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【この記事の概要】
「うちの社員は言われたことしかやらない。言われる前にとか、言われた以上にとか、動けるようにならんもんかな」
実は、リーダーシップは店長やスーパーバイザー(SV)らの管理職じゃないと発揮できないわけではありません。リーダーシップはリーダーの専売特許ではないんです。立教大学の日向野幹也教授のリーダーシップ学術研究においても、「リーダーシップとはリーダー以外のメンバーも自発的主体的に発揮可能なものである」という説が今は主流だそうです。また、店舗経営、ピープル・ビジネスでも、同様に「スッタフ一人ひとりが自主的に行動して最高の仕事を成し遂げて、また成長したいと感じさせる雰囲気や環境を作り出すこと」が店長に求められる条件です。部下が受け身、指示待ちにならないようにするためには、店長らのリーダーシップがとても重要になります。
あなたの部下は「なぜ受け身、指示待ちになってしまうのか」
「うちの社員は言われたことしかやらない。言われる前にとか、言われた以上にとか、動けるようにならんもんかな」
実は、リーダーシップは店長やスーパーバイザー(SV)らの管理職じゃないと発揮できないわけではありません。リーダーシップはリーダーの専売特許ではないんです。
私の支援先、他社の社長さんや幹部職と話しているとよく、
「うちの社員は言われたことしかやらない。言われる前にとか、言われた以上にとか、動けるようにならんもんかな」
ということをよく聞きます。
私の受け答えは決まって、
「そんな理想レベルの子が私らクラスの中小企業に来ないですって。言われたことをやってくれたら十分ですって」。言われたこともやらないのが普通なのに、それ以上を求めてどうするんですか、と。
立教大学の日向野幹也教授のリーダーシップ学術研究においても、「リーダーシップとはリーダー以外のメンバーも自発的主体的に発揮可能なものである*」という説が今は主流だそうです。
このリーダーシップを店舗経営、ピープル・ビジネスでは、「スッタフ一人ひとりが自身の欲求を満たすため、自らがメリットを勝ち取りたいと思い、自主的に行動して最高の仕事を成し遂げて、また成長したいと感じさせる雰囲気や環境を作り出すこと」として、店長に求められる条件なんです。
部下が受け身、指示待ちにならないようにするためには、店長らのリーダーシップがとても重要になります。そして、リーダーシップとは何かを理解することも必要です。
リーダーシップは、今リーダーを務めている人の実践次第で、一般社員も自らリーダーシップを発揮できます。発揮するようになるんです。
(詳細)リーダーシップとはリーダー以外のメンバーも自発的主体的に発揮可能なものである*:具体的内容は、以下の記事を参照してください。
自発的、主体的に動ける部下の育成方法
最初は率先垂範でいいじゃないか
本連載記事「6.令和時代のリーダーシップ」で解説したスタッフのモチベーションを維持する三つのポイントです。
ここでその内容を少し紹介しますと「スタッフのモチベーションを維持する三つのポイント」とは、
一番目 「挨拶」
二番目 「挨拶」
三番目 「声かけ」
でした。
この「スタッフのモチベーションを維持する三つのポイント」を私の最近の経験で説明しましょう。
詳細は下記を参照してください。
「おはようございます!」だけで一週間掃除を続けると、向こうから先に「おはようございます!」と挨拶してくるように
サトーカメラは宇都宮本店の二階に本部があります。
今夏から私は朝出勤して本部の二十数名と掃除をして朝礼が終わってから、一階の本店に下りて、本店のスタッフと一緒に店舗の掃除の手伝うことにしました。
決して人数に余裕があるわけではないので、少しでも助けになればと思ってです。
「おはようございます!私がここやるね」と声をかけて掃除を始めて、朝礼も一緒に出て「よろしく頼むね」と言って本部に戻るたった20分間。ただそれだけですが、スタッフは最初疑心暗鬼でした。
「絶対何か指摘してくる。怒られる」と思っていたようです。だから怪訝そうに見てくるだけで、私に寄り付きもしませんでした。
でも、私が全然怒る素振りもなく、ただ「おはようございます!」だけで一週間掃除を続けると、二週目は向こうから先に「おはようございます!」と挨拶してくるようになりました。
私も「おはようございます!」と返します。そのやり取りを見て他のスタッフも私に、あるいはスタッフ同士で「おはようございます!」と元気に挨拶を交わすようになりました。
これって、「挨拶」でスタッフがリーダーシップを発揮してくれたということなんですよ。〔リーダーシップが属人的なものではなくなった⇒誰が発揮しても変じゃない⇒スタッフが始めた〕が成立した瞬間です。
「挨拶」ができるようになれば、二つ目の「笑顔」も、三つ目の「声かけ」も自然にできるように
率先垂範を続けて、一つ目の「挨拶」できるようになれば、次、二つ目の「笑顔」もできるようになります。三つ目の「声かけ」も自然に始まります。
そうやって各メンバー発でリーダーシップが連鎖的に浸透するのが理想です。
ただ、これは最終形態です。現リーダーが率先垂範で示さないとこうはなりません。
その意味では、「言われる前に動けるようにならんもんか」という社長さんの愚痴は的外れではないかもしれない。
けど、それは、私に言わせればビジネス書の読み過ぎです(笑)。
「指示した以上に」とか「指示する前に」とかは究極ですよ。究極をさも当然のように書いた本で勉強してしまうと、現実がわからなくなります。
いいじゃないですか、リーダーが示した後で。店長やスーパーバイザー(SV)は自分から部下に寄って行きましょう。宴席で上司から行かないと、今は部下から挨拶に来るなんてないでしょう。あれと一緒ですよ。
逆に言えば、その程度のことなんです。どっちが先に始めるかなんて、小っちゃい小っちゃい(笑)。
まずは皆さんから率先垂範。そしてリーダーシップの火種をチームに落とす。それでいい。
またそうやって一人一人がリーダーシップを発揮し始めると、こっちも勉強になるんです。
「俺が今まで、それ怠けてたわ。すまん。ありがとう、思い出した」というふうに。そうやって部下を見直す気持ちが伝われば、彼らももっとやる気になるわけでね。
最初は挨拶からでかまいません。あなた自身がリーダーシップの模範を示すことからはじめましょう。
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