【人材育成】ディズニー流経営の極意 8.新人スタッフを「実験台」にしない!100年続く想いを承継するOJTの真髄

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【この記事でわかること】
 「やりながら覚えればいい」がお店を滅ぼす?ディズニーの現場で脈々と受け継がれる、人材を即戦力化し、誇りを植え付ける教育の魔法
 人手不足の焦りから新人をすぐシフトに入れる「過去の失敗」が、なぜ早期離職とサービス低下を招くのかを解説。ディズニーが実践する「頭数に入れないOJT」や、2週間のゴールデンタイム、マニュアルを「見せない」教育など、スタッフを単なる作業員ではなく、理念を体現する人財へ変えるための具体的なステップと経営哲学がわかります。

2万人のキャストが同じベクトルを向く秘密

 店舗経営において、多くの経営者や店長が直面する深刻な悩みがあります。それは、「人手不足で新人教育が追いつかず、せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」「マニュアル通りに動くだけで、お客様の心に響くサービスができていない」という、育成と定着の課題です。

「魔法の国」と呼ばれるディズニーランドは、開園から半世紀、そしてウォルト・ディズニーの創業から100年が経った今でも、その「創業の想い」が現場の最前線まで脈々と受け継がれています。なぜ、ディズニーでは2万人を超えるキャストが、同じベクトルを向いてゲストに感動を提供し続けられるのでしょうか。

そこには、単なる「マニュアル教育」の枠を超えた、お客様を「実験台」にせず、新人スタッフに誇りを持たせて即戦力化するための緻密な仕組みが存在します。今回は、ディズニーが実践する「OJTの真髄」と、100年続く哲学を承継するための教育のあり方について解説します。

ディズニーランドを作った目的と「創業の想い」の承継

 そもそも、ディズニーランドを作ったきっかけをご存知でしょうか。ウォルト・ディズニーが娘たちと遊園地に行った際、汚れたベンチでピーナッツを食べている横で、退屈そうにしている親たちの姿を見て、「大人と子供が一緒に楽しめる場所を作りたい」と切望したことが始まりです。

ウォルト・ディズニーが成し遂げたことは、単なるテーマパークの建設ではありません。彼は「人々に幸せを提供する」という経営理念(ミッション)を、100年先まで色褪せない文化として根付かせたのです。

ディズニーの基本理念は、「We Create Happiness(私たちはハピネスを創造する)」。2万人以上のスタッフがこれを自分の役割として腹落ちさせるために、ディズニーでは導入教育であるオリエンテーションを受講した後に、新人スタッフはそれぞれの部署での専門となるトレーニングを3時間ぐらい受けます。

商品部であれば金銭の取り扱いについてだったり、食堂部では食品衛生についてだったり、僕は運営部(アトラクション)だったので話し方、言葉(敬語・謙譲語・尊敬語・丁寧語など)について学びました。

この部署ごとで行うトレーニングをディビジョントレーニングと言い、各現場の業務に最低限必要な知識を事前に教わる事前教育を受けるのです。これを受講した後、各現場でのOJTに進むことができるのです。

◆ディビジョン(Division)とは:部、局、課などの「部門」を指します。divideの名詞形で、語意は分割、区域など。企業の場合は「部門」の意味で用いられます。

早期離職を防ぐ!ディズニー流OJT「3つの鉄則」

 現場の知識を詰め込む前に、ディズニーには明確なハードルがあります。新人スタッフがオリエンテーションを経て「現場に出てOJTを受けられる資格」を得て初めて、実戦形式の訓練が始まります。

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