労務管理入門「人で失敗し、人で成功する実務」 (第4回)採用活動

成長 ステップアップ

本連載記事 目次 前の記事 次の記事

「有益人財の確保と定着」の条件 現在のキャリアよりも成長志向の応募者を重視した採用 未熟でも成長志向であれば知識は経験でカバーでき、経験を積むことで潜在能力を開発する

今回の内容

1.有益な人財確保の条件『同一労働同一賃金』対策
(1)実は昭和から『同一労働同一賃金』は存在していた。その正しい解釈は?
(2)同一労働同一賃金の法的根拠
(3)何故、店舗経営に同一労働同一賃金が重要なのか

2.採用活動開始
(1)採用ルートの考え方
(2)職業安定法改正の影響

3.今回のまとめ

1.有益な人財確保の条件『同一労働同一賃金』対策

前回、「人員採用計画」の立て方や考え方を解説しました。店舗経営の成功は優秀な人材の採用獲得にかかっていると言っても過言ではありません。

そこで重要なことは、有益な人材確保と定着促進の肝となる『同一労働同一賃金』の明示と実施なのです。

大企業とは違い中小企業では、資本力や福利厚生などは劣る反面、店舗経営の強みは正規雇用とは異なり、短時間勤務可能な非正規雇用を確保でき、責任者(パートアルバイト・リーダー)への育成を通じて店舗経営が任せられる有益人材の定着促進ができることです。

そのために、応募者に労働条件などが明確に分かるように、スタート時給と責任者までの時給や業務内容を明示した『同一労働同一賃金』の仕組みが必要になるのです。大企業は優秀な人材に歯車の一部分を任せますが、中小企業は歯車全体を任せられる有益な人材が必要となるからです。

しかしながら、同一労働同一賃金対策と聞くと「???」と違和感を覚える方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、何故、店舗経営に同一労働同一賃金が重要なのかから解説したいと思います。

(1)実は昭和から『同一労働同一賃金』は存在していた。その正しい解釈は?

同一労働同一賃金という言葉をご存知でしょうか。新型コロナ前によく耳にしていた「働き方改革」の実行計画の一つに『雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保』がありました。この言い回しではイメージがわかないことから「同一労働同一賃金」という言葉で表現されることが多いようです。

過去に遡ること、昭和。米国から続々と上陸したチェーンストアやフランチャイズチェーンの雇用形態は、少数の正規雇用(社員)でマネジメント業務、多数の非正規雇用(パートアルバイト)で製造販売業務を担当する人件費を変動費型にしたビジネスモデルでスタートしています。

そして、それぞれの雇用形態に職能階級制度を明示した『キャリアパスプラン*』、現在の『同一労働同一賃金』と同じ内容が昭和後期に草案、平成に確立されていました。よって、大手チェーンであってもあまり確立されていませんでした。

そのストーリーは下記を参考ください。

『ドミノ・ピザとスターバックスに学ぶグローバルビジネス (第4回)新人育成と作業マニュアル[連載]「なんで新人と1年もやってる俺たちが同じ時給なんだ!?」 不満爆発と一番の下っ端が勝手に作成し使った「マニュアルもどき」 世界ナンバーワンチェーンの日本1号店でマニュアルが使われなかったワケ』

バブル崩壊やリーマンショックなどの経済的背景から、労働環境は正規雇用よりもコストの低い非正規雇用に正規雇用業務を推進したことから『働き方改革関連法案』施行に至っています。実は昭和から『同一労働同一賃金』は存在していましたが、正しい解釈と運用が時代背景から大きく歪んでしまったのです。

キャリアパスプラン*:career path(昇進、昇格の仕組み)をplan(計画)をパートアルバイトから経営幹部までの各職位別に賃金や業務遂行内容を明示し定義したもので、『キャリアプラン:career plan(自分のキャリア開発計画)』と『キャリアパス』の造語で階段状の図表で明示していることが多い。開発背景や詳細は別記事で説明します。

それでは、同一労働同一賃金とは一体、どのようなことを行う必要があり、逆に、どのようなことを行っては行けないのでしょうか。

シェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次