【この記事の概要】
「個の力」、「組織の力」。指揮者次第で最高傑作が生まれる。
映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」のオペレーション構築シーンでは、管理職が組織を導く姿がオーケストラの指揮者に例えて表現され、個々の能力を最大限に引き出し、全体を調和させる指揮者の存在が強調されていました。同様にANAチーム羽田オーケストラの事例は、組織の壁を超えて多様な人材が協力し合い大きな成果をあげています。店舗経営における管理職は、オーケストラの指揮者のように組織の流れをスムーズにし、個々の力を引き出して活気あふれる「ハーモニー」を生み出し、成果に繋げる責任を担っているのです。
管理職はオーケストラの指揮者と同じ
映画「ファウンダー」に見る組織行動とピープルビジネス
この管理職の役割を説明するにもってこいの映画があります。2016年公開の映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」で紹介された象徴的シーンを紹介しましょう。
それは、マクドナルド第1号店のオープン前、スピーディー・システム(クイックサービス)を導入するためにマクドナルド兄弟がテニスコートに厨房レイアウト図をチョークで書いて、スタッフに各ポジションの役割やオペレーション手順を練習させるシミュレーションのシーンです。
最初は、スタッフ各々の動きはバラバラでぎこちなく、シミュレーションを繰り返すにつれて、スタッフの動きはスムーズになり、流れるようなオペレーションに変化していきます。
オペレーション・コントローラーは最初、いらだった様子で脚立に乗って口うるさく指示を出していたのですが、スタッフの動きがスムーズになるにつれてオペレーションでハーモニーを奏でるが如く、オーケストラの指揮者の姿に変化していきました。
実は、ピープルビジネス、店舗経営はよくオーケストラに例えられることがあるのです。
オーケストラでは各奏者が楽器の最高のパフォーマンスを発揮し、指揮者はそれを引き出し、調和すべく全体を見ながらコンダクト(指揮、指導)します。
つまり、店舗のスタッフは各ポジションを担当する演奏者で、店長やマネージャーが指揮者です。指揮者は店舗全体を観察して、各々の担当者が最大のパフォーマンスを発揮できるようにコンダクトすることが求められ、その責任もあります。
繁盛している店は、商品力だけではなく人、もの、カネやオペレーションなどすべてがコンダクトされ、スムーズな流れでオペレーション・ハーモニーが奏でられて心地よいのですが、繁盛していない店ほど、バタバタしたオペレーションで待ち時間が長かったり、鳴り止まない電話やクレームなどから雑音が多く、耳ざわりで不快を感じます。
繁盛の秘訣にはそれぞれの演奏者のパフォーマンスを引き出す指揮者によってオペレーション・ハーモニーがあるのです。
皆さんも是非、繁盛店に行ったら商品やサービスだけではなく、奏でられるオペレーション・ハーモニーを五感から楽しんでみてください。
空を彩るピープル・ビジネス
~組織をまとめ、パフォーマンス向上させる~
ここで身近な事例を紹介しましょう。
ANAでお馴染みの日本の航空会社、全日本空輸株式会社の取り組みです。
ANAに勤める社員の有志で結成されたオーケストラ「ANAチーム羽田オーケストラ」で、パイロット、整備士、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、航空貨物スタッフや「自称裏方」サラリーマンなど、職種に関係のないメンバーでチームが構成されています。
結成のきっかけは2011年東日本大震災からの復興を願って、ボランティア活動の一環として音楽で繋がった有志が羽田空港で演奏したことから始まりました。各々が奏でる演奏、全身で表現する姿やオーケストラとして音色をまとめている姿にも心を打たれます。
航空業界もまたピープル・ビジネスであり、多くの人が休む時期が繁忙期となる上、24時間体制のシフト制勤務であるため、「ANAチーム羽田オーケストラ」のメンバーは、集まっての練習、地方での演奏、さらには会社との調整など、多くの困難を乗り越えて活動しています。
そのような状況でありながら、近年ではヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんとコラボレーションするなど、長期にわたる活動を継続し、年々発展を遂げている素晴らしい活躍ぶりは、現在、ANA Group 公式ページ『音楽でお客様との絆を結ぶ ANA Team HND Orchestra』でも紹介されています。
ぜひ飛行機に搭乗する際には、多くの人々の支えによって日々の安全が守られていることを実感する機会として、「ピープル・ビジネス」を体験されることをお勧めします。
最後に一つ、ピープル・ビジネス的視点で欲を言えば、「ANAチーム羽田オーケストラ」に指揮者が加わることで、さらに素晴らしい活動になるのではないかと期待しています。今後のさらなる発展とご活躍を心より応援しています。
