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刻々と変化する店舗経営環境に柔軟に対応し、計画必達のためのリカバリープランを日々のオペレーションに組み込み、タイムリーでスムーズなコントロールを実施する
「デイ・パート・オペレーション」と「ストアレベルマーケティング」の設計と応用
デイ・パート・オペレーション誕生の背景
かつては、家族経営で店の一角に自宅がある店舗兼住宅が当たり前だった時代、開店時間になるとのれんを出して、スポーツ新聞やテレビを観ながらお客様の来店を待ち、閉店時間にはまたしまう。といった待ちの商売が中心だった。
昭和後期にチェーン店が続々と上陸し、豊富なメニューや品揃え、長時間営業、便利なサービスを提供する店舗経営によって、経営環境は一変した。
そして、生き残りをかけた戦国時代に突入し、競合他社に勝つために生み出された攻めの経営が定着していった。
さらに、店舗経営はパート・アルバイトなどの短時間労働者を中心としていたビジネスモデルであったため、その時間帯に勤務する人でも最大の売上と利益が獲得できるようにすることが必要だった。
そのため、デイ・パート・オペレーションという経営手法が開発され、ストアレベルマーケティングと連動し構築されていった。
デイ・パート・オペレーションの運用でスムーズなオペレーションの実施
刻々と変化する店舗経営環境に柔軟な対応ができ、売上や利益計画必達のために必要なアクションを売上構成要素と日々のオペレーションに組み込むことで、起こりうる事象を予測し想定の範囲にすることによってスムーズなオペレーションの実施が可能になる。
前記事にてデイ・パート・オペレーションの構成は説明したので、ここでは運用方法を説明したい。
まずは、売上計画の設定から始める。
「デイ・パート・オペレーション」で分類した各時間別の営業時間、その時間帯で獲得すべき売上高を算出し、一日の総売上から売上構成比を設定する。
次は客数と客単価の設定を行う。
あくまで客数主義で、客単価は売上を上げたいからと安易な客単価アップは固定客離れを招くため、自店のブランドイメージに合った客単価設定にする。
ここでいう客単価とは一客単価のことで、一品単価を安めに設定して客数アップや購入点数アップで一客単価アップを狙うことを考える。
そのためは来店客へのスムーズな対応、マーケティングやプロモーション、製造や販売などのオペレーションから必要人員数や必要なツールまでを設計し、各時間帯に落とし込むが必要となる。
例えば、売上目標に対して、客数、客単価や販売点数の見積もりが甘かったり、オペレーションまで考えていないと欠品をしたり、お客様をお待たせして捌き切れなかったり、人員不足になったりとスムーズなオペレーションができず、結果、売上を獲りきれなかったり、顧客不満足をまねいてしまうことになる。