社員のための課長業・部長業・役員業 8.人間関係構築スキル (3)組織運営や人間関係の円滑化

上司と部下が笑顔でコミュニケーションを図る 組織運営や人間関係の円滑化 人間関係の構築 エニアグラム
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【この記事の概要】
 「完璧な人だけを入れると、組織というのは脆弱になります」
 人の行動パターンを知り、相性の良し悪しを理解して、組織を安定させるために、感情の起伏が鈍くなる人、思想や仕組みに依存しやすくなる人、自分の考え方を出さない人の行動パターンを知り、求人広告に活かすことで、9つの性格タイプの人をバランスよく存在させ、特徴を生かした組織運営や人間関係の円滑化を実現します。

この記事の目次

人の行動パターンを把握し、その人の傾向に合った対応の仕方

感情タイプ、思考タイプ、感覚タイプの行動パターン

エニアグラムには「3つの知性」と呼ばれる感覚(本能)、感情と思考で構成される「3つのエネルギーセンター」

 エニアグラムでは人間には「3つの知性」と呼ばれる感覚(本能)、感情と思考で構成される「3つのエネルギーセンター」があると考えられています。

  1. 感覚(本能)タイプ:本能(腹)センター 、1,8,9が該当
  2. 感情タイプ:ハート(心)センター 、2,3,4が該当
  3. 思考タイプ:ヘッド(頭)センター 、5,6,7が該当

それぞれの傾向は

  • 感覚タイプ:現在に生き、スピードは遅くとも確実性が高い傾向
  • 感情タイプ:過去に引きずられる傾向
  • 思考タイプ:未来志向でありスピードは速くとも地に足が付かない傾向

にあります。

感情タイプ、思考タイプ、感覚タイプなのかにより、過去、未来、現在のどこに生きているのかが変わってくるものです。

そうしますと、行動スピードや確実性といったものも、その傾向によって分かれてくるので、それらが分かることにより、各々の行動パターンについて把握することが出来ます。

人の行動パターン

感情の起伏が鈍くなる人、思想や仕組みに依存しやすくなる人、自分の考え方を出さない人の行動パターン

 感情、思考、感覚タイプのうち外向きである2番,5番,8番は直感的です。2番は愛されるかどうかを直感的に、5番は本質を直感的に、そして8番は相手の弱点が直感的に感じ取れます。

内向きである4番、7番、1番はそれぞれ感情、思考、感覚を十分に生かせないことの穴埋めとして4番は表現力が発達し、7番は行動力が発達し、1番は追求力が発達します。

外・内の両方を使う3番、6番、9番はすべての機能をそれぞれ感情、思考、感覚を用いますので、働きが鈍くなり感情、思考、感覚を使えなくなるので3番は仮面的になり感情の起伏が鈍くなり、6番は思想や仕組みに依存しやすくなり、9番はすべてと同化しやすくなり自分の考え方を出さずにすべてと融合しがちになります。

自分のどのセンターでの傷が、どういう形になっているのかで、各番号特有の行動パターンとなるものです。

完璧な人だけを入れると、組織というのは脆弱になります

それぞれバランス良く配置されていることが大事 

 各番号と仕事の関係ですが、番号ごとに得手不得手がありますが、組織的にある機能に同じ番号のみを集めるとバランスが悪くなります。各番号がバランスよく配分されることが求められます。

例えば、研究者というと殆ど5番が占めています。会計士の場合だと、5番と1番が多いものです。

但し、同じ番号の人が多すぎると、組織にとっては実は良くはないのです。例えば経理という、正確性が求められる部署に、2番の、おっちょこちょいの人が入ってくると、なにかと困るだろう、と思われがちです。

しかし逆に、自分はおっちょこちょいで間違う傾向があるので、それをカバーするたに内部統制というか、ミスを見つけるための防御のしくみを編み出す能力が働くものです。

ですから、完璧な人だけを入れると、組織というのは脆弱になるので、全ての番号の人が、それぞれバランス良く配置されている、ということが大事です。

その状態に陥らせた行動や態度を改められやすくなる方法

人の健全度を示した「発達の諸段階」と行動パターン

 各番号には統合の方向(健全になったときに現れる番号=ステージ以上で現れます。ストレスがかかったときに不健全になり顕れる番号が分裂の方向です)。

1→4→2→8→5→7、6→3→9の順番を覚えましょう。→の方向が分裂の方向でその逆が統合の方向です。

  • 1番の人が不健全になると、4番に行きます。
  • 4番が不健全になると、2番に行き、2番が不健全になると8番に行きます。
  • 8番が不健全になると、5番に行き、5番が不健全になると7番に行きます。

