【この記事の概要】
「もう限界…」じゃない!地方コンビニ生き残り戦略、教えます。
地方のコンビニ経営者は、都市部とは異なる人手不足や高齢化、競合店の存在といった厳しい環境に直面しています。アルバイト確保の困難さ、従業員の定着率の低さは、オーナーの負担増とサービス低下を招きかねません。しかし、地域との連携を深め、従業員のモチベーション向上と定着を図ることで、地方コンビニは地域社会に不可欠な存在へと成長できます。本稿では、そのための具体的な方策を探ります。
地方コンビニ経営の多岐にわたる困難
田舎のコンビニ経営は都会とは異なり、複数の競合店が存在する厳しい環境です。新規店舗は広い駐車場や本部からの支援が必要ですが、大学がなく、アルバイトが禁止されている高校が多い地域では、深刻な人手不足に悩まされています。
高齢者が主な労働力であり、従業員の定着も悪いため、オーナーは顧客対応や急な欠勤への対応に苦慮しています。本稿では、こうした地方のコンビニが抱える経営課題の実態に迫ります。
少子高齢化と人手不足が深刻な経営課題
地方のコンビニエンスストア経営は、都市部とは異なる多種多様な困難に直面しています。少子高齢化が進行する地方においては、顧客数の伸び悩み、近隣競合店との激しい競争、そして何よりも深刻な人手不足が、日々の経営を圧迫する大きな要因となっています。
特に、アルバイトを原則として禁止している高校が多い地域では、労働力の確保が極めて困難な状況であり、結果として、貴重な労働力として高齢者に頼らざるを得ないコンビニエンスストアも少なくありません。
深刻な人手不足がもたらす悪影響
このような人手不足は、単に人員が足りないという問題に留まりません。労働力全体のレベル低下を招き、商品の陳列や清掃といった基本的な業務の遅延、ひいてはサービスの質の低下に繋がります。
さらに、従業員の急な欠勤が発生した場合、オーナー自身がその穴埋めを余儀なくされ、長時間労働を強いられるなど、疲弊してしまうケースも少なくありません。また、経験の浅い従業員や不慣れな従業員が接客を行う機会が増えることで、顧客とのコミュニケーション不足や誤解が生じやすくなり、クレームやトラブルの発生リスクも高まります。
地方のコミュニティにおいては、一度失われた顧客からの信頼を取り戻すことは容易ではありません。
コンビニ業務の負担と人員配置の課題
コンビニエンスストアという業態の特性上、24時間365日の営業体制は基本であり、商品の販売に留まらず、宅配便の受付、公共料金の支払い代行、ATMの管理、チケットの発券など、多岐にわたるサービスを提供しています。
これらの業務は、従業員一人ひとりに大きな負担を強いることになります。都市部の店舗に比べて人員配置が手薄になりがちな地方のコンビニエンスストアにおいては、その傾向がより顕著です。一人当たりの業務量が増加し、長時間労働や休憩時間の不足に繋がることも珍しくありません。
経営における従業員の重要性と定着の必要性
このような状況下において、地方のコンビニエンスストア経営においては、従業員一人ひとりの存在が極めて重要であり、その定着率の向上は経営の安定に直結する最重要課題と言えます。
しかしながら、コンビニエンスストアの仕事は、一般的に一時的なアルバイトという認識が強く、キャリアアップのイメージを持ちにくいという側面があります。そのため、オーナーが従業員の小さな不満やSOSのサインに気づかないうちに、従業員が離職してしまうというケースも後を絶ちません。
従業員定着に向けた具体的な施策
従業員の定着率を向上させるためには、給与や待遇の改善はもとより、風通しの良い職場環境の構築が不可欠です。日々の業務における適切な指示や指導はもちろんのこと、従業員の意見や提案に真摯に耳を傾け、可能な範囲で業務改善に繋げていく姿勢が求められます。
また、従業員の頑張りや成果を適切に評価し、言葉や態度で示すことも、モチベーションの維持には不可欠です。単に業務をこなすだけでなく、地域のお客様とのコミュニケーションを円滑に行い、地域社会に貢献しているという実感を持てるような働きかけも重要となるでしょう。
地域社会におけるコンビニの多角的な役割
地方のコンビニエンスストアは、地域住民にとって単なる買い物をする場所以上の意味を持つことがあります。高齢者の見守り、災害時の支援拠点、地域情報のハブなど、地域社会の一員としての役割を担うことも少なくありません。
従業員が地域住民との温かい繋がりを感じられるような取り組みを行うことで、仕事へのやりがいを感じ、地域に根差した働き方を実現できる可能性も広がります。
持続的経営に向けた経営者の視点
地方のコンビニエンスストア経営者は、都市部とは異なる厳しい経営環境の中で、限られた人材を最大限に活かし、いかに従業員のモチベーションを高め、長期的な定着を促すかが、持続的な経営を実現するための鍵となります。
そのためには、従来のコンビニエンスストアの運営方法にとらわれず、地域の実情に合わせた柔軟な発想と、従業員一人ひとりとの丁寧なコミュニケーションを通じて、共に成長していくという視点が不可欠と言えるでしょう。
地域社会との連携を強化し、地域に必要とされるコンビニエンスストアを目指すことも、従業員のエンゲージメントを高める上で重要な要素となります。
地域社会への貢献とコンビニの未来
人手不足という課題は一朝一夕に解決できるものではありませんが、地道な努力と工夫を重ねることで、地方のコンビニエンスストアは地域社会にとってかけがえのない存在となり、そこで働く従業員もまた、誇りを持って仕事に取り組むことができるはずです。経営者と従業員が一体となり、地域社会に貢献していくことこそが、地方のコンビニエンスストアが生き残るための道と言えるでしょう。
地方のコンビニが生き残る鍵
地方のコンビニ経営は、人材確保と従業員の定着率の低さが依然として大きな課題です。高齢化が進む地域では労働力不足が深刻であり、オーナーの長時間労働も常態化しています。しかし、地域住民との繋がりを重視し、従業員の意欲を高めることで、コンビニは地域社会に不可欠な存在へと発展する可能性を秘めています。
2025年2月期、セブンイレブンの連結純利益と営業利益は前期比で減少したものの、売上高は増加しており、その企業価値は依然として高い評価を得ています。一方で、北海道で圧倒的なシェアを誇るセイコーマートは、地域密着型の経営、効率的なサプライチェーン、地域ニーズに合致した商品開発と品揃え、柔軟な営業時間、そして地域社会との強固な連携によって、顧客からの厚い信頼を獲得しています。
人口減少と過疎化が進む北海道において、セイコーマートのような地域密着型のビジネスモデルは、その小回りの利く店舗運営によって、地域住民の生活を支える社会インフラとしての役割を担っています。
少子高齢化と過疎化は北海道に限らず地方共通の課題であり、セイコーマートの成功事例は、他の地方においても地域密着型のコンビニエンスストアが生き残るための重要なヒントとなるでしょう。
地域住民との繋がりを大切にし、従業員のモチベーションを高めることで、コンビニは地域社会にとってかけがえのない存在となり得ます。経営者と従業員が一体となり、地域に貢献していくことが、地方のコンビニが生き残るための鍵となるでしょう。

おい友よ、そう気を落とすな!本部の「セブンイレブン」は絶好調で、外国の会社が5兆円で買いたがってるんだから!
この記事は筆者が「note」に掲載した「【田舎のコンビニオーナーの悩み(^^;】」を要約、加筆したものです。
