あなたは足元商圏を大切にしていますか?
お店の売上が落ちてきた。何とか対策をしたい。そうだクーポンを配ろう。チラシの折り込みをしよう。そう考えたとき、予め知っておくべきことは、そのお店の商圏です。
商圏でもないところで、販売促進活動を行っても何の成果も挙がりません。だから、店長は自分の商圏を知っておくと得をするのです。
足元商圏とは
筆者はこれまでの実査や検証から、100坪以下のたいていのチェーン店舗にとっての足元商圏は、店を中心に半径2kmの円内だと考えています。
「足元商圏」について厳密な定義はありませんが、たいていの場合、店の回りに形成されていると思われる「狭い範囲」のことを指しています。住んでいる人や働いている人の多くがお店に来てくれていると実感できる範囲でもあります。
人間が直立する時、かならず踏みしめている地面のことを「足元」と言いますので、人間が立つためには「足元」が絶対必要で、重要なのと同じように、「足元商圏」は、店が商売していくうえで絶対大事にしなければいけない範囲の商圏という意味になります。
商圏とは
あなたの店のお客様はどこから来てくれていますか?
この質問に即答できたあなたは優秀です。よくお客様とコミュニケーションをとっているか、イベントなど何かの機会にお客様の住所を得て覚えているかのどちらかでしょう。
では、そのあなたの考えているお客様の来店範囲は、“商圏”と言って良いのでしょうか? 実は、この「商圏の設定方法」が間違っていることが多いのです。
例えば、東京のある店長Aがこう言いました。「うちのお客さんは、北海道からも来てくれるのです」。 つまり、店長Aは、この店への来店範囲は「北海道」まで広がっているから商圏が広いと言いたいのでしょう。
確かに、この店長は、ウソはついていないと思います。 では、「商圏が北海道まで広がっているということ」で、その商圏に販売促進活動のようなアプローチを効率的に行うことができるでしょうか? それは難しくないですか?
それよりも、店の周りの、ある程度「範囲が限られるような地域」が商圏ということになれば、それこそその範囲だけを相手に販売促進活動やキャンペーンをすれば良いわけですから、よほど効率的になると思いませんか?
つまり、安易に「お客様がやってきてくれる来店範囲」を「商圏」としてしまっては、行けないと言うことなのです。
すなわち、「商圏=お客様の来店範囲」と思ってしまうと、その商圏は、とっても広くなってしまうことがあるのです。
最悪、「商圏=全世界」になってしまいます。これではだめですね。 これは、たまたま遠くから来てくれた人を、来店頻度の高い人を同じに扱ってしまうところから起きるマチガイ(間違い)なのです。また、どこから来店したか、という情報だけだと、商圏を確定できないことがわかります。
つまり、「お客さまが来店してくれる範囲」ではないのです。
図1は、お客様の住所を点でプロットしたものです。これで商圏がわかりますか?
図1Aは、その図1を元に最も外側の点を含め、適当に点をつなげたものです。
これに対して、図1Bは、外側の点は除いて、描いたものです。同じ顧客分布でありながらまったく違う図ができてしまいます。
そればかりか、点と点をつなげるやり方は、人それぞれとなってしまいます。
つまり、この線の描き方は、無数にあるのです。それでは、商圏を描くことはできなくなってしまうのです。
商圏の正確な確認方法
「お客さまの住所」を含むたくさんの「小さな地域」別に判定をして、商圏を確定させます
「お客さまの住所」を含む「小さな地域」をたくさん作っておき、その「小さな地域」が、「商圏内」にあるのか、「商圏外」にあるのかを判定していき、「商圏内」にある地域だけを集めて描いたものを「商圏」とするのです。
要約すると以下の通りです。
- 店の回りに30~50個の小さな地域をあらかじめ設定しておきます(小さな地域とは、「〇〇2丁目」といった住所表記される地域で選ぶことが一般的で、マクドナルドなど多くのチェーン企業で採用している方法です)
- それぞれが商圏内か外かを判定します
- 商圏内と判定された地域だけを集めて、商圏とします
具体的には、その地域の5%以上の人が来店していれば「商圏内」とします。
反対に、5%未満のしか来店していなければ「商圏外」です。
なぜ5%を基準としているのか
なぜ5%が基準かというと、この数より多いと、住民がお店に来るのが「偶然」ではなく、「必然」であると統計学的に証明されているためです。
具体的な計算方法はこうです。