ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 7.ビジネスモデル構築の重要性「表面的事象に惑わされない」本質究明と改善の実施

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財務分析上だけでは「見えにくい経営問題の本質」をビジネスモデルで見極める。業績が悪くなると商品や価格をいじりたくなるが、伴う対象顧客、ブランドや立地戦略、販売オペレーション、マーケティングやプロモーションなどの他項目への影響を考慮した相対的な対応が必要

ビジネスモデル開発と現場検証による構築の重要性

財務分析上だけでは「見えにくい経営問題の本質」をビジネスモデルで見極める

 店舗経営(ピープル・ビジネス)におけるビジネスモデルは昭和後期、1980年当時、6項目から始まり、14項目*と段階的な進化を遂げて、現在では24項目まで細分化されてきた。

(詳細)「14項目*のビジネスモデル」参照先:『ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 2「高付加価値」を生む業種業態の確立とビジネスモデル』

チェーン店のビジネスモデルは個々の研究者らが研究活動をまとめた著作が公開されていることはあるが、実務に携わり、実証例に基づた体系的で定義づけされたビジネスモデルはなかった。

1980年当時、社会的にビジネスモデル*という用語はまだ一般的ではなく、本ビジネスモデルの正式名称は当時から「ビジネスフォーマット・トータル・マネジメントシステム」であり、現在は社会通念上、ビジネスモデルと呼んでいる。

ビジネスモデルは開業前には必死に作成し、開業してしまうと現状に流されてしまい放置されてしまうことがあるが、実は、開業後にブラッシュアップする重要度ほ方がはるかに高い。

それは、開業後の実態からどのように順応し、結果に繋げるかが重要で、ブラッシュアップをしなければ絵に描いた餅で終わってしまう。

このビジネスモデルの特徴は、現場の積み上げから開発、構築されているため、業績(仕事の出来ばえ)などの結果を現場実務でほぼ説明ができる点にある。

つまり、財務分析*の結果を現場検証によってその本質を見出せるように設計されている。ここでの本質とは業績を上げるチャンスである「機会点」と業績上げるための改善点である「問題点」の両側面を多角的な視点で見極めることを可能にしている。

財務分析*の結果とは現場でのオペレーションやマネジメントの積み重ねの結果のことで、各値の意味する本質的原因を究明するためにオペレーションやマネジメントの一つひとつのプロセスに着眼した段階的な究明を可能にしているビジネスモデルである。

そもそも、ビジネスモデルの開発と構築は現場での一つひとつの作業(オペレーション)から始まり、それらの集合体を結果として位置付けており、本質的原因の究明と改善を社長の右腕であるスーバーバイザーが遂行し、これを繰り返すことで構築がなされていく。

そのためピープル・ビジネスにおいて財務分析*にとどまらず、各値だけでは見えにくい問題の本質や現状把握が難しいことも見極められるビジネスモデルになっている。

例えば、

・お客様満足度向上のために手作りの新商品を投入したが、加工工数が多く、提供時間も長くなりクレーム発生と注文もキャンセルになった。結果、原材料ロスと機会損失による信用を失った。

・地代家賃を下げて利益を増やすために安い家賃の物件に移転したら、立地が変わってしまい売上そのものが下がり赤字になってしまった。

・販売促進の効果を上げ売上増を狙ってチラシのデザインを有名デザイナーに作成を依頼し、商圏に配布したがまったく反応が無かったため、これまでのチラシに戻したところ通常のレスポンスに戻った。

このように重要なことは値よりも数字の意味することであり、財務分析上だけでは見えにくい事象を多角的な視点で現場検証をすることで本質が見えてくる。

◆ビジネスモデル*とは:Business Model[英]1980年代初頭に誕生した金融・証券業界の情報システムから始まり、1990年代中盤から後半のITの発展に伴いビジネスモデル特許と共に米国で普及。

◆財務分析*とは:財務分析とは、経営者やステークホルダーなどが、企業の現状、課題と機会点を把握し、意思決定をするために、貸借対照表と損益計算書などの財務諸表の値を主に5つの分析(収益性、安全性、生産性、効率性や成長性)によって、正確な現状や自社のポジショニングを把握し、市場の成長性予測によって迅速な意思決定や戦略立案に活かすことを指す。

(事例研究)ピープル・ビジネス的実務分析「方針転換が招いた大企業の消滅」

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