低迷し我慢を続けた消費者マインドは限界に
「失われた30年」で平均賃金はほとんど変わっていない中、増税や社会保障費などの負担増もあり低迷し続けた消費者マインドは限界に達してきていた。
その中、2019年(令和元年)12月初旬、中国武漢市で第1例目の感染者が報告され、わずか数カ月ほどの間に世界的流行となり2022年12月時点では感染者数合計6.55億人、死亡者数667万人とされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、人類を脅かす感染症のパンデミック*によって私たちの生活様式は一変し、さまざまな商売に大きな影響を及ぼした。
さらに2022年(令和4年)2月、冬季北京オリンピック後にロシアによるウクライナへの軍事侵攻から世界的に急激な物価上昇や金融引き締めによる景気減速によって、私たちの暮らしはより一層厳しさを増している。
パンデミック*:英語でpandemic、語意は人獣共通感染症(伝染病)が世界的な大流行をみせること。なかでも人類の生命に関わるような症状を伴う感染症のパンデミックは、皆にとっての脅威で、人類の歴史では天然痘や結核、ペスト、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など多くのパンデミックが発生している。
集客の販促情報を消費者まで届ける「デジタルとアナログのどちらが良いか」
あくまで情報伝達方法がアナログかデジタルかの違いだけ 販促情報伝達方法の変遷
コロナ禍で外出自粛やリモートワークなどで家の中で過ごす時間が増えたことによって、中食やデリバリー市場が拡大して私たちの生活様式は大きく変化した。中食と言えば、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどの弁当や総菜の持ち帰り、デリバリーと言えば、1985年(昭和60年)9月に東京・恵比寿に1号店をオープンしたドミノピザから歴史が始まった。
これらマーケットの変化も相まって中食やデリバリー市場は急拡大を続けているが、消費様式は大きく変わっていない。
店舗経営では、このようなマーケットの変化に柔軟のある対応が求められるし、小回りの利く店舗経営だからこそ優位性を発揮しやすい。
「厳しく、世知辛い世の中だらからこそ商人にできること」で現状打破に挑むべく今回は、集客の原点回帰のため販促実施で必須のチラシ・クーポン券の効果的な配布術を紹介したい。
かつて、集客のための販促情報は紙に印刷したチラシやクーポン券主流であった。その情報の伝達方法は、昭和後期は新聞折込や郵便によるダイレクトメールなどアナログが主流であったが平成にかけて宅配ビザの成長とともにポスティングやフリーペーパーに、パソコンや携帯電話の普及でメルマガに、そしてスマートフォンが生活に欠かせなくなった現在、電子クーポンや電子決済、SNSや自社アプリなどのデジタル化に変化してきた。
ここで認識いただきたいことは、集客のための販促情報などの伝達方法や顧客囲い込みの方法や手段が変わったにすぎないこと。さらに、少子高齢過疎化が進む中、都市部ではスマホなどのデジタル情報が主流、地方では高齢者が多くスマホ保有率も低くデジタル化に追いついていけない中、アナログ情報が減ったことで情報弱者となっている。
そして、情報のデジタル化には費用、メンテナンスなどの工数や使いこなすためのスキルも必要なため、中小企業では初期投資や運用費用、情報の投稿、アクセス分析と対策などの運用者面からも投資回収までままならなず大きな経営課題の一つになっている。
実はここに大きな落とし穴があるので注意が必要だ。詳細は別記事で紹介したい。
あくまで情報伝達方法がアナログかデジタルかの違いだけであることを認識してほしい
たた配るだけじゃダメ!効果をだすチラシ・クーポンの正しい配り方
ターゲットまで確実に情報を届ける 販促ツールの質と量、配布の場所、タイミングと頻度
今回は、効果の上がるチラシ、クーポンなどを店頭や店外で配布する方法を紹介したい。まずは自店舗の現状把握のために、次の質問からスタートしよう。
Q1.販促ツールを「いつ」「どこで」「どの時間帯に」配布しているか?
Q2.効果が高いのは、「いつ」「どこで」「どの時間帯に」配布したものか?
Q3.なぜ効果があったのか?(あるいは、無かったのか?)また、その理由と根拠は何か?