健全になると、今後はその逆を行きます。

7番の人は5番に、5番の人は8番、8番の人は2番、2番の人は4番、4番の人は1番、1番の人は7番に行く、といった感じです。

同じく、6番の人が不健全になると3番に、3番の人は9番に行きます。

健全なると、9番の人は3番、3番の人は6番、6番の人は9番に行くということです。

自分にとって、自分の本番号と分裂、統合は、自分の健全、不健全性により現れてくる番号ですので、自分で、それを体現しているのです。

その状態は、自ずと分かりますし、ウイングについても分裂と統合は分かるものです。

そうしますと自分の本番号、分裂、統合、ウイング、ウイングの分裂・統合の番号によって、ある程度は自分が体験しているものなので、そこは分かるものです。

反対に、全然関係のないところは、自分にとっては分からない領域の番号になりますので、なかなか理解出来ないものです。

人間の相性でなかなか理解できないことが起こった場合、番号が被っているかどうかが関係していますし、上司、部下の関係が、本番号か、ウイングで被っている人は理解しやすいので、ある程度は意識して、そういう人を採用することを考えてみることが大事です。

相性の良し悪しを理解して、組織を安定させる

最悪の相性でも、きちんと判っていて、逆転の関係ができる方法

 各番号での相性の良し悪しがあります。

各番号で自分の上司は統合の方向に見習い部下は分裂の方向で任せる関係が組織的には安定します。

しかしそうはうまくいかず逆の場合もあります。その場合は上司が部下に教わる関係、部下が上司に教える関係(上下逆転の関係性)を取ればうまくいきます。

私が監査法人で働いていた時の上司と部下が、最悪でした。私の番号の統合が部下にいて、分裂が上司にいたのです。

ですから、上司が馬鹿に見えてしまうし、部下は私がバカで、頼りなく見えてしまうので、本当に最悪の相性でした。

それについても、きちんと判っていて、逆転の関係が出来ていれば良かったのですが、それが出来ないと、大変な事になります。

組織を安定させるためには、9つの性格タイプの人をバランスよく存在させ、特徴を生かした組織運営が必要

エニアグラムを活かした求人広告の作成のポイント「地雷の理解と人の取扱説明書」

 組織には各番号がバランスよく存在することで安定性が増します。

番号が違うと別の人種ですので番号の特徴を押さえて各番号ごとの取扱説明書を作ったり地雷を理解しながら各番号の特徴を生かした組織運営をしましょう。

会社によっては、自社の採用したい番号の人に刺さるように求職者が応募したくなるキャッチコピーや文章を書いて求人広告を作成するなど、求人活動でエニアグラム採用をしている会社もあります。

筆者の過去に開催したセミナーのエニアグラム講座で、受講生に取扱説明書を作って頂きましたが、これは色々と生かすことができるので、エニアグラム採用は非常に有効だと思います。

貴社でも、地雷の理解と取扱説明書の作成を是非、検討をしてみて下さい。

人を分析するためではない、人に対して理解を深め、人に優しくなれることがエニアグラムの目的

自分という最も分かりづらいことを知るのに効果的で、他人との特徴の違いや健全性の違いを知り、人間関係を円滑にする 

 エニアグラムは最も分かりづらい自分を知るのに効果がありますし、特徴の違いや健全性の違いでの差異を知ることで人に対して理解が深まり、他人に優しくなれますのでしっかりと学びましょう。

あまたあるエニアグラムの本には、エニアグラム活用の目的について、以下のように書いてあります。

「エニアグラム活用の目的は、人を分析するためではない、エニアグラムを通じて、自分というものを分かりやすく理解するために、このエニアグラムを使ってください」と書かれています。
この内容は、非常に慧眼だと思います。

エニアグラムは、人を理解するための有効な手段になりますので、しっかりと勉強をして、うまく活かすようにしてください。

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