10分間に100本以上、年間売上15億円も焼き芋を売るチェーンの秘密

10分間に100本以上のペースで焼き芋が売れ、年間で12.3億円も売れるチェーンの秘密 昭和に廃れた焼き芋がなぜ今ブームなのか 大阪万博を境に進出したファストフードによって焼き芋ブームが衰退も、2003年から現在まで第4次焼き芋ブームが続いているワケ チェーン店のドン・キホーテでは、10分間に100本以上のペースで焼き芋が売れ、年間売上は12.3億円 焼き芋タルトや焼き芋スプレッドなど関連商品にも人気 安定した売上を誇る人気商品 スーパーやコンビニ、ドラッグストア、道の駅、そして商店街の一角など、さまざまな場所で「焼き芋」が売れている

焼き芋が売れ、儲かるようになったワケ

一見すると地味な商品も調理の手間がなく、人手不要で売れていく

 ピープルビジネス、店舗経営。特に皆さんがよく行くスーパーマーケットで、入口に配置される「青果売場」は季節感を演出する重要な売場。

最近では、このスペースに『焼き芋販売機』という新しい販売方法が加わり、注目を集めています。正式には『電気式焼き芋オーブン』と呼ばれるこの機械、多くの方がその芳しい香りに気付かれたのではないか?

特に男性の中には、焼き芋のホクホク感を好まない方も少なくありませんが(例外はあるものの)、女性の方々にとってはとても人気のある食品。

この傾向はデータにも表れ、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、道の駅、そして商店街の一角など、さまざまな場所で「焼き芋販売機」が設置され、その存在感が増している。

この「焼き芋販売機」にさつまいもを並べれば焼き上がるので調理の手間がない上、ホカホカに美味しく香ばしく焼いて、芳しい香りを放ってくれる販売促進の機能もあわせもった優れもの。

この発展の影には、焼き芋に熱い思いを持つ、茨城の焼き芋レジェンド達の苦労があった。彼らの奮闘がなければ、今日の「さつまいも」の地位向上はなかったのではないか。その物語は、こちらの記事をご覧ください。

さつまいも偏愛マガジン さつまい...
スーパーでよく見る焼き芋機はどうして生まれたの!? 焼き芋にかける熱い想いをもつレジェンドが茨城・行... さつまいものこと、もっと知ってみませんか?さつまいも豆知識や、さつまいも偏愛家インタビューを発信します。

スーパーやコンビニ、ドラッグストアなど、さまざまな場所で焼き芋が売れるようになったきっかけ

 この機械の普及が大きな要因であり、そのきっかけの一つは、マックスバリュ50店舗での導入。これを皮切りに、焼き芋はその集客力と人気から「ドンキ」などでも「重点商品」として全店舗で展開されている。

販売機の焼き芋は一定のサイズに揃えられ、価格は一本当たり2〜300円と手頃で、「迷ったら手が出てしまう」丁度いい値段設定でもある。

本来、さつまいもは産地も多くサイズが不揃いな野菜。それだけに店頭販売に適した統一したサイズで提供するためには、適切な栽培が求められるため、関係者の努力が伺える。

かつては、リアカーや軽トラで「石焼き芋」移動販売が主流で、おじさんから「2、3本ちょうだい」と注文すると、不揃いの芋を紙袋に入れて「はい、千円ね!」と売買成立。考えてみれば高いものだった(^^;

さつまいもの成分は、加熱することで甘味が増し、種類によっては「蜜」が溢れる逸品もある。空腹時やお茶の時間にそんな芋を見たら、いくらダイエット中のあなたでも、思わず「1本だけなら…」とつい手が伸びてしまう…。

【焼き芋豆知識】

焼き芋が売れる時期
一般的に秋から冬にかけての寒い季節でピークは10月から2月頃。その理由は、寒くなると温かい食べ物が恋しくなり、焼き芋のアツアツさと甘さが特に美味しく感じられ需要が伸びるからです。最近では、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでは、季節に関わらず焼き芋を購入することができます。

・人気の焼き芋
糖度の高いさつまいもが人気で、糖度30度の「紅はるか」、20度の「安納芋」、14度の「紅あずま」が売れ筋。

・年間15億円も焼き芋を売るチェーン
ドン・キホーテの焼き芋の年間売上はなんと15億円で、店舗によって10分間に100本以上のペースで焼き芋が売れている。また、焼き芋タルトや焼き芋スプレッドなどの関連商品も人気を集めていて、安定した売上を誇る人気商品の一つになっている。

・焼き芋の粗利は?
焼き芋の一般的な原価率は20〜40%程度とされています。 仮に1本300円で販売した場合、1日に100本売り上げると、1日分の粗利益は18,000〜24,000円になります。

昭和に廃れた焼き芋がなぜ今ブームなのか?

 焼き芋は1951年から大阪万博が開催された1970年までが第3次ブームで大阪万博を境に進出したファストフードによってブームが衰退。その後、ヘルシー志向やこの『焼き芋販売機』の普及によって2003年から現在まで第4次焼き芋ブームが続いているのです。

私たちが普段目にする「焼き芋機」も、ここまで普及するためには数々の苦労があったのです。この物語を知ることで、店舗経営においても新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです。

この記事は筆者が「note」に掲載した【スーパーでよく見る「焼き芋販売機」】を要約、加筆したものです。

◆関連情報は以下をご覧ください。

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