【この記事の概要】
「かつて男性は一家の大黒柱。女性は女房、支え役で寿退社の昭和時代と現代のリーダーシップあり方」
今回は、リーダーシップの原則の実践により、本質にたどり着くことについて一緒に考えましょう。次のような基本的なリーダーシップがあります。
① 相手に進むべき方向を示し、導くリーダーシップ
② 結果だけでの判断ではなく、事実を確認しフォローするリーダーシップ
③ 人を変えるのではなく、働く環境を変えて人の潜在能力を引き出すリーダーシップ
これらは、進むべき方向を示し、相手を受け入れ、それぞれの立場、責任や考えを把握し調整して、導いて前進することがリーダーシップの原則であり本質と言えます。
「見える化」が重要
相手に進むべき方向を示し、相手がイメージでき描けるように伝え、導くリーダーシップ
ビジョンが必要だ、ビジョンを明確にしよう、というお話をしましたが、最前線の現場の人たちにそれが浸透しなければ意味がありません。
そこで実践したいのが「見える化」です。文字、イラスト、完成品の写真。作業の手順書と基準書。これらを使ってビジョンを目に見える形にしましょう。
昔はよく、会社のスローガンや経営目標を本社の会議室、店舗では休憩室やバックルームとかに大判の紙で貼り出していましたよね。
例えば、チェーン店で売上ナンバーワンの店を目指すなら、「私たちは売上○○円を達成して、ナンバーワンの店になります」と横断幕に大書して張り出せばいいんですよ。
情報の近代化やペーパレス化が進んだ現在、何でもかんでもタブレットにしまい込んで、見たい情報がなかなか見れないことも多くありますよね。
この横断幕も同じでタブレットで画面を開かないと見れないのでは、タブレットを持っている人しか見れないし、ファイルをわざわざ開かないと見えないし、、、
誰からも一目で見える場所に「見える化」すること。垂れ幕でもポスターでも何でもいいから形を伴うブツにして、みんなでその同じブツを視覚的に共有すること。
このように言うと、必ずと言っていいほど「出しても見ない人が多いから」と言われますが、「出しても見ないやつが多いから」とか思わなくてかまいません。
朝礼は毎日、実施していると思うので、朝礼をする場所に張り出しで、朝礼の場で読み上げて伝えれば、貼り紙が見えて耳に入ります。耳に入れば脳にインプットされるますし、それと同じ情報が目の網膜に映れば知らず知らずのうちに意識するようになります。
そうやって浸透させていき、導いていくのです。
マネジメントも怠けずに
結果だけを見て判断するのではなく、その結果を導いた事実、プロセスを確認しフォローするリーダーシップ
昔と比べて相対的に重みが減っただけで、マネジメントも引き続き、リーダーシップの必須要素です。
店長を中心として、マネージャーやパートアルバイトリーダーと協力して、個々の従業員の状況と各チームの仕事ぶりや状況をよく観察して、なぜそのような結果になっているのか、データの裏付けを確認しましょう。
マネジメントの原則は、データと身体で把握することが前提でなので、きちんとデータとその結果になった事実を把握してから、必要な時に必要なフォローを行うことが重要です。
データを見てフォローしたつもりが、事実とは異なる思い込みで的外れなフォローや相手を否定するようなフォローなどで、逆に人間関係を悪化させる可能性もあるので注意が必要です。
人間関係に配慮を「必要なら配置転換や人事異動も」
人を変えるのではなく、働く環境を変えて人の潜在能力を引き出すリーダーシップ
あの人とあの人は、意見の食い違いから険悪になっている。とか、彼と彼女は性格的にどうやっても合わなさそうだ。というような人間関係の問題が見えてきたときに、「あの人たちの問題だから」とか言って放置してはいけません。
かといって、昔みたいに、お茶や飲みに連れ出して喧嘩両成敗で握手させて仲直りできる時代でもありません。
