【この記事で分かること】
96%の沈黙した不満客を救う!声なき声を拾うクレーム管理で顧客ロイヤルティを高め売上を伸ばす!
お客様からのクレームは、単なる不満の表明ではなく、店舗への期待が裏切られた「最高のギフト」です。この記事では、クレームを「危機管理」と「リスク管理」の両側面から捉え、その本質や種類、そして経営戦略としてのクレーム管理の目的を解説。適切に対応することで、リピート率が劇的に向上する「サービスの二重効果」を生み出し、顧客を熱狂的なファンに変える構造を学ぶことができます。
店舗経営におけるクレーム管理
店舗経営の存続を左右する様々な危機に対応できるように、身近で突発的なクレーム管理を通じて、迅速かつ適切な対応から事態を悪化させない問題解決によって、「危機管理」と「リスク管理」を体系的に習得し、そのプロセスからどんな時でも冷静沈着で動じない精神力「不動心」を鍛え上げ、人間力を向上させます。
店舗におけるクレーム対応の実態は、お客様相談センターなどへの外部委託が進み、店舗スタッフの育成もできていないことから、クレームの初動ミスから問題を大きくしてしまっています。その結果、店長やスーパーバイザー(SV)がクレーム処理係となって奔走し、本来の業務ができないことから問題は更に悪化し、精神的負担による退職や人手不足、外部委託費用などから利益を圧迫してしまうという悪循環に陥っています。
お客様からのクレームは、時に店長にとって避けたい出来事かもしれません。ですが、その対応こそが、ライバル店舗と差をつけ、圧倒的なブランド力を築くための「最強の武器」になります。クレーム対応を単なる謝罪や事務処理で終わらせず、顧客を熱狂的なファンに変えるための重要な機会として、実践的なクレーム管理術を徹底的に解説します。
『店長マニュアル 2-8. 商品管理』では、感情の無い「ありのままのモノ」から五感で正確な事実を確認し、適切に対応することで、在庫管理、欠品管理や品質管理に留まらないリスク対策と、チャンスを見出す先見性を養います。つまり、感情の無い物を管理を身につけたら、次は、感情のある人の対応の一つであるクレーム対応を習得することができるのです。
「危機管理」と「リスク管理」の違い
クレーム管理を理解する上で、まず「危機管理」と「リスク管理」の違いを明確にすることが重要です
- リスク管理(Risk Management):リスクを未然に防ぐための予防的な活動です。日々の業務に潜む潜在的な危険を特定し、それらが顕在化するのを防ぐために継続的に取り組みます。例:食品の賞味期限チェック、従業員への接客トレーニング。
- 危機管理(Crisis Management):既に発生した危機的な状況に対処し、被害を最小限に抑えるための事後的な活動です。緊急事態が発生した際に、迅速かつ適切に対応することを指します。例:大規模な食中毒が発生した際の対応、メディアへの対応。
クレーム管理は、この両方の側面を併せ持っています。クレームを未然に防ぐためのリスク管理と、実際にクレームが発生した際の危機管理。この両輪を回すことで、店舗の信頼を盤石なものにできます。
クレームとは
クレームの語源
「クレーム」という言葉は、もともとラテン語の「clamare」で、これは「叫ぶ」を意味する言葉です。この「叫ぶ」というイメージが、ラテン語の「clamare」から派生したフランス語の「réclamation」を経て、英語の「claim」になり、「主張する」「要求する」といった意味に変化しました。
クレーム(Claim)は「主張する」や「要求する」を意味し、一般的には「お客様が消費や購買活動を通じて、店舗などから提供されたサービスや品質などに対して不満足や怒りを伴う、なんらかの要求や主張」のことで、一般的に「苦情」「ご指摘」や「ご要望」と呼んでいます。
日本語の「クレーム」が「苦情」の意味で使われるようになったのは和製英語の特徴であり、英語では一般的に「claim」ではなく「complaint」が「苦情」を指します。
不満を持ったお客様のうち、クレームを伝えるのはごく一部
店長として、クレームの電話やメールを受けるたびに「嫌だなぁ…」と感じることはありませんか?その感情は自然なものです。しかし、クレームを伝えるお客様がなぜ、わざわざ時間と労力を割いてまで、その思いを伝えようとするのか、深く考えてみることが重要です。
- 不満を伝えるお客様
- あなたの店舗に不満を感じた100人のうち、声を上げてくれるのはわずか4人。
- 店に何らかの期待や愛着を持っている。
- 店がより良い姿に変わることを願い、貴重な「改善点」を無料で提供。
- 不満を伝えないお客様
- 多くの不満、不平や不満を抱いても何も言わずに、静かに店舗から去っていく。
- 再利用や再購入など、店と関わりを持ちたくないことから他の店に行ってしまう。
- その不満を友人など、他の人10人に伝える。
このような「不満を伝えないお客様」のことを「サイレントコンプレーナー(Silent Complainer)」と呼んでいます。
クレーム対応次第でリピート率は劇的に向上する
クレームは「最高のギフト」であると同時に、「最大のチャンス」でもあります。適切な対応を行うことで、お客様の不満を解消するだけでなく、その期待を大きく上回る「感動体験」を提供できるからです。
そして、クレームという言葉からネガティブに捉えられがちですが、それが持つ意味、裏側にある実態認識のため『グッドマンの法則』を紹介します。
『グッドマンの法則』とは、米国の消費者問題局が実施した「米国内の消費者クレーム処理調査」のデータから、顧客ロイヤルティ協会の設立者である佐藤知恭氏が、クレームとリピート率の相関関係を発見し提唱したものです。調査データは1970年代のものですが、データの古い新しいよりも、数字が持つべき意味に着目し、顕在化したクレームの裏を考えた対応が重要になります。
その概要は以下の通りです。
内容 | リピート率 |
---|---|
不満が解決された顧客 | 50% |
迅速かつ丁寧に不満が解消された顧客 | 95% |
不満を言わない顧客 | わずか9% |
この表は、クレーム対応が顧客のリピート率に与える影響を具体的に示しています。不満を口にしないお客様は、そのまま店舗を離れてしまうため、リピート率が極めて低くなります。
一方で、不満を伝えてくれたお客様に対して、迅速かつ丁寧な対応をすることで、リピート率は飛躍的に向上することがわかります。これは、単に問題を解決しただけでなく、「この店は信頼できる」という特別な感情を顧客に抱かせることができた結果です。