昭和から慢性的に続く人手不足。そして、将来不安へ
店舗経営(ピープル・ビジネス)の人手不足は今に始まった事ではなく、昭和から続いている
1945年の太平洋戦争終結後、戦後復興や高度経済成長を終身雇用や年功序列制度などによって国内企業は成長を続けていた。その間、米国からチェーンストアやフランチャイズチェーンが続々と日本に上陸し、大量生産、大量販売や出店戦略による拡大によって経済を支え、雇用は正規からパートアルバイトや派遣社員などの非正規を中心とした変動費型の高収益経営構造で昭和後期から経済成長をバブル景気まで牽引した。
その後、バブル崩壊やリーマンショックなどの景気低迷に加え、出生率低下や世代交代など労働市場の変化によって少子高齢過疎化の進行や後継者不足で現在に至り、人材不足がクローズアップされているが、それは今に始まったことではない。昭和後期から続いている経営課題の一つで、出店攻勢やバブル景気時の求人競争など、時代による求人ニーズは異なれ、現在まで続いている。
その要因の一つに、バブル崩壊までの人財の奪い合いは同業種であったが、1995年Windows95の発売を機に普及し始めたインターネットと携帯電話(スマートフォン)の普及が相まって、IT業界などの他業種と高質人財の奪い合いになっており、特にパソコンとインターネット環境さえあれば、ローリスクで独立できることもあって、企業年齢の若年化も進んだことで人手不足に拍車をかけている。
このような経営環境の変化に国の対応も追いついておらず、店舗経営(ピープル・ビジネス)や労働市場に影響を及ぼしていることもあり、失われた30年以降、商売人や現場が疲れ切っていることも事実だ。
小資本で地域密着型の商いの店舗経営は、素人でもプロの経営者に育成できるシンプルなビジネスモデルである。
その要諦は高質人財の確保と高収益確保のの二点で、前者は学生や主婦アルバイトの積極的雇用と育成から正社員に登用し、戦力のある高質な人財を効果的に確保し、後者は、地域の最大限の売上や利益を獲得できる集客、製造と販売の経営システムや出店戦略などから構成されている。
バブル崩壊以降、経営課題を場当たり的に取り繕うことを繰り返していった結果、この要諦としたビジネスモデルが崩れ、機能不全を招いてしまっていることが、疲弊要因の一つでもある。