販促の効果の有無を「あった」「なかった」だけで済ませてしまうケースをよく見かける。
しかし、「なぜ、どうしてその結果になったのか?」まで視野を広げ、踏み込んで考えることで、様々なことが見え、多くのアイデアが浮かんでくる。
では、事例をもとにチラシやクーポンの効果的な配布方法の研究を進めていこう。
デジタル時代たからこそ、人の心と温かみの伝わるアナログ集客で差別化をすること。アナログ集客が満足にできない店がデジタル化したとしても費用倒れになってしまう。まずはアナログの原理原則を体得され、その効率アップのための手法がデジタル化と認識してこの先の内容に進んでほしい。
店舗経営は小商圏(狭商圏)をターゲットにしたビジネスモデルであり、地域密着が求められる。決してデジタル化が駄目なのではなく、アナログで実績のないことをデジタルに求めること。そしてデジタルとアナログの融合とは双方の強みを引き出し、シナジーを生むこと重要なことなのだ。
継続的なマーケティングと販促ツールを配布するワケ「人は一度覚えたことをすぐに忘れてしまう」
たとえ、消費者に販促情報が届き認知されたとしても、一度来店して頂けたとしてもあなたの店のことは忘れられてしまう。
それは1885年にドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが「記憶」に関して行なった実験結果から「人は一度覚えたことをすぐに忘れてしまう」の数字的な根拠として『エビングハウスの忘却曲線』を提唱しました。その内容は特に中期記憶(長期記憶)の忘却を表す曲線を示している。
エビングハウスの忘却曲線「1か月後には79%」を忘れる
エビングハウスの忘却曲線とは、
「20分後には42%」を忘れる。
同様に時間の経過と共に記憶は薄れていき、
「1時間後には56%」
「1日後には74%」
「1週間後には76%」
「1か月後には79%」
を忘れてしまうことを示したのが忘却曲線である。
よって「記憶力が悪い」「歳で忘れやすくなった」のではなく、人の記憶とは「人は一度覚えたことをすぐに忘れてしまう」「時間が経つほど忘れてしまう」もの。
この数字から、たった一度のチラシ配布で多くのチラシから見つけてもらい、消費者に販促情報が届き認知されたとしても、さらに一度来店して頂けたとしても、継続して販促情報を消費者に届けなければあなたの店のことは忘れられてしまう。
「マーケティングは継続なり」
「一発満ホームランは無い」
であるのです。
「ストアレベル・マーケティング費用=人財育成費」
さらに販促ツールの発見確率とも連動しており、発見確率を高め、認知確率を高め、記憶率を高めるために販促ツールの継続的配布は必須であり、ただただ配布するだけではなく投資と回収の効果測定から配布場所、ツールの内容と配布方法を常に見直すことで現場は成長していく。
店舗経営において店舗販促活動を含むストアレベル・マーケティングに関わる活動は店舗責任で「投資と回収」を求めることで、結果、人は育っていく。
自分の責任でお金を使ったのなら、回収が気になるのは当然のことなので、その機会を与え、活動の責任を与え、「投資と回収」と「活動内容」を評価すること、つまり「結果」と「結果を導いた行動」の評価も必要なため、人事評価制度とも連動させている。
「結果」ばかりを追求していくと「結果を操作する不正」につながるので、店舗監査も必要となる。
このように先人の知恵を店舗経営の実務に応用し『エビングハウスの忘却曲線』であればマーケティングや人財開発に応用し、実践検証した実務内容をこのように紹介しており、他の心理学、行動学、経営学、会計学やマーケティング学などなどの学術も同様に店舗経営に応用し、実践検証した実務内容をまとめた実務論が『ピープル・ビジネス理論』なのです。
自店舗に効果的な配布時期とは
自店舗商圏特性と消費者の行動特性
まず自店舗の商圏特性を考えることが必要で、キーワードは「いつ」「どこで」「どの時間帯」だ。たかがチラシ、されどチラシ。実際にここまで考えて実践ができているであろうか。
例えば、自店舗商圏にビジネス街がある店舗の場合、店外でのチラシ・クーポンの効果的な配布は、「いつ」「どこで」「どの時間帯」の配布が良いのであろうか。
結論は、毎週月曜日の朝7時30分~8時30分の1時間である。これは、先人からの教えでもあり、私自身も実践してきたことだ。たとえ、夜の商売の居酒屋であったとしても「月曜の朝」が重要だ。
このことを聞くと「月曜日!?」とあっけにとられる店長や現場スッタフが多い。どうしてかと根拠を聞くと「ピークである日曜日の翌日に売れるのか?」「その時間はうちは営業していない」「他は朝から配布していないから・・・」という回答が多い。