自主的参加を促す。
4. 共育(Grow up together)
共育(Grow up together)」とは、上司が部下への教育を通じて、双方が共に成長していくことを指し、「教える教育」「教えられる教育」とも呼んでいます。
具体的には、従来の「教育」が、上司から部下、あるいは先輩と後輩への一方的な知識やスキルの伝達であったのに対し、「共育」は、上司と部下が互いに学び合い、刺激し合うことで、共に成長していくという考え方に基づいています。
従業員同士が教え合い、学び合うことで、チームワークを向上させて組織全体のスキルアップを図る。
互いに教え合うことで、理解が深まったり、多様な視点から学ぶことができたりできてコミュニケーション能力が向上する。
教える側と教わる側の役割を明確にし、教える側は教わる側に具体的な質問をして習得レベルを確認したり、教わる側からの質問を受けたりする。教える側、失敗事例や成功事例を記録してマネージャーに報告する。
OJTやOFF-JT、研修やワークショップで経験豊富な従業員が教える側になったり、経験豊富な先輩社員(メンター)が、新入社員や若手社員(メンティ)に対して、業務上の知識やスキルだけでなく、キャリア形成やメンタル面のサポートを行うメンター制度を導入する。
5. フォローアップ(Follow up)
フォローアップ(Follow up)とは、従業員の教育や研修が終わった後、その効果を最大限に引き出し、持続的な成長を促すために行われる一連の活動のことです。
具体的には、業務時に仕事ぶりの確認や評価、ヒアリングや面談・ヒアリングなどがあります。
トレーニングで習得した知識やスキルが、業務で活用できているかの確認や従業員の課題や疑問点を解消し、成長を支援する。
トレーニング効果の最大化や従業員のモチベーションを維持によって個々の課題に合わせたサポートができる。
仕事中に手が空いたタイミングでヒアリングをしたり、定期的な面談で、具体的な内容でのフィードバックやトレーニングを実施する。
トレーニング後、当日、1週間後、1ヶ月後など、定期的にヒアリングや面談を行い、業務の習得や成果、課題についてコミュニケーションを図り、モチベーションのアップや個別の課題に合わせた教育や研修を行う。
6. 1on1(ワンオンワン)
1on1(ワンオンワン)とは、上司と部下が1対1で定期的に行う対話のことです。従来の評価面談とは異なり、1on1は部下の成長や、上司と部下の相互理解による信頼関係の構築を目的としています。
上司と部下が1対1で定期的に対話することで、部下の成長を支援し、モチベーションを高め信頼関係を構築する。
個別の課題や悩みを共有しやすく、きめ細やかな指導やアドバイスができるため信頼関係の構築につながる。
定期的に実施し、部下の話をじっくりと聞いたり、部下の成長を支援する質問をする。
週1回、月1回など、頻度やアジェンダを事前に決めて実施し、部下のキャリアパスプランや目標について話し合う。
7. 定期的なミーティング
定期的なミーティングは、従業員の成長を促し、組織全体の目標達成に貢献するための重要な手段です。
具体的には、店舗全体ミーティング、部門別ミーティングや個人ミーティング(1on1、勤務評価やカウンセリング)があります。
課題認識、問題解決や情報共有を行い目標達成に向けて考え方や意識を統一してチームワークを高める。
情報共有がスムーズになることで課題解決が迅速になりチームの一体感が生まれる。
目的や議題を明確にし、相手を否定するのではなく認め代替案の提示や活発な意見交換を促して、決定事項や実施の役割分担を明確にする。
週1回、部門別ミーティングを開催。月1回、店舗全体ミーティングを開催して進捗状況や課題を共有する。
まとめ:人材育成を成功に導くために
今回紹介したトレーニング方法は、単なるテクニックではなく、相手の成長を支援する貴重な機会と捉えてください。使い方を誤ると、その効果は限定的なものになってしまいます。
人材育成において大切なことは、相手の強みや資質を見て、相手の立場に立って考え、相手の成長を心から願うことです。そして、あなたの知識や経験を惜しみなく伝え、相手の仕事ぶりや行動を認め、積極的に評価してください。
そうすることで、相手はあなたを信頼し、あなたの背中を追いかけ、自ずと成長していくでしょう。
