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【この記事の概要】
「現金は、人の人生や店の運命を大きく左右する重要な企業資産です」
現金管理が機能しないと企業資産である現金が一瞬にして消えてしまうだけではなく、店舗イメージの低下、客数の減少、売上や利益の減少、そして、あなたの大切なスタッフをも失い、最悪、経営危機に陥る可能性もあります。事実、閉店した店舗もあります。
現金管理は、店舗経営において非常に重要な業務の一つです。適切な現金管理を行うことで、売上金の正確な把握や無駄な支出の削減や不正対策が可能となり、安定経営や利益向上が期待できます。そのためには、店舗経営における現金管理の基本と役割を知ることが必要になります。
店舗で取り扱う現金の種類と現金管理の基本
現金の種類
原則、現金の種類は以下の四種類です。
– 売上金
– 釣り銭準備金
– 小口現金
– 金券類(金券、割引券やクーポン券、切手や印紙など)
これらはレジ、金庫と小口金庫、それぞれの場所で保管、管理されます。
また、金券類の保管場所ですが、クーポン券類はバックヤードに、切手や印紙はデスクの引き出しに鍵をかけない状態で保管されているケースがしばしば見られます。金券類はあくまでも現金として取り扱うようにすることが重要です。
基本的な現金管理の仕方
各現金の種類別に証憑類と現金有高を照合して管理をします。
– 売上金と釣り銭:各保管場所の現金と現金有り高帳、レジジャーナルやレジ点検票などの証憑類と照合による出納管理と売上金の送金管理。
– 小口現金管理:小口金庫の現金、小口現金準備金と小口現金出納帳、出金伝票と領収証の照合による出納管理。
– 金券類(金券、割引券やクーポン券、切手):各金券の出庫と在庫を金券類管理表と照合による出納管理。
これらは担当者と確認者の二人がダブルチェックをします。そして、現金の保管はもちろんのこと、各証憑類のファイルや保管方法も徹底した管理が必要です。
また、現金を扱うスタッフの教育も重要で、正しい現金取り扱いのマニュアルを作成し、現場でのトレーニング、定時チェックや抜き打ちチェックなどで徹底させることが求められます。これにより、現金管理のリスク低減が図られます。
さらに、現金管理のツールやシステムの導入も効率的な現金管理に役立ちます。これらの活用を検討することで、業務の効率化や問題の早期解決が可能となります。
現金管理の役割と重要性
現金は人の人生や店の運命を大きく左右する重要な企業資産です。
現金管理が機能しないと企業資産である現金が一瞬にして消えてしまうだけではなく、店舗イメージの低下、売上や利益の減少、そして、あなたの大切なスタッフをも失い、最終的に経営危機に陥る危険性があります。
そして、現金事故や不正は一瞬にして、倒産の危機を招く可能性を秘めています。企業は内部から崩れることが一番恐ろしい。これは、半世紀以上もの期間で実証された事実なのです。詳細は下記を参照ください。
(参照先)店舗監査(会計と業務)のすすめ方 1.なぜ店舗監査が必要なのか? 5.企業財産と利益を守る店舗監査と危機管理の重要性
そこで、現場で現金管理の徹底が求められるのです。
まず、現金管理の役割は、正確な会計情報の維持と資金繰りの最適化です。現金管理が適切であれば、正確な売上の把握や経費のコントロールが可能となり、経営判断の質が向上します。
そして、資金繰りの最適化により、資金の過不足が発生しにくくなり、企業の安定経営に寄与します。
さらに、現金管理はスタッフに対する信用と責任の確立にも繋がります。スタッフが適切な現金管理を行っていることを確認できると、経営者や上司は店舗を任せ信頼経営によって、スタッフも責任感を持って業務に取り組むことができます。
この現金管理を通じて、事実確認、トラブルシューティングによる原因究明から正しい意思決定をするという店舗経営に必要なマネジメントスキルの習得を可能にし、思い込みや事実誤認による誤った舵取りを防ぐこともできるようになります。
なぜならば、現金には感情が無く、結果が一致し、事実を映し出してくれるからです。よって、この現金管理ができない人には、人の管理はできません。人には感情があり、正解もないからです。
この現金管理が善循環していくと、人間関係も構築でき、正しい経営、信頼経営が実現し安定経営にも繋がります。
以上の理由から、現金管理は店舗経営における重要な業務の一つと言えます。
店舗での現金管理の現状
現在の店舗における現金管理の現状は、多くのお店で課題があると言われています。特に、飲食店、小売店、整骨院やマッサージ店、理容室や美容室などのサービスを提供する店においては現金が頻繁に動くため、現金管理の重要性が高まっています。
課題の一つに、小売業と比べてレジ管理が複雑なことが挙げられます。飲食店では、商品の価格が変わることがあり、レジ業務が煩雑になりがちです。
サービスを提供する店では、レジ入力をせずに売上金を着服しやすい店舗環境になりがちで、防犯対策のためのハードへの投資も費用と回収面からなかなか進まない状況もあります。
また、アルバイトなどのパートタイムスタッフの採用が多いため、現金管理の教育が十分に行き届かないことも問題です。適切なマニュアルの作成やトレーニングの実施が求められます。
さらに、盗難や誤差を防ぐための防犯対策も重要です。防犯カメラや自動会計機などのハードも重要ですが、スタッフの責任範囲を明確にし、現金の取り扱いに関するルールを徹底することが不可欠です。ハードに頼りすぎるとそこに隙が生まれるからです。
店舗においては、上記の課題を解決し、効果的な現金管理を実現することで、安定経営に大きく寄与します。
経営者や店長が知るべき現金管理ポイント
経営者や店長は、現金管理のポイントを把握することが重要です。
具体例として、以下のポイントを覚えておきましょう。
– 現金の収支を常に把握する
– 現金の収支報告を毎日実施する
– 現金の不足や余剰を適切に対処する
– 現金を安全に保管する方法を確立する
– 現金に関わる証憑類を正しく取り扱いする
以上の現金管理のポイントを押さえることで、効率的な経営が可能になります。まとめると、経営者や店長は現金管理のポイントを把握し、適切な対応を行うことが求められます。
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