ピープル・ビジネス理論 2章 ビジネスモデル論 4.「撤退する店」と「生き残りチェーン化する店」の違い

空き店舗 テナント募集

本連載記事【目次】 前の記事 次の記事

「商品のコピーは作れても、人のコピーは作れない」 息つく間もなく襲い掛かる問題や困難を乗り越え、価格競争に巻き込まれないためには「商品に依存しないビジネスモデル」で競合優位性の実現が必要

雨後の筍ように生まれる店のほとんどが生き残れない理由

「脱サラ」「儲かる!?」夢の店舗経営、夢のオーナー業

 昭和後期、高度経済成長時代を支え一世を風靡した世代はチェーン店が増えるにつれて、一国一城の主を目指して勤めていた企業を退職し、貯蓄や退職金などで店舗経営の道に進むいわゆる「脱サラ」が昭和後期から増えていった。

素人でも経営者に育成するフランチャイズ(以下、FC)システムとFC本部と加盟店が共存共栄のため相互努力や協力があるべき姿であったが、儲けなどの動機でFCに加盟し、本部に依存したり、自分の味や商品に自信があり「売れるはずだ」と自身の店を持つなど「脱サラ」が相次いでいった。

例え、チェーンストアやFCであっても、草創期は人、資金や店舗開発力、ノウハウなどに乏しいことも多く、認知度や知名度も低く思うように売上も上がらない。「待てども待てども」来店されないお客様、、、自分の商品のどこが問題なのか?何が問題なのか?徐々に焦りが迫ってくる。

さらに売上拡大をすべくドミナント戦略で出店するも回収もままならなかったり、逆に売上不振店(ダウンストア)*と人的問題店舗(プロブレムストア)*といった結果を招いて、店舗の絶対数が少ない小企業にとっては1店舗でも致命的なことで、たちまち資金繰り影響を及ぼしてしまう。

特に、この時代は店舗経営の独立採算、パートアルバイト化による人件費の変動費や物流などがメインでオペレーション、マネジメントやビジネスモデルなども未完成で体系化されておらず、失敗事例も少ない上、検証と対策も弱かったため、その精度は低く「勘と経験」を頼りにせざるを得ないこともあった。

(参照先)売上不振店(ダウンストア)*と人的問題店舗(プロブレムストア)*:店舗監査(会計と業務)のすすめ方 (第1回)なぜ店舗監査が必要なのか?

創業期や成長期に襲い掛かる様々な問題

● 経営方針、給与や労働条件などの会社への不満に、幹部や社員の退職、ストライキや社内クーデターの発生

● 商品や味に頼った開業は、押し寄せるお客様を捌ききれず、行列のできる店は一時的なブームで終焉

● 思うように売上が上がらないと既存商品をいじったり、新商品に頼るも売れない

● 積極的な加盟店募集による出店の結果、売上不振店(ダウンストア)や人的問題店舗(プロブレムストア)を抱えてしまった

● 創業期には社員にボーナスを払えなかったり、その原資確保のためFC契約の加盟金で捻出するほど資金繰りが厳しい

● 「FCは儲かる」との動機や認識から本部と加盟店の相互依存経営を招いた

● 精度の低い売上予測と過剰な初期投資で赤字経営が続き訴訟にまで発展

● 空き物件有りきで売れない立地への出店

● 異物混入、食中毒、事故、休憩室のボヤから店舗全焼まで、再発防止ができない

● 店長やスーバーバイザー(SV)は人不足代行、問題処理やクレーム処理係となって疲れ果てている。昭和から続く「店長(責任者)になりたくない症候群」

● 汚い店や低いサービスレベルや不品行、万引きや内引きなど社内外の不正が横行し店舗やブランドイメージの棄損と企業資産の損失

● 3K、4K、5Kと表現されるほど厳しい労働、直接的と間接的な人のマネジメントの難しさによる人不足

実は、このようなことは一見、どの企業にも良くありがちで身近なことでもある。

このような問題を乗り越えて現在も生き残っているチェーンもあれば、撤退や倒産をしてしまったチェーンもある。その違いとはいったい何なのか?

そもそも成功が100%保障されているビジネスなどは存在しない。

シェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次