もちろん、双方の言い分を別々に聞いて仲裁には動きますが、どうやっても合わない人とか、どうにも修復不可能な関係というのは、あり得ます。
その場合は仕方ない。チーム内で配置を変えるとか、シフトの時間をずらすとかして、物理的にその人たちがバッティングしないようにしましょう。
チーム内でそれをする余地がなければ、他のチームの責任者に交渉して人を入れ替えさせてもらうことも考えないといけません。
かつて男性は一家の大黒柱の「昭和の親父」。女性は女房、支え役で寿退社していくので「お茶くみ、掃除、書類のコピーなどの雑務は女性の仕事」といった差別的取り扱いで立場が弱く、人間関係が理由で職場を辞めていくのは圧倒的に女性でした。男はなんだかんだ言っても働き続けました。
これは、男女雇用機会均等法施行前、1986(昭和61)年以前のことです。
でも今は令和です。男も人間関係が悪ければあっさり辞めていきます。
ある日従業員がいきなり来なくなって一番困るのは店舗の経営を任されている店長です。
ですので、他のチームに入れ替えることも考えてください。チームのメンバーが変われば、雰囲気や環境も変わるのでリフレッシュもできますし、ジョブローテーションによって任せられる仕事の範囲も広がって、人としての成長も期待できるからです。
今回のまとめ
リーダーシップの原則と本質は、進むべき方向を示し、相手を受け入れ、それぞれの立場、責任や考えを把握し調整して、導き前進すること
この三つをきちっとやれば、きっと部下の信頼を得られます。カリスマ性で不満を押さえつけて強引に人を動かすやり方は通用しないということです。
笑い話ですが、私なんか、夜9時に店舗スタッフから携帯に直電がかかってきたりします。
一通り話を聞いてあげて、向こうが何かしら自分で腑に落ちて満足して電話を切るまで、長いときで3時間かかります。深夜0時ですよ。日付変わってますよ(笑)。経営者がスタッフの就業時間後に直電したら完全パワハラだけど、逆は何と言うのか(笑)。
そういう電話に私は、「黙って店長の言うこと聞いてろ!」じゃなく、「どうしたの?」から入って、できるだけ支持的態度で接します。向こうの言い分を否定することはしません。かといって店長を悪者にするわけでもありません。
スタッフに対しては、
「君がそう思うのもわかるけど、店長としてはこうこうこういう意味で言ったんじゃないかな」というふうに諭します。相手の気持ちを和らげて和らげて、問題の本質を気付かせてあげます。
そして店長にも、
「こういう電話がかかってきて、こういうことじゃないかって言っといたから、現場でもよろしく頼むな」
と共有します。その際も絶対にスタッフを悪者にしません。正誤優劣はつけない。あくまで自分は中立を保つ。
難しく捉えなくても大丈夫。相手の話しを聞いているうちに、自らが「アッ!」と何かに気付きます
「うん、そうかそうか」と聞きながら、「お前の言う通りだ」と肯定してあげる。そして時々、「でもさ、じゃあ、なんで店長は君にそんなこと言うんだろう?」と投げかける。そのうちに向こうが「アッ!」と何かに気付きます。自発的な気付きを待つから3時間もかかるんですけどね(笑)。
そういうことを続けていると、職場の人間関係に配慮するというのは結局、相手を受容すること、話を聞いてあげるということなんだな、と実感します。
大半は「自分のことを解ってくれない」という愚痴レベルの問題だし、言われたスタッフに否があることのほうが多いものです。
実力も経験値も店長が上だから当たり前ですが、それを言ってもしょうがない。感情のこじれをほぐすには話を聞いてあげるのが一番です。
上司は部下の気持ちを考えることができます、それは自分も部下時代があったという経験があるから考えることはできるのです。しかし部下は上司の気持ちを考える余裕もありません、それは経験したことがないのが一番、だから上司の気持ちを考えることもできないということを理解してほしい。