
計画的な実行を支える「4つの力」と「投資と回収」の視点
販売促進活動は、闇雲に実行しても効果は薄いものです。真の経営者としての力を養うためには、以下の4つの力を身につけ、活動を「見える化」することが成功への鍵となります。
計画的な実行に不可欠な「4つの力」とチェックポイント
店長には、以下の4つの力が求められます。これらを活用し、定期的にチェックポイントを確認することで、活動の質を飛躍的に向上させることができます。
| 実施ステップ・スキル | 概要 |
|---|---|
| 企画計画力 | 自店舗の強みを活かし、競合店と差別化するための戦略を立てる力。 |
| 準備力 | 企画を実行に移すために、必要なツールやリソースを整える力。 |
| 実行力 | 計画通りに、現場で施策を確実に実行する力。 |
| 評価力 | 施策の効果を客観的に測定し、次の改善に活かす力。 |
効果測定(投資と回収)
販売促進活動は、単なるコストではなく、未来の売上を創出するための「投資」です。そのため、実施するすべての施策について、その効果を客観的に測定する視点を持つことが重要です。
- 投資: 売上増大のための販売促進に必要な費用総額(例:チラシ代、商品割引金額、景品費、人件費など)。
- 回収: その販売促進によって獲得した売上(この回収売上をAOS「Add on sales」と呼んでいます)。
この2つの視点で投資効率(ROI:Return On Investment)を算出し、ROIが100%以上であれば、その施策は「やるべき」と判断できます。
この「投資と回収」の視点を持ち、実践できることが、店長として販促活動実施における必要なレベルと言えるでしょう。
【実践例】データ分析が導いた、マッサージチェーンの成功
あるマッサージチェーン店では、新規顧客開拓のためチラシのポスティングを重点的に行っていましたが、思うような結果が出ていませんでした。そこで、顧客カルテから「居住地域」と「認知経路」を分析しました。このデータ分析が、隠れた課題を浮き彫りにしたのです。
【判明したこと】
- 店舗に近いお客様は「店頭」を見て来店。
- 店舗から遠いお客様は「チラシ」を見て来店。
この分析から、チラシの効果は出ているものの、肝心の店舗の「視認性」と「接近性」に問題があることが明らかになりました。店の入り口が閉鎖的で、放置自転車が通行の邪魔をしていたのです。
【改善策】
- 視認性改善:のぼり旗や看板を設置。
- 通行障害の改善:行政に依頼して放置自転車を撤去。撤去後も放置があったため、店舗外の清掃、視認性の確認と乱雑に駐輪されている放置自転車をひたすらきれいに並べて整理整頓を徹底し、通行人に店舗の「管理された印象」をアピール。
- チラシ配布の最適化:新規開拓に焦点を当て、アクセスしやすく生活動線上に位置する地域に限定して配布。
【結果】
3ヶ月の活動の結果、放置自転車はほとんどなくなり、チラシを見て来店するお客様が増加しました。販促活動は、このような現状把握と改善計画が一体となって初めて、大きな成果に繋がります。
販促は「継続的な投資と回収」
今回は、売上増大の公式「客数 × 客単価」を基軸とした「ストアレベル・マーケティング」について解説しました。
- 販促は「投資と回収」:単に費用をかけるだけでなく、販促で獲得した売上がその効果として測定し、次へと繋げましょう。
- 「3段階」で販促を考える:店内サービス、店内販促、店外販促と段階的に活動することで、効果を最大化できます。
- 「4つの力」を養う:企画、準備、実行、評価の力を身につけ、自らの手で売上を創出しましょう。
「自分の食い扶扶は自分で稼ぐ」という意識は、まさにこの「ストアレベル・マーケティング」を実践することに他なりません。
販売促進によって集客に成功したあなたにとって、次のステップでは、売上を増大させるための「商品」が不可欠です。どんなに集客で成功しても、商品が欠品していれば、お客様の信頼は一瞬で失われてしまいます。
そこで、在庫切れや過剰在庫といったロスを防ぎ、売上を最大化するための「商品管理」について、次回の「店長マニュアル 2-8.商品管理」では、販促活動をさらに加速させるための重要なエンジン、在庫を利益に変える具体的なノウハウを詳しく掘り下げていきます。



