店舗経営マニュアル 2.店舗経営権の委譲に必要なマニュアル

店舗経営 マニュアル
本連載記事目次前の記事次の記事

一般的なマニュアルは作業指示書や取扱説明書のようなマニュアルと基準書が混同されて作成されている。一方、ピープル・ビジネスのマニュアルとは、半世紀以上にわたって、現場の失敗や再発防止策。そして、試行錯語の繰り返しから構築された「店舗経営の成功と失敗事例集」のこと。

この記事の目次

3.店舗経営権の委譲に必要なマニュアル

一般的なマニュアルは、作業指示書や取扱説明書のように、「この時は、○○しなさい」「✕✕してはいけません」といった解釈で作成されていることが多く、マニュアルと基準書が同じものとして解釈され、作成されていることもあります。

商品やサービスなど、定量化できる基準は数字で具体化し品質基準を明確にしますが、定性的なことをすべてをマニュアル化することは無理があり、仮に作成したとしても運用できないため使われず、棚の飾り物と化す要因ともなっています。よって、マニュアル化よりもシステム化のほうが標準化がしやすく安定も図りやすい。詳細はピープル・ビジネスの3大要素*を参照してください。

◆ピープル・ビジネスの3大要素* 参照先:「ピープル・ビジネス理論 0章 概論 3.一見、複雑に見える事象のシンプルな捉え方」

また、基準というと一糸乱れないことのイメージが強いのですが、機械であっても多少の誤差は生じるもので、ましてや人がやることなので100%は困難であるためアローワンス(英 Allowance、許容範囲の意)という基準値に対してプラスマイナスの許容誤差の設定が必要となります。

とあるファストフード店で、お客様が「ハンバーガー100個」注文されたときに、従業員は「店内でお召し上がりですか?お持ち帰りですか?」と聞いたという、都市伝説的なエピソードとして語り継がれています。マニュアルはロボットや金太郎飴のように同じ人を育成するものではありません。また、マニュアルがあれば人が勝手に育ち、多店舗展開を容易にするものでもありません。

店舗経営(ピープル・ビジネス)におけるマニュアルは、半世紀以上にわたって、現場の失敗や試行錯語の繰り返しから構築された実務論で、店舗において段階的な経験の繰り返しによる学習効果で能力を開発、つまり、人で失敗し、人で成功できるように「成功と失敗の事例集」で構成されています。そのために必要なマニュアルやプログラム開発の重要な原則は、以下の通りです。

その1 : 潜在能力開発に関わる内容

人、時間の使い方、目標管理と経営に必要な、どんな状況でも不動心で対応できる危機管理能力開発を組み込むこと。

(1)対人関係:人間関係、トレーニング、勤務評価等
(2)時間管理:タイムマネジマント、正社員業務リスト
(3)目標管理:目標管理、ワークスケジュール等
(4)経営管理と危機管理:経営数値の現場検証(店舗コントロール、危機管理や経営管理等)と改善

その2 : 信頼経営(利潤経営と物心両面の幸福追及)の実現に関わる内容

店舗経営を権限委譲するため、相互信頼と安定経営を実現する思考や能力開発を組み込むこと。

(1)人の能力と将来性を引き出す業務
(2)「今日のお客様は明日来ないかもしれない」を前提にした売上と利益の探究
(3)ビジネス失敗と成功の実証例、艱難辛苦、経営者思考、未来思考
(4)リピート・リターンビジネスとPeople Businessの探究
(5)競争戦略・差別化戦略

その3 : 人間学の追及に関わる内容

(1)コミュ二ケーション
(2)モティベーション
(3)カウンセリング
(4)心の探求
(5)自己実現達成のメカニズム

その4 : ノウハウの積上げと目標、未来思考に関わる内容

(1)問題解決によって得られた再発防止策(企業資産)の構築
(2)問題予防、事前準備によって得られた施策(先見性・予知予見力)の構築

4.(最新)店舗経営マニュアル

店舗経営マニュアルは現場に必要な人、物、金のマネジメントの目的別三分冊から構成されています。

Vol Ⅰ 人財開発マニュアル(経営権の委譲と人財開発)

主な内容:労働環境整備、適正人員算出、募集、面接、採用、育成、評価、リーダーシップ、権限委譲、定着促進や労務管理まで

Vol Ⅱ オペレーションマニュアル

主な内容:経営理念、お客様満足度、クレーム処理、棚卸し、発注、正社員業務、ワークスケジュール、店舗コントロール、施設管理、マーケティング、目標管理や人事評価まで

Vol Ⅲ 店舗経営管理マニュアル

主な内容:安全管理、事故防止、品質管理、衛生管理、水道光熱費管理、経営管理、経営分析、緊急事態対策まで

本連載記事目次前の記事次の記事
シェアお願いします
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
この記事の